メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

絵本読み聞かせ(2023年9月)

2023-09-28 15:57:25 | 本と雑誌
絵本読み聞かせ(2023年9月)
 
年少
おててがでたよ(林明子)
ぶーぶーじどうしゃ(山本忠敬)
くだもの(平山和子)
年中
かくしたのだあれ(五味太郎)
でんしゃにのって(とよたかずひこ)
くだもの
年長
でんしゃにのって
キャベツくん(長新太)
くだもの
 
1年前とほぼ同じプログラムだが、反応がちがうのはおもしろい。
この年少向けは定番だが、「くだもの」以外、もうすこし色とかたちが目立つのものほうがよかったか。
 
たまたまNHKで五味太郎のインタヴューがあり、絵本はこどもたちにとっておもしろくたのしくあればいい、娯楽だといっていて、たしかにそれはそうだと思う。「かくしたのだあれ」は何人ものまえでやるとすぐに見つける子とそうでない子がいるから、そこはちょっと難しい。ページのはこび、テンポで工夫が必要。
 
「でんしゃにのって」はいろんな動物が乗ってくるが、ここまで驚いてくれるのは意外。「切符知ってる?」ときいたら半分以上は「知ってる」だった。新幹線か?
 
「キャベツくん」はこれまでよりもりあがった。ファンタジーというよりナンセンス(ギャグ)もの、これくらい破天荒だと感じるのかな。

「くだもの」、すべての年齢で沸いてくれる。好みを自分勝手にさけぶ気持ちよさなんだろうか。


 

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梶井基次郎の短編

2023-09-25 17:30:59 | 本と雑誌
檸檬(れもん)
梶井基次郎 著  新潮文庫

 
梶井基次郎 (1901-1922) の主要作品を集めた短編小説集で、もっとも有名な「檸檬」がその名前になっている。
 
これも以前アップした荒川洋治「文庫の読書」でとり上げられている(新潮文庫ではないが)ので、読んでみた。もっとも「檸檬」だけは読んだ記憶がある。梶井個人でなく複数の作家のアンソロジイだったのかもしれない。そうだとするとかなり以前ということになるが。
 
再読してみると檸檬は確かによくできたものだが、若くていろんなもの、当時の教養といってもいいものが頭の中をぐるぐるめぐっているインテリの想念を描いたといった感じで、ちょっと辟易するところもあった。
 
そこへいくと荒川が一つだけ取り上げている「城のある町にて」がえがいている対象と文章の魅力で心に残った。死んだ妹のことを思いながら姉のいる三重県松坂を訪ねたときの風景、家族や土地の人たちとのまじわりが力まずに描かれていて、文章もいい。
 
その他では「Kの昇天」が月による自分の影を追って昇天する男を描き、つくりものすぎるところはあるけれど、なかなかという感があった。私としてはここから思いうかぶのがベートーヴェンの「月光」第三楽章で、それもあるかもしれない。



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リヒャルト・シュトラウス「影のない女」

2023-09-19 17:50:59 | 音楽一般
リヒャルト・シュトラウス:歌劇「影のない女」
指揮:キリル・ペトレンコ、演出:リディア・シュタイアー
エルザ・ファン・デン・ヘーヴァー(皇后)、クレイ・ヒリー(皇帝)、ウォルフガング・コッホ(バラック)、ミナ・リザ・ヴァレラ(バラックの妻)、ミヒャエラ・シュスター(乳母)、ヴィヴィアン・ハータート(少女)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、2023年4月5、9日 バーデンバーデン祝祭歌劇場
 
この数年このオペラを見る機会が何度かあり、特に2019年ウィーンでの上演でかなり理解が進み、またよく味わえたと思ってきた。今回も期待したが、これは外面的にもこれまでとあまりに違った印象で、最後まで戸惑ってしまった。
 
演出のシュタイアーはいろいろ細工をしてわかりやすくしたようだが、衣装、舞台装置などかなり明るく派手、キッチュというか、20世紀前半の庶民的な趣味の悪さなのか、下層階級の染め物師バラックの世界ではない。なんとか似合ってるのは皇帝と皇后くらいか。
 
そして舞台は、妊娠させられてしまった少女たちをあずかっている修道院という設定なのだが、そのうちの一人が黙役で最初から最後まで出てきて、登城人物たちにからみ、なにか象徴しているのだろうか、説明的すぎて、こちらの注意がそがれる。熱演なのだがそれは別。
終盤にこの娘に対応する歌詞が出てはるから、これにヒントを得た演出なのだろうが、あまりにも自分勝手。
 
歌手たちはまずまずで、このオペラでキーとなるバラックの妻も乳母もうまいが、今回はヘーヴァーの皇后がよかった。この話、終盤になって皇后が前に出てきて展開も音楽の盛り上がるが、ここで聴かせた。
 
とはいえ、音楽は本当に素晴らしく、ペトレンコ指揮ベルリンフィルの腕の見せどころだった。音楽だけ聴いているほうがよかったかもしれない。
 


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