情婦 (Witness For The Prosecuter、1957米、116分)
監督:ビリー・ワイルダー、脚本:ビリー・ワイルダー/ハリー・カーニッツ、原作:アガサ・クリスティー
タイロン・パワー(ヴォール)、マレーネ・ディートリッヒ(クリスティーネ)、チャールズ・ロートン(ウィルフレッド卿)、エルザ・ランチェスター(プリムソル)
公開当時どんな考えでかわからないがなんともずれてる邦題、今ならアガサ・クリスティー原作の;短編小説・戯曲の「検索側の証人」そのままでまったく問題ないだろうに。
これは舞台でも映える法廷ものをもとにした傑作、名作である。
戦後、ドイツからイギリスに帰ってきた元兵士のヴォールは、偶然金持ちで一人暮らしの初老夫人と知り合いになるが、彼女が殺害され、殺人の嫌疑がかかって、;ロンドン法曹界の重鎮ウィルフレッド卿に頼み込む。ウィルフレッドは心臓病治療から退院したばかりで、出廷は禁じられているが、直観でヴォールは無罪と感じ、引き受ける。
ヴォールの妻クリスティーネは彼がドイツにいた時に助けた元女優だが、なぜか謎の夫に不利な証言をする。ここからのウィルフレッドの法廷弁論、裁きが、鋭さ、ユーモアたっぷりで、最後まで飽きない。
ウィルフレッドについている専任看護婦のプリムソルとのやりとりがまた面白い。
三人の主に法廷での演技、タイロン・パワーもマレーネ・ディートリッヒも特にこの役だからと作っているところはなく、二人ならこんな感じだろうというそのままなのだが、それで違和感はなく、このあたりがワイルダーのうまいところなのだろう。
なんといってもチャールズ・ロートンのウィルフレッドは一世一代の名演である。すべての台詞を聞き逃さないよう、すべての動作を見逃さないようにさせるだけのものがある。そして最後の結末は二転三転、これで決着と思ったら、またまた、、、
たいへんなしかけだが、これは最後の最後に作者から明かされるもので、明かされてから話を振り返って、そういえばあそこはと気がつくところはほぼない。これはクリスティー原作の多くと同様である。
看護婦プリムソルのエルザ・ランチェスターがまたうまくて、最後の最後にまた効いてくる一言を発する。この人チャールズ・ロートン夫人だそうである。
ところでウィルフレッドは右目に単眼鏡をはめていて、面談でもそれで光を反射させ、相手を窺うのだが、法廷で最後の最後の場面、これを手でもてあそんでいるとその光があるものを照らし、それが、、、というカメラワークの仕掛けがある。ワイルダー、すばらしい!
これまで見たワイルダーのいくつかの作品、最後に正義感、心意気が報われるといったものが多かったが、本作はもうすこしひねったものになっている。
監督:ビリー・ワイルダー、脚本:ビリー・ワイルダー/ハリー・カーニッツ、原作:アガサ・クリスティー
タイロン・パワー(ヴォール)、マレーネ・ディートリッヒ(クリスティーネ)、チャールズ・ロートン(ウィルフレッド卿)、エルザ・ランチェスター(プリムソル)
公開当時どんな考えでかわからないがなんともずれてる邦題、今ならアガサ・クリスティー原作の;短編小説・戯曲の「検索側の証人」そのままでまったく問題ないだろうに。
これは舞台でも映える法廷ものをもとにした傑作、名作である。
戦後、ドイツからイギリスに帰ってきた元兵士のヴォールは、偶然金持ちで一人暮らしの初老夫人と知り合いになるが、彼女が殺害され、殺人の嫌疑がかかって、;ロンドン法曹界の重鎮ウィルフレッド卿に頼み込む。ウィルフレッドは心臓病治療から退院したばかりで、出廷は禁じられているが、直観でヴォールは無罪と感じ、引き受ける。
ヴォールの妻クリスティーネは彼がドイツにいた時に助けた元女優だが、なぜか謎の夫に不利な証言をする。ここからのウィルフレッドの法廷弁論、裁きが、鋭さ、ユーモアたっぷりで、最後まで飽きない。
ウィルフレッドについている専任看護婦のプリムソルとのやりとりがまた面白い。
三人の主に法廷での演技、タイロン・パワーもマレーネ・ディートリッヒも特にこの役だからと作っているところはなく、二人ならこんな感じだろうというそのままなのだが、それで違和感はなく、このあたりがワイルダーのうまいところなのだろう。
なんといってもチャールズ・ロートンのウィルフレッドは一世一代の名演である。すべての台詞を聞き逃さないよう、すべての動作を見逃さないようにさせるだけのものがある。そして最後の結末は二転三転、これで決着と思ったら、またまた、、、
たいへんなしかけだが、これは最後の最後に作者から明かされるもので、明かされてから話を振り返って、そういえばあそこはと気がつくところはほぼない。これはクリスティー原作の多くと同様である。
看護婦プリムソルのエルザ・ランチェスターがまたうまくて、最後の最後にまた効いてくる一言を発する。この人チャールズ・ロートン夫人だそうである。
ところでウィルフレッドは右目に単眼鏡をはめていて、面談でもそれで光を反射させ、相手を窺うのだが、法廷で最後の最後の場面、これを手でもてあそんでいるとその光があるものを照らし、それが、、、というカメラワークの仕掛けがある。ワイルダー、すばらしい!
これまで見たワイルダーのいくつかの作品、最後に正義感、心意気が報われるといったものが多かったが、本作はもうすこしひねったものになっている。