7月22日 東京国際フォーラム WOWOW放送録画
久しぶりのツアーの最終日だそうだ。放送で多少編集はあっただろうが、曲の合間のおしゃべりはないといってよい。
淡々と「人生を語らず」、「今日までそして明日から」、「落陽」、後半は新曲をいくつか、という風に続いていく。
こうして聴いていて、多くが若い時に書かれたもの、それを今この歳になって歌っているという感はまったくない。これらの曲、特に歌詞は、その時その時の状況を反映しているとはいえ、その中でしっかり生きていくという姿勢に基づくものだからだろうか。
拓郎は若い時からラジオなどで、自分のことを「歌手」と規定していた。それはかなり意識的だったと思う。あんなに優れた作り手だったにもかかわらず。刺激的な印象を与えることもあり、プロテストする人と見られたこともあったようだが、すくなくとも音楽は音楽だった。
それを全体通して味わえた。
拓郎と同様に長い間地位を保っているひと、グループはあるが、とかくたてまつられ、大御所あつかいをされ、追従が多いけれども、拓郎の場合それがないのは、意外に地道な活動のせいだと考える。
さて拓郎は私と同じ歳である。何度か死にそうになったけれど、そのたびにどうかまだ死なないでくれ、と願ったことを記憶している。だからこれを見ることができ、聴くことができ、よかった。
バックバンドもそれなりの歳の熟練たちで、キーボードの武部聡志は若いほう、いろんなところでいつもいい仕事をしているけれど、その彼にしてこの日は一段と気合が入っていた。ギターの鳥山雄司という人は初めて認識したけれど、ソロで入ってきたときの輝きは聴かせた。