リアルのゆくえ 高橋由一、岸田劉生、そして現代につなぐもの平塚市美術館 4月15日(土)- 6月11日(日)
日本の近代絵画、それも洋画で写実に注力したものを集め、かつその流れを概観しようというもの。黒田清輝の外光派そして印象派という流れとは別に、副題にもあるように高橋由一、岸田劉生のように対象にせまる写実があり、注意してみればその後現代まで続く興味深い画家たちと作品が生まれてきた。
今回の展覧会は、かなり多くの画家を集めていて、初めて知る名前も多い。その反面、一人あたりの作品は二三点というところで、画家のリアルへの迫り方をこちらが受け取るにはちょっと足りないうらみはある。
高橋由一、岸田劉生、河野通勢、靉光、高島野十郎、木下晋、礒江毅などは個人展を見ているから、この展覧会での位置を多少想像で補って見ることはできたが。
また、特に明治、大正あたりの作品は、はたして今回の文脈でリアルの追求といえるだろうか、とも感じる。もう少し何か思いというかテーマが先にきてというものがかなりあるように見える。
そうはいっても久しぶりに見ることができたものもあり、それはそれでよかった。そういう中で、たとえば岩橋教章「榎本武揚母堂像」、重松鶴之助「閑々亭肖像」、伊丹万作「祖母の像」、靉光「鳥」、長谷川潾二郎「猫」などは、現在宮城県美術館に収められている洲之内徹コレクションの一部であって、洲之内の好みというよりその眼力に感心する。
リアルという意味では、今回の収穫はむしろ現代という区分で出ているもので、特に犬塚勉(1949-1988)の「林の方へ」、「梅雨の晴れ間」、水野暁(1974)の「The Volcano-大地と距離について/浅間山-」は圧巻である。いずれも瞬間の写実のように見えて、実は時間をかけて見、描いたもので、ここには時間があるわけだが、どう考えたらいいのか、私としてはまだこれからである。
なお先日、犬塚の作品は「美の巨人たち」(テレビ東京)で取り上げられ、水野は「日曜美術館」(NHK Eテレ)に本人自らこの作品について述べた。
この美術館には6年前に初めて行って以来だが、なかなか興味深い企画をやる。
日本の近代絵画、それも洋画で写実に注力したものを集め、かつその流れを概観しようというもの。黒田清輝の外光派そして印象派という流れとは別に、副題にもあるように高橋由一、岸田劉生のように対象にせまる写実があり、注意してみればその後現代まで続く興味深い画家たちと作品が生まれてきた。
今回の展覧会は、かなり多くの画家を集めていて、初めて知る名前も多い。その反面、一人あたりの作品は二三点というところで、画家のリアルへの迫り方をこちらが受け取るにはちょっと足りないうらみはある。
高橋由一、岸田劉生、河野通勢、靉光、高島野十郎、木下晋、礒江毅などは個人展を見ているから、この展覧会での位置を多少想像で補って見ることはできたが。
また、特に明治、大正あたりの作品は、はたして今回の文脈でリアルの追求といえるだろうか、とも感じる。もう少し何か思いというかテーマが先にきてというものがかなりあるように見える。
そうはいっても久しぶりに見ることができたものもあり、それはそれでよかった。そういう中で、たとえば岩橋教章「榎本武揚母堂像」、重松鶴之助「閑々亭肖像」、伊丹万作「祖母の像」、靉光「鳥」、長谷川潾二郎「猫」などは、現在宮城県美術館に収められている洲之内徹コレクションの一部であって、洲之内の好みというよりその眼力に感心する。
リアルという意味では、今回の収穫はむしろ現代という区分で出ているもので、特に犬塚勉(1949-1988)の「林の方へ」、「梅雨の晴れ間」、水野暁(1974)の「The Volcano-大地と距離について/浅間山-」は圧巻である。いずれも瞬間の写実のように見えて、実は時間をかけて見、描いたもので、ここには時間があるわけだが、どう考えたらいいのか、私としてはまだこれからである。
なお先日、犬塚の作品は「美の巨人たち」(テレビ東京)で取り上げられ、水野は「日曜美術館」(NHK Eテレ)に本人自らこの作品について述べた。
この美術館には6年前に初めて行って以来だが、なかなか興味深い企画をやる。