メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

ファツィオリというピアノ

2015-10-25 21:35:14 | 音楽
東京ジャズ2015のTV放送(NHK)を見ていたら、ピアノのハービー・ハンコックとサックスのウェイン・ショーターのデュオがあった。画面を見ているとピアノのロゴにFAZIOLIとあった。
 
大きなもので、きれいで豊潤な響きがある。はてどこかで見た名前と思ったら、村上龍の「カンブリア宮殿」(テレビ東京)でヤマハの特集があったときに、チャイコフスキー・コンクールのファイナルで用意された4台のピアノがあって、スタインウェイ、ヤマハ、カワイそしてこのファツィオリ(FAZIOLI)だった。
 
これまでまったく知らなかったピアノで、調べてみたらイタリアで数十年前に出来た会社、製品を出荷し始めてからまだ30年程度だという。一番長いものは308㎝もあり、世界最長らしい。日本にはまだ数台しかないようで、東京国際フォーラムにもないはずだから、今回のためだけに代理店が運び込んだものだろう。
 
それにしてもこの時代にアコースティック・ピアノの新会社が出来るとは、なかなか面白い。ちなみに私でもスタインウェイ、ヤマハ、カワイのグランドを触ったことはある。こんなこといえる柄ではないけれど、3つのなかではヤマハがいちばんしっくりくる。今後ファツィオリに触る機会があるかどうか。
直感ではこのピアノ、クラシックならロマン派以降のものに合いそうだが、ベートーヴェンも面白いかもしれない。

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アルフレッド・シスレー展

2015-10-22 21:50:31 | 美術
アルフレッド・シスレー展 -印象派、空と水辺の風景画家-
練馬区立美術館 2015年9月20日(日)~11月15日(日)
  
日本国内にあるアルフレッド・シスレー(1839-1899)の絵画20点を中心に、画家が主に描いたセーヌに関する広範な解説、そして画家に影響を受けた日本の画家の作品を加える、という構成の展覧会。
 
最初に解説されていたように、同じ印象派でもシスレーは同年代で付き合いのあったモネとことなり、あくまで対象の形と光を緻密に描くことを徹底しており、結果としてモネのような強い表出やその先の抽象化には至っていない。したがって地味な印象をもってしまうのはやむを得ない。
 
しかしながら、ずっとそばに置いてみていたい作品として、こういうものはそうないとも言える。なにより絵の中に入っていける感じは秀逸だし、そこにある空気感はとても気持ちがいい。
 
展覧会としては、あともう少し数があってもよかったし、もしあるのならより大きい絵も見たかった。
 
ところで、練馬美術館は年に1回はなかなか得難い企画をしてくれる。今年は舟越保武とこのシスレ-の二つ。予算もかかっただろうと想像したが、開館30年とかでおそらく少し多めの予算がとれたのだろうと推察する。今後も期待したい。

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インターンシップ

2015-10-06 21:25:24 | 映画
インターンシップ(The Internship、2013米、120分)
監督:ショーン・レヴィ、脚本:ヴィンス・ヴォーン、ジャレッド・スターン
ヴィンス・ヴォーン、オーウェン・ウィルソン
 
久しぶりに見た、現代のアメリカの表層をうまく茶化し、最後はセオリー通りに盛り上げた娯楽、コメディである。
一見なにやら怪しげな営業をやっていた二人の男が、それぞれうまくいかなくて失業、ネットで職をさがしていたらなんとあのグーグルがインターンを募集していて、それにだめもとで応募する。入ってみると、正社員狙いの優秀な連中がいる中で、二人はIT分野にも詳しくなく、年齢も随分上で、実習と選抜が始まると、やはりと溶け込めない4人と一つのグループになる。
 
そのあとの、ひとつひとつの課題に対するチャレンジとその結果は、コメディの脚本、演技、演出のお楽しみ。
 
そしていまどきのグーグルに応募してくる連中は、はなもちならないわけであり、またグーグルのよく知られている細かい特徴も笑いのたねにされている。
年上の二人を中心に据えたところが、展開の面白さと、共感を呼ぶしかけになったのだろう。
 
久しぶりのオーウェン・ウィルソン、私の好きなベン・スティラー ファミリーの一人で、秀逸なおバカ映画には欠かせない人、いろいろ心配ごともあったのだが、健在でなによりだった。
 
年上の二人がこうして這い上がるというストーリーの説明に使うのが映画「フラッシュダンス」(1983)で、そういう時のうつろいか、と考えてしまった。
 
ひまつぶしに見るにはいい。もっともグーグルおよびその環境があと数年で変化してしまうと、そう面白くはないということになるかもしれない。


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