メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

桑原あい ザ・プロジェクト(川崎ジャズ2018)

2018-11-14 14:26:35 | 音楽一般
桑原あい ザ・プロジェクト
2018年11月13日(火) ラゾーナ川崎プラザソル
桑原あい(pf)、鳥越啓介(bass)、千住宗臣(drums)

先週の様々な奏者、様々な組み合わせから、今度はピアノトリオ、彼女の音楽をシンプルに聴くにはこれがベースになるだろう。
プログラムは先週のもの、つまり最新アルバムと共通なものが多いが、トリオになるとこう変わる、別の面が見えてくるというところがある。今回はトリオとしてレベルの高い演奏を目標としているようで、それは聴き取れた。

プーランクの即興曲はドラムとのマッチングが素晴らしいしい。またマリアの冒頭、ベースが弓ではじまるところは先週よりインパクトが強い音出しで、マイク、PAなどもかなり工夫しているようにきこえた。

またプーランクにしてもTo The End Of This World にしても先週より小編成ではあるのだが、一人一人はよりリリカルにしっとりと表出していて、彼らの表現はじっくり味わうことができた。

アンコール、今回はDear Family。7月のソロの時は中ごろに弾かれたと記憶しているが、このときよりいい意味で崩したというか、自作に対してよりジャズ的に楽しんでいるという感じが、面白かった。

セットリスト
1. Money Jungle(デューク・エリオントン)
2. Into the future or the past
3. MAMA
4. 即興曲第15番"エディット・ピアフに捧ぐ"(フランシス・プーランク)
5. Opening-1
6. Maria(from Westside Story)(レナード・バーンステイン)
7. To The End Of This World
8. 919
encore: Dear Family
 
なお、7月のソロコンサートの時に彼女自身が語っていたように、筋力はついているようで、大きく前に進んでいく展開も限界になる感じがしなくてよい。数年前最初に見た時に、もう少し背中に筋肉がつくといいなと思ったが、それはさすがにクリアしている。

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桑原あい ザ・プロジェクト 『トゥ・ジ・エンド・オブ・ジス・ワールド』

2018-11-08 10:41:56 | 音楽一般
桑原あい ザ・プロジェクト『トゥ・ジ・エンド・オブ・ジス・ワールド』
2018年11月7日(水)東京・浜離宮朝日ホール
 
表向きは、桑原あい(Pf)が鳥越啓介(ベース)、千住宗臣(ドラムス)と組んだ新しいトリオと様々な共演者で作成し先日リリースされたアルバム「To The End Of This World」の記念ツアー最終日という名目のコンサートで、曲順はともかく曲名はアルバムと同じである。
 
アルバムは入手したが、このコンサートにも行くことにしていたので、聴くのはあえて一度だけにしておいた。それでどうだったのかはわからないが。
 
彼女のトークによれば、今回のテーマは女性、母、海だそうだが、それは曲の中で何か具体的な表現があるというより、その三つで大きく包み込まれている、と感じた。
 
これまで何度かウエストサイド・ストーリーの曲はとりあげていて、特に今回のマリアが好きだということは言っていた。今回のはベースのボウイングが繊細で、それに呼応したピアノがより効果的であり感動的だった。
 
吉田沙良のボーカルで3曲あったが、吉田の声と唱法はCD以上に繊細な質感と強さ、印象的な節回し(メリスマ?)に衝撃を受けた。
Daichi YamamotoのRapも、これほど音楽の中に一つの要素として位置しかつフィーチャーされたものがありうるということは、発見であった。それに呼応したピアノも見事。
 
プーランクの即興曲第15番(エディット・ピアフに捧げられている)をピアノと弦楽四重奏でやったものは、これまでこの組み合わせで別の企画はあったけれども、より溶け合い統合され、かなり長い曲だが堪能できた。
 
Mather Sea、To THe End Of This World、919 三曲でのしめくくりも見事。
アンコールは予想通り(これだけアルバム外)の「The Back」(クインシー・ジョーンズの背中)。もう私の中に定着してしまった。
 
今回のホールはこれまでの会場でおそらく一番大きい(一階が約450席、300以上埋まっていたから大したもの)、そして典型的なクラシック向け中ホールだからか、アコースティックもよく、聴きやすい。今回ピアノはもちろん、ヴォーカルも弦楽器もライブハウスなどではここまでいかないだろうという感じだったが、驚いたのはドラムの素晴らしさであった。考えてみれば、こういうドラムセットをこういう会場で聴くことはめったにない(以前のサントリー・ブルーローズではドラムなし)。クラシックではこういう組み合わせ、奏法ではないし。曲としては特に「Opening」が印象的。
 
欲を言えば、ウエストサイド・ストーリーは、7月のソロコンサートのようなメドレーで再度たっぷりと聴きたい。

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