メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

アクロイド殺し

2019-11-21 11:54:26 | 本と雑誌
アクロイド殺し (The Murder of Roger Ackroyd)
アガサ・クリスティー  羽田詩津子 訳  ハヤカワ文庫
 
「オリエント急行殺人事件」や「ABC殺人事件」などと並んで、クリスティーの、また探偵ポアロものの代表作とされている。
 
郊外の館で主人のロジャー・アクロイドが書斎で刺殺されているのが発見された。ロジャーの家族は義子と義妹その娘だけで、館の雇い人を中心とした関係者と、ポアロ、警察、この話の語り部である村の医師(ヘイスティングスのような役割)とその姉が登場人物である。
読者はポアロの推理にしたがって、様々な可能性を推理検証していくことが出来るというものだが、残念ながら私は毎日少しずつしか読まないからか、理詰めの推理を楽しむという感じにはならない。
 
これまでもそうだったけれど、ポアロものでは、ポアロ本人のあまり好きになれない口ぶりや所作、語り部の役割、警察の一部を除くと、人間描写に不満が残る。犯人がわからないように、ある意味偏りがないように書く必要はあるかもしれないが。
そのなかでは、医師の姉がなかなかよく描かれていたように思う。
 
さてこの作品、発表されたとき(1926年)、大傑作という評価とともに、推理小説としてどうかという大論争があった。私も何かあったらしいということだけ知っていて読んだのだが、そういう先入感があったから、読み方、楽しみ方は少しちがったただと思う。前述のように理詰めで当てたわけではないが、後半途中から働いた勘は当たってしまった。
ただ、それがわかってから再読する価値は、あるかもしれない。

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ジャズ発表会

2019-11-04 10:16:27 | 音楽一般
音楽教室のジャズ発表会 ヤマハ銀座地下スタジオ
 
ヴォーカルは「Mack The Knife」、1950年代に日本に入ってきて(匕首マッキー)、ポピュラー・ジャズという感じで随分ピットした。機会があったらやってみたいと思っていたが、中でも一番かっこよかったボビ・ダーリンが歌った版が手に入ったので、それをもとにかなり練習して臨んだ。この曲32小節を3回繰り返して歌詞が最後までいく、つまり三番まであって、この版では5回近く転調をかさねてキーが上がっていく。うまくいけば効果満点。本番では、講師先生方からなるピアノトリオも相当乗ってくれて、気分よく歌うことが出来た。
 
原曲はクルト・ワイル「三文オペラ」(1928)の頭の方で路上の語り部が歌う「メッサー・マッキーのモリタート(バラード)、だからソニー・ロリンズなどの楽器演奏では単に「モリタート」と呼ぶ)で、最後にマッキーが帰って来くるぜというところで、きれいどころもそろってさ、としてその名前の中に「ロッテ・レーニャ」がある。原曲のオペラにはないが、これは作詞をしたブレヒトが彼の芝居の主役でもあり、作曲者ワイルの夫人でもあった彼女をここに面白がって入れたのだろう。なお彼女は晩年に007「ロシアより愛をこめて」でスペクターの一味としてボンドを危機に陥れる。
 
ピアノで弾いたのは「You'd Be So Nice To Come Home To」(コール・ポーター)で、ちょっとベタな感じかなとは思ったが、発表会までのスケジュールがきつく、教室のテキストで取りかかっていたこの曲にした。やってみると、繰り返し練習してもいやになるところはなく、またアドリブ部分も我ながらうまく作れて、コール・ポーターという人はやはりなかなかと感じた次第。
今回はほとんど破綻なく、気分よく最後までいくことが出来た。


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