ヘンデル:歌劇「アルチーナ」
エクサン・プロバンス音楽祭2015
指揮:アンドレア・マルコン、フライブルク・バロック・オーケストラ、演出:ケイティ・ミッチェル
パトリシア・プティボン(アルチーナ、王国を支配する魔女)、フィリップ・ジャルスキー(ルッジェーロ、魔女に魅入られた騎士)、
アンナ・プロハスカ(モルガーナ、女王アルチーナの妹で魔女)、 カタリナ・ブラディク(ブラダマンテ/リッチャルド、ルッジェーロの婚約者)、アンソニー・グレゴリー(オロンテ、モルガーナの婚約者)、クシシュトフ・ボンチク(メリッソ、ルッジェーロの後見人)、エリアス・メドラー(オベルト、行方不明の父を捜す少年)
2015年6月30日、7月10日 プロバンス大劇場、2015年11月 NHK BSPre
この数年、ヘンデルのオペラ上演、そのTV放送がかなりあり、音だけでもこれまでなじんでなかった世界を知ることができたのはありがたい。ずいぶん多作だったようで、それは当時人気があったからだろう。
ストーリーは、王国を支配している魔女が気に入った男ルッジェーロを魔術で思いどおりにしている。そこに男の婚約者が男装して乗り込んで来るが、今度は魔女の妹が彼に惚れてしまう。その後いろいろあって、最後は婚約者による救出作戦が、、、というもの。
大筋では勧善懲悪なのだが、主役は魔女アルチーナで、最後にやられながらも、その心情を延々と歌うその歌は一番の聴きものだ。
同じ作曲家の「ジュリオ・チェーザレ(ジュリアス・シーザー)」と、音楽も、脚本も似通ったところが多い。
音楽は、時間を快調に進めていくオーケストラをもとに、アリアをきかせるというものといえる。オーケストラはなんだかどの作品も、どの部分も似通っているようにきこえ、現代でいえば長いロックの楽曲のギターとベースが延々と続いてその中にヴォーカルが入ってきているという感じだ。歌舞伎みたいなものかと思ったりする。
それにしてもアルチーナのパトリシア・プティポンという人、広い声域のどこをとっても、リリカルにもドラマチックにも自在にできて、評判だけのことはある。繰り返しがくどいほど続く作品だから、スタミナも大層必要だろう。
演出は、宮殿風の室内と現代的な衣装の混合、そしてなんともエロティックな、そしてSMプレイのような場面が随所にある。話としてはこういうものだろうから、納得できるが、演じるほうは大変だろう。もっともあちらの人たちは平気なのかもしれない。
と、ここで気がついたのだが、この話、筋や設定は「ジュリオ・チェーザレ」と似ていなくもない。女王の宮殿、その中に来てしまった男、そしてその関係者同志のいろんな関係と顛末、宮殿の外の動乱というか闘い、、、これらはドラマの世界である定番のパターンになっているのかもしれない。大胆にいえばベートーヴェンの「フィデリオ」だって似ているところがある。そして武装してここに乗り込み救出にあたるという感じは、映画「コマンドー」(アーノルド・シュワルツネッガー)を思い出してしまった。
なお、エクサン・プロバンス音楽祭は毎年なかなか興味あるものを創ってくれる。そして今回の舞台も、ここでよくあるように、壁の両側を効果的に使っている。ここの施設、舞台がそれに向いているのか、それはよくわからないが。
エクサン・プロバンス音楽祭2015
指揮:アンドレア・マルコン、フライブルク・バロック・オーケストラ、演出:ケイティ・ミッチェル
パトリシア・プティボン(アルチーナ、王国を支配する魔女)、フィリップ・ジャルスキー(ルッジェーロ、魔女に魅入られた騎士)、
アンナ・プロハスカ(モルガーナ、女王アルチーナの妹で魔女)、 カタリナ・ブラディク(ブラダマンテ/リッチャルド、ルッジェーロの婚約者)、アンソニー・グレゴリー(オロンテ、モルガーナの婚約者)、クシシュトフ・ボンチク(メリッソ、ルッジェーロの後見人)、エリアス・メドラー(オベルト、行方不明の父を捜す少年)
2015年6月30日、7月10日 プロバンス大劇場、2015年11月 NHK BSPre
この数年、ヘンデルのオペラ上演、そのTV放送がかなりあり、音だけでもこれまでなじんでなかった世界を知ることができたのはありがたい。ずいぶん多作だったようで、それは当時人気があったからだろう。
ストーリーは、王国を支配している魔女が気に入った男ルッジェーロを魔術で思いどおりにしている。そこに男の婚約者が男装して乗り込んで来るが、今度は魔女の妹が彼に惚れてしまう。その後いろいろあって、最後は婚約者による救出作戦が、、、というもの。
大筋では勧善懲悪なのだが、主役は魔女アルチーナで、最後にやられながらも、その心情を延々と歌うその歌は一番の聴きものだ。
同じ作曲家の「ジュリオ・チェーザレ(ジュリアス・シーザー)」と、音楽も、脚本も似通ったところが多い。
音楽は、時間を快調に進めていくオーケストラをもとに、アリアをきかせるというものといえる。オーケストラはなんだかどの作品も、どの部分も似通っているようにきこえ、現代でいえば長いロックの楽曲のギターとベースが延々と続いてその中にヴォーカルが入ってきているという感じだ。歌舞伎みたいなものかと思ったりする。
それにしてもアルチーナのパトリシア・プティポンという人、広い声域のどこをとっても、リリカルにもドラマチックにも自在にできて、評判だけのことはある。繰り返しがくどいほど続く作品だから、スタミナも大層必要だろう。
演出は、宮殿風の室内と現代的な衣装の混合、そしてなんともエロティックな、そしてSMプレイのような場面が随所にある。話としてはこういうものだろうから、納得できるが、演じるほうは大変だろう。もっともあちらの人たちは平気なのかもしれない。
と、ここで気がついたのだが、この話、筋や設定は「ジュリオ・チェーザレ」と似ていなくもない。女王の宮殿、その中に来てしまった男、そしてその関係者同志のいろんな関係と顛末、宮殿の外の動乱というか闘い、、、これらはドラマの世界である定番のパターンになっているのかもしれない。大胆にいえばベートーヴェンの「フィデリオ」だって似ているところがある。そして武装してここに乗り込み救出にあたるという感じは、映画「コマンドー」(アーノルド・シュワルツネッガー)を思い出してしまった。
なお、エクサン・プロバンス音楽祭は毎年なかなか興味あるものを創ってくれる。そして今回の舞台も、ここでよくあるように、壁の両側を効果的に使っている。ここの施設、舞台がそれに向いているのか、それはよくわからないが。