メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

マスターズ水泳

2017-06-26 20:54:46 | スポーツ
今年も水泳のマスターズ(東急系)に出た。種目は昨年初めてトライした50mバタフライ。
50mをバタフライで泳ぎ切ることに関してはもう心配はなくなっていて、目標としては年齢も考え、タイムがそれほど落ちなければと思っていたが、意外に悪いタイムだった。
 
飛び込みスタートは予想よりうまくいき(これに関してはどっちかというと本番に強い)、バサロから浮き上がって数ストロークいったところで、これはどうも体のキレが悪いと感じた。それは最後まで変わらず、それに応じた結果になった。
 
これには思い当たることがあって、本番の前二日くらいは休んだ方が、特にこういう年齢になるといいということで、前日は休んだのだが、今回は前日もトレーニングに出て、その時間帯の重点種目はバタフライだった。
 
これには理由があって、競技会の月以外は飛び込みスタートの練習がなく、今の時間割だと土曜日のみということで、一応出ておこうかということになった次第。

こうして、以上のことが実感として理解できたから、次回は二三日前から休もうと思う。飛び込みは理想的にいかなくても、本番でゴーグルをかなりきつく締め、顎があがらないことだけ考えてやれば、結果はなんとかなるのだから。


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ブルックリン

2017-06-20 21:09:40 | 映画
ブルックリン (Brooklyn、2015アイルランド/英/加、112分)
監督:ジョン・クローリー、原作:コルム・トビーン、脚本:ニック・ホーンビィ
シアーシャ・ローナン(エイリッシュ)、エモリー・コーエン(トニー)、ドーナル・グリーソン(ジム)、ジム・ブロードベント(ブラッド神父)、ジェリー・ウォルターズ

ドラマの起伏は激しくないが、いくつかの曲がり角で見る者に、はてどうする?と考えさせる。
1950年ころ、アイルランドで母・姉と暮らしていたエイリッシュは、ニューヨーク・ブルックリンにいる神父の紹介もあり、船でアメリカにわたり、女性が集まっている宿舎(女主人がいるこういう形態は確か他の映画でも見た覚えがある)に入り、百貨店で働くことになるが、優秀なのか、努力家なのか、次第に認められ、夜間大學に行って簿記を覚えていく。
一方、ダンスパーティで見初められたイタリア系大家族の息子(トニー)と付き合いだす。この相手は彼女と比べ、優秀ではないが、純朴で、家族の雰囲気もいい。
 
そうしているうちに、姉の持病が悪化し死んでしまう。葬式には間に合わなかったが、トニーにせがまれ結ばれて他人には内緒で結婚の手続きをし、一時アイルランドに帰郷する。そこで友人の結婚式などから、予定より長く滞在し、周りの勧めもあってジムと付き合いだし、見ているとあれあれという感じで一緒になりそうな雰囲気になりずるずると帰りを遅らせ、この娘もどうなんだと思わせるのだが、あるきっかけで、故郷のある面と、自らが選んだ道・世界との間で、再び決断をする。
この最後の決断の瞬間は、いきなりであって、見る者がさまざまに考えるという形になっている。故郷、家族、これから自身で生きる道、その決断。
 
ブルックリンはマンハッタンと格差を感じるところであり、アイリッシュとイタリアンのファミリーの色が濃いというところなのだろう。それはヤンキースとドジャースというひいきチームにも表れている。
 
主人公のローナン、あまり表情豊かでなく、ちょっとにぶい田舎出という感じで進んでいくのだが、それでいて節々で印象的な瞬間をこちらに刻みつけていく。全体になだらかな話の進行とともに、何か嘗ての日本映画の女優のような雰囲気もある。
この映画、先のアカデミー賞で作品賞、主演女優賞、脚色賞にノミネートされていた。
 
シアーシャ・ローナン、調べてみたらなんとあの「つぐない」の妹役(当時13歳)だった。その後順調に育ったようだ。
 
そして脚本のニック・ホーンビィはきいたことがあったようだったので調べてみたら、やはりなんと「ぼくのプレミアライフ」(1997)、「ハイ・フィデリティ」(2000)、「アバウト・ア・ボーイ」(2002)、「2番目のキス」(2005)など、どれも大好きな作品の原作者であった。ブルックリンはこれらよりは渋いけれど、舞台となっている地域や登場人物のコンプレックスなど、共通するものがある。
 
大戦後のアメリカ、移民たちが繁栄させていったアメリカの、ある側面が、当時のブルックリンの風景とともに、気持ちよく描かれていた。
 
ところで、主人公が習う「簿記」、映画の中で聴いていると英語でもボキ?、、、簿記は英語でbookkeepingだが、それにあてる日本語として発音も似ている簿記にしたのだろうか、そうだという説もあるにはあるが、確かではないようだ。福澤諭吉の時代、いろいろな用語が日本語にあらわれたのだが。


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P.G.ウッドハウス「ジーヴスの事件簿」

2017-06-06 21:25:38 | 本と雑誌
ジーヴスの事件簿 才智縦横の巻(The Casebook of Jeeves)
P.G.ウッドハウス 岩永正勝・小山太一 訳  文春文庫
 
イギリスのちょっと上流階級の独身男性バーティ、家族から離れて一人で暮らしているが、正確にいえば、極めて有能な執事ジーヴスがついている。
 
バーティはちょっと頭が弱く、苦労も足りないから、性格は悪くないのだが、あぶなっかしく、よく難題をかかえることになる。それをジーヴスに相談したり、頼んだりする前に、憎いことにジーヴスはそれとなく察知していて、解決策を考えていることが多い。
その策はも正しいか、善良かという観点からは、必ずしもほめられたものばかりではないのだが、主人としては、くやしいけれどまあそれしかないかな、というものである。このあたりがおかしいし、読む楽しみともなる。
執事というものを、おそらくデフォルメもして、楽しい読み物の題材にしたのだろう。
 
ウッドハウスという名前、どっかで言及されていた記憶はあるが、ジーヴスとともにはっきり認識したのは、P.D.ジェイムズと同様、日経に連載された有栖川有栖「ミステリー国の人々」で紹介されてからである。
 
ミステリーというほどではないけれど、ちょっとした事件の解決策にユーモアやいじわるがあって、ひまなときの読み物としては上質である。たとえば、主人公の結婚相手になりそうな娘が出てきて、彼が気が進まないとき、ジーヴスがうまくやってくれるのだが、主人が結婚するとそれまでの執事はそこから退くということになっているらしく(まあなるほどとは思う)、そうならなくてよかったということもあるらしい。
 
翻訳はおそらく上質なんだろう。全体にいい、そして面白い空気を出している。もう少し英語ができて、もう少し若ければ、後の楽しみとして、これの原文を読んでもいいのだが。
 
おそらくイギリスの本質、面白さを味わえる文章なんだろう、と想像する。

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アントニー・ジマー

2017-06-01 09:53:37 | 映画
アントニー・ジマー(Anthony Zimmer、2005仏、89分)
監督・脚本:ジェローム・サル
ソフィー・マルソー(キアラ)、イヴァン・アタル(フランソワ)、サミー・フレイ(アケルマン)
 
楽しめるサスペンス・ミステリー。不法に荒稼ぎした金を巧妙にロンダリングしている犯罪者アントニー・ジマーは手配書に写真がない謎の人物。追っているのはフランス警察のアケルマンとロシアの機関。そしてジマーを見たことがあるキアラがヴァカンスにいく金持ち旅行者に扮して、列車でジマーに似た男を探し、見つけたフランソワをジマーに仕立てる。
 
さてそこから危険な動きがいろいろ始まる。その中でカンヌを中心にソフィー・マルソーの映像を楽しみたい私のようなファンには、それなりの配慮がされている。
 
結末に近づくにしたがって、もしや、やっぱりという勘がはたらいてしまい、終わってみると、それなら途中もっと入念にとは思うのだが、それは娯楽映画ということで許そう。
 
ソフィー・マルソーはここでは謎のイメージを最後まで残し、見え方、動きとも期待どおりだが、この陰のある、これまでストレスがあったであろう主人公にあわせて、少しだがやつれた風貌にしている。この人は作品によってこういうことをやり、あとの作品では華やかさと色気がもどったり、ということもある。映画女優としてのサービスをよくわかっているのだろう。
 
フランソワのアタルは、この微妙な役をあまり出すぎずうまく演じている。ただもう少し筋肉質だったらと思うが。
 
そしてサミー・フレイ、渋く、細身だが貫禄あって、アケルマンのキャラクターにうまくはまっている。こんなに歳とって出会うとは思わなかった。画面上で気がついて見たのはおそらく「夕なぎ」(1972、監督:クロード・ソーテ)以来だろう。これは大好きなロミー・シュナイダーの最高傑作だと思っていて、協演したイヴ・モンタンの存在感もさることながら、脇役のサミー・フレイやウンベルト・オルシーニがなかなか効いていた。この人についてはそれまでブリジット・バルドーの恋人だったことくらいしか知らなかったが。
 
ところでこの映画、誰がどう思ったか2010年に「ツーリスト」としてリメイクされたようだ。コンパクトに作られたフランス映画がリメイクされることは時々ある(逆はまずない)が、配役はなんとジョニー・デップとアンジェリーナ・ジョリーだそうだ。順序が逆なら両方見て比較するのも面白いだろうが、今回はなし。ソフィー・マルソーの後、あの女優は見たくない。
 
なお、ビデオで字幕の表示時間があまりにも短いことが何か所かあった。

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