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From Shelley, The Cenci, 5.4

パーシー・B・シェリー
『チェンチ一族』 5幕4場より

ベアトリーチェ:
[とり乱したようすで]
ねえ、神さま! おかしいですよね?
こんなにすぐわたしは死ななくてはならないの?
まだ若いのに、暗くて冷たい土のなかに埋められて、
うじ虫に食べられて腐っていくなんていやよ!
せまい棺桶に釘つきのふたでとじこめられて、
もう輝く太陽も見れない、
生きものの楽しい声も聞けない、なんて、そんなのいや!
あたりまえないろんなことを考えることもなくなって、
悲しいことすらもう頭に浮かばないなんて、絶対にいやよ!
ひどすぎる! こわい! わたしが消えてなくなるなんて!
どうなっちゃうの? え? あれ? ここは・・・・・・どこ・・・・・・?
もういや! 頭がおかしくなりそう!
やさしい神さま、わたし弱くてごめんなさい!
でも、どうすればいいの? もしこの空っぽの世界には
神さまなんていなくて、天国もなくて、この世も実は嘘だったとしたら?
広くて、灰色で、あかりもなく、底なしに深いこの世界で、
わたし、ひとりぼっちだったとしたら?
この世のものはみんなお父さまの霊が化けたもので、
お父さまの目、声、手が、わたしをとりかこんでいるとしたら?
生きながらにして死んでいるわたしのまわりにの空気みたいに?
わたし自身の息みたいに? もし、お父さまがこの世に
いたときのような姿で、わたしを苦しめたときのようなあんな姿で、
灰色の髪、しわだらけの顔、なんて仮面をつけてやってきて、
悪魔のような腕でわたしをつつんで、わたしの目を
じっと見つめて、そして下に、下に、下に、引きずり落ろそうとしたら?
だって、まるで神さまみたいに、あの人にできないことは
なかったのですもの! あの人はどこにでもいたのですもの!
だから、死んでも、あの人の魂は、生きて息をしている
すべてのもののなかで生きていて、前と同じように、
わたしや大事な人たちの破滅をたくらんでるんじゃないかしら!
わたしたちがあざけられて、苦しみ、そして絶望するように!
誰か、生き返った人っているのかしら? 誰も行ったことのない
死の王国の法律を教えてくれるような人は?
でもそれも、たぶん正しくない法律のはず。
今わたしたちを追ってくる法律と同じくらい、まちがってる。
追いかけられて、わたしたちどうなるの? ねえ、どうなっちゃうの?

ルクレティア:
やさしい神さまの愛を信じるのよ。
やさしい救い主の約束を信じるの。
夜が来るころには、わたしたち、天国にいるはずよ。

ベアトリーチェ:
そんな話、もう聞きたくない!
これから何がおこるかわからないけど、もうわたしはどん底。
これ以上落ちこむことはないくらい。
でも、よくわからないけど、天国の話とか、心がもっと凍りそうなの。
時間の無駄で、インチキで、そして冷たいわ、何もかも。
わたし、本当にひどい目にたくさんあってきた。
神さまにも、人にも、それから、
わたしの運命を悲惨な方向に導いてきた星とかにも、
区別がついてなかったんじゃないかしら。
何が善で、何が悪か、っていう、ね。本当にそうよ。
だから、わたしの世界に、もうわたしはいないの。
光と命と愛の世界から追い出されちゃったの。こんなに若いのに。
今さら神を信じてっていわれても困っちゃう。
信じたい、とは思うわ、もちろん。
他に信じられるものなんてないもの。
でも、もうわたしの心は冷たくなってしまってるのよ。

[ベアトリーチェが話している途中から、ジャコモは
下がってカミルロと何かを話す。カミルロは舞台から去り、
ジャコモは前に出る。]

ジャコモ:
ご存知ですよね、お母さま。ベアトリーチェ、知ってるよね?
ベルナルドが今、教皇に会いに行っています。
わたしたちの恩赦を求めて、です。

ルクレティア:
そうね、たぶん、
恩赦がいただけるわ。わたしたちみんな死刑にならずにすむのよ。
そして何年か経ったら、この苦しみも昔話みたいになるわ。
ああ、本当にそうなったらいいのに! 心が熱くなるわ。
まるであたたかい血が入ってきたかのよう。

ベアトリーチェ:
いいえ、心も血もすぐに冷たくなるわ。
ねえ、そんな考えは踏みつぶしてしまって!
絶望よりも悪いのは、つらい死よりも悪いのは、希望よ。
あと少ししか生きられなくて、めまいと痛みに襲われてて、
もうふらふらで今にも倒れそうなのに、
それでも心に忍びこんでくるんだから!
あっという間に襲ってくる霜に、
春の最初に咲いた花を枯らさないで、ってお願いしたほうがましよ。
それか、目を覚ましてしまった地震にお願いしたら?
その上にある強く、美しく、そして自由な都市を助けてあげて、って。
黒くて嫌なにおいのする大地の口を開いてのみこまないで、って。
そうよ、飢餓や、風にのってくる疫病や、
盲目の稲妻や、耳の聞こえない海にお願いしたほうがまし。
人間なんかよりね! 残酷、冷酷で、
かたちだけのルールにしばられてるんだから。
いうことはりっぱでも、やることはカインと同じなの。
そう、お母さま、わたしたちは死ぬのよ。
正しく生きてきたら、そういうごほうびがもらえるの。
そうして最悪の不幸から解放されるの。
逆に、わたしたちを殺す殺し屋たち、頑なで冷たいあの人たちは、
泣いてる人々のなかでニコニコしながら長生きして、
そしてまるで眠るかのように死んでいくの。
わたしたちにとって、お墓がちょっと楽しいところだったらいいのにな。
さあ、よくわからないけど、〈死〉よ、来て。
すべてを抱きしめるその腕でわたしをつつんで!
やさしい母のように、わたしを胸に抱いて隠して。
そして揺らして、わたしが眠るまで。そしたらもう起きないから。
生きていられる人は生きればいいわ。たがいに支配し、支配されながら。
わたしたちもそうだったけど、でも、もう・・・・・・。

[ベルナルドが走って登場]

ベルナルド:
ああ、ひどすぎる!
祈りながら希望が注ぎ出した涙、そしてまなざし、
それで心が空っぽになり、希望もなくなってしまったというのに、
これがみんな無駄だったなんて! 死神の手下が
ドアのところで目を光らせてる。奴らのうちのひとりの顔には、
たぶん血がついていた・・・・・・。気のせい、かな?
でも、もうすぐ、ぼくの大切な人すべての血が
奴にふりかかるんだ。そして奴は、それをぬぐい落とすんだ、
ただの雨粒みたいに! ああ、この命! この世界!
ぼくを覆い隠して! もう消えたい!
まさに純粋さそのものであるような姉さん、
姉さんを見てたからぼくは幸せだった、いい人になれた、
そんな姉さんがこなごなの塵にかえっていくなんて!
ベアトリーチェ姉さん、
姉さんに見つめられたものは何でも美しくなった、
姉さんは命のあかりだった。
なのに死ぬなんて! 暗くなってしまうなんて!
姉さん、って呼んだときに、
おまえに姉さんなんかいない、といわれるようになってしまうなんて!
それから、母さん、母さんのやさしさがぼくたちみんなをつつんできてくれた、
そんな母さんも死ぬなんて! 大事な絆が壊されてしまうなんて!

[カミルロと護衛が登場]

あの人たちだ!
姉さん、そのあたたかい唇にキスさせて。
すぐにその真っ赤な花びらは、病んで枯れて、
白くなるのだから・・・・・・冷たくなってしまうのだから。
さよならをいって!
もうじき死神に首を絞められて、そのやさしい声も出なくなってしまうのだから!
ねえ、何かいって! 声を聞かせて!

ベアトリーチェ:
さようなら、ベルナルド。こんなふうに死ぬのは悲しいけど、
でも、とり乱したらダメよ。
ひどい、かわいそう、って思うくらいならいいけど、
でも、悲しくてもがまんするのよ。絶望して荒れたりしたらダメだからね。
泣いて、そして耐えるの。
あと、もうひとつ、お願い、
わたしたち家族を思う気持ちを忘れないで。
そして信じて、
変な雲みたいな罪と恥にまみれてしまったけど、
わたしはいつも清らかに、汚れなく生きてきた、って。
たぶん、口の悪い人たちが、わたしのこと、ひどくいうと思うわ。
わたしの家族だから、罪のないあなたも額に烙印が押されて、
後ろ指をさされることでしょうね。
でも、ごめんなさい、がまんしてね。
わたしたちのこと、悪く思わないで。
お墓に入っても、あなたを愛してるんだから。
死ぬまで安らかに生きていくのよ。
恐怖と悲しみに打ち勝つの。今のわたしみたいにね!
さようなら・・・・・・さようなら!

ベルナルド:
いやだよ! さよならなんて!

カミルロ:
ベアトリーチェさま!

ベアトリーチェ:
悲しんでいただくことなんてないわ、枢機卿さま。
お母さま、この帯を結んで。
それから、髪もあげてくれる? かんたんでいいからね。
・・・・・・ありがと、これでいいわ。
お母さまの髪も落ちてきてるわよ。
よくふたりでこんなふうにしてたよね・・・・・・
でも、今日が最後だわ。
さあ、枢機卿さま、準備ができました。行きましょ。

[おわり]

* * *
(英語テクストどおりの改行で)

ベアトリーチェ:
[とり乱したようすで]
ああ、
神さま! おかしいですよね? こんなにすぐ
わたしは死ななくてはならないの? まだ若いのに、暗くて
冷たい土のなかに埋められてうじ虫に食べられて腐っていくなんていやよ!
せまい棺桶に釘つきのふたでとじこめられて、
もう輝く太陽も見れない、生きものの
楽しい声も聞けない、なんて、そんなのいや! あたりまえないろんなことを
考えることもなくなって、悲しいことすらもう頭に浮かばないなんて、絶対にいやよ!
ひどすぎる! こわい! わたしが消えてなくなるなんて! どうなっちゃうの?
え? あれ? ここは・・・・・・どこ・・・・・・? もういや! 頭がおかしくなりそう!
やさしい神さま、わたし弱くてごめんなさい! でも、どうすればいいの? もし
この空っぽの世界には神さまなんていなくて、天国もなくて、この世も実は嘘だったとしたら?
広くて、灰色で、あかりもなく、底なしに深いこの世界で、わたし、ひとりぼっちだったとしたら?
この世のものはみんなお父さまの霊が化けたもので、
お父さまの目、声、手が、わたしをとりかこんでいるとしたら?
生きながらにして死んでいるわたしのまわりにの空気みたいに? わたし自身の息みたいに?
もし、お父さまがこの世にいたときのような姿で、
わたしを苦しめたときのようなあんな姿で、
灰色の髪、しわだらけの顔、なんて仮面をつけてやってきて、
悪魔のような腕でわたしをつつんで、わたしの目を
じっと見つめて、そして下に、下に、下に、引きずり落ろそうとしたら?
だって、まるで神さまみたいに、あの人にできないことはなかったのですもの!
あの人はどこにでもいたのですもの! だから、死んでも、
あの人の魂は、生きて息をしているすべてのもののなかで生きていて、
前と同じように、わたしや大事な人たちの破滅をたくらんでるんじゃないかしら!
わたしたちがあざけられて、苦しみ、そして絶望するように! 誰か、生き返った人って
いるのかしら? 誰も行ったことのない死の王国の法律を教えてくれるような人は?
でもそれも、たぶん正しくない法律のはず。今わたしたちを追ってくる法律と同じくらい、
まちがってる。追いかけられて、わたしたちどうなるの?
ねえ、どうなっちゃうの?

ルクレティア:
やさしい神さまの愛を信じるのよ。
やさしい救い主の約束を信じるの。夜が来るころには、
わたしたち、天国にいるはずよ。

ベアトリーチェ:
そんな話、もう聞きたくない!
これから何がおこるかわからないけど、もうわたしはどん底。これ以上落ちこむことはないくらい。
でも、よくわからないけど、天国の話とか、心がもっと凍りそうなの。
時間の無駄で、インチキで、そして冷たいわ、何もかも。わたし、
本当にひどい目にたくさんあってきた。
神さまにも、人にも、
それから、わたしの運命を悲惨な方向に導いてきた星とかにも、
区別がついてなかったんじゃないかしら。
何が善で、何が悪か、っていう、ね。本当にそうよ。
だから、わたしの世界に、もうわたしはいないの。
光と命と愛の世界から追い出されちゃったの。こんなに若いのに。
今さら神を信じてっていわれても困っちゃう。
信じたい、とは思うわ、もちろん。他に
信じられるものなんてないもの。でも、もうわたしの心は冷たくなってしまってるのよ。

[ベアトリーチェが話している途中から、ジャコモは
下がってカミルロと何かを話す。カミルロは舞台から去り、
ジャコモは前に出る。]

ジャコモ:
ご存知ですよね、お母さま。ベアトリーチェ、知ってるよね?
ベルナルドが今、教皇に会いに行っています。
わたしたちの恩赦を求めて、です。

ルクレティア:
そうね、たぶん、
恩赦がいただけるわ。わたしたちみんな死刑にならずにすむのよ。
そして何年か経ったら、この苦しみも昔話みたいになるわ。
ああ、本当にそうなったらいいのに! 心が熱くなるわ。
まるであたたかい血が入ってきたかのよう。

ベアトリーチェ:
いいえ、心も血もすぐに冷たくなるわ。
ねえ、そんな考えは踏みつぶしてしまって! 絶望よりも悪いのは、
つらい死よりも悪いのは、希望よ。
あと少ししか生きられなくて、めまいと痛みに襲われてて、もうふらふらで
今にも倒れそうなのに、それでも心に忍びこんでくるんだから! あっという間に
襲ってくる霜に、春の最初に咲いた花を枯らさないで、ってお願いしたほうがましよ。
それか、目を覚ましてしまった地震にお願いしたら? その上にある
強く、美しく、そして自由な都市を助けてあげて、って。
黒くて嫌なにおいのする大地の口を開いてのみこまないで、って。
そうよ、飢餓や、風にのってくる疫病や、
盲目の稲妻や、耳の聞こえない海にお願いしたほうがまし。人間なんかよりね!
残酷、冷酷で、かたちだけのルールにしばられてるんだから。いうことはりっぱでも、
やることはカインと同じなの。そう、お母さま、わたしたちは死ぬのよ。
正しく生きてきたら、そういうごほうびがもらえるの。
そうして最悪の不幸から解放されるの。
逆に、わたしたちを殺す殺し屋たち、頑なで冷たいあの人たちは、
泣いてる人々のなかでニコニコしながら長生きして、
そしてまるで眠るかのように死んでいくの。わたしたちにとって、
お墓がちょっと楽しいところだったらいいのにな。さあ、よくわからないけど、
〈死〉よ、来て。すべてを抱きしめるその腕でわたしをつつんで!
やさしい母のように、わたしを胸に抱いて隠して。
そして揺らして、わたしが眠るまで。そしたらもう起きないから。
生きていられる人は生きればいいわ。たがいに支配し、支配されながら。
わたしたちもそうだったけど、でも、もう・・・・・・。

[ベルナルドが走って登場]

ベルナルド:
ああ、ひどすぎる!
祈りながら希望が注ぎ出した涙、そしてまなざし、
それで心が空っぽになり、希望もなくなってしまったというのに、
これがみんな無駄だったなんて! 死神の手下が
ドアのところで目を光らせてる。奴らのうちのひとりの顔には、
たぶん血がついていた・・・・・・。気のせい、かな?
でも、もうすぐ、ぼくの大切な人すべての血が
奴にふりかかるんだ。そして奴は、それをぬぐい落とすんだ、
ただの雨粒みたいに! ああ、この命! この世界!
ぼくを覆い隠して! もう消えたい! まさに
純粋さそのものであるような姉さん、
姉さんを見てたからぼくは幸せだった、いい人になれた、
そんな姉さんがこなごなの塵にかえっていくなんて! ベアトリーチェ姉さん、
姉さんに見つめられたものは何でも美しくなった、
姉さんは命のあかりだった、なのに死ぬなんて! 暗くなってしまうなんて! 姉さん、って呼んだときに、
おまえに姉さんなんかいない、といわれるようになってしまうなんて! それから、母さん、
母さんのやさしさがぼくたちみんなをつつんできてくれた、
そんな母さんも死ぬなんて! 大事な絆が切れてしまうなんて!

[カミルロと護衛が登場]

あの人たちだ! 姉さん、そのあたたかい
唇にキスさせて。すぐにその真っ赤な花びらは、
病んで枯れて、白くなるのだから・・・・・・冷たくなってしまうのだから。さよならをいって!
もうじき死神に首を絞められて、そのやさしい声も出なくなってしまうのだから! ねえ、
何かいって! 声を聞かせて!

ベアトリーチェ:
さようなら、ベルナルド。こんなふうに死ぬのは悲しいけど、
でも、とり乱したらダメよ。
ひどい、かわいそう、って思うくらいならいいけど、
でも、悲しくてもがまんするのよ。絶望して荒れたりしたらダメだからね。
泣いて、そして耐えるの。あと、もうひとつ、
お願い、わたしたち家族を思う気持ちを
忘れないで。そして信じて、
変な雲みたいな罪と恥にまみれてしまったけど、
わたしはいつも清らかに、汚れなく生きてきた、って。たぶん
口の悪い人たちが、わたしのこと、ひどくいうと思うわ。わたしの家族だから、
罪のないあなたも額に烙印が押されて、
後ろ指をさされることでしょうね。でも、ごめんなさい、
がまんしてね。わたしたちのこと、
悪く思わないで。お墓に入っても、あなたを愛してるんだから。
死ぬまで安らかに生きていくのよ。恐怖と悲しみに
打ち勝つの。今のわたしみたいにね! さようなら・・・・・・さようなら!

ベルナルド:
いやだよ! さよならなんて!

カミルロ:
ベアトリーチェさま!

ベアトリーチェ:
悲しんでいただくことなんてないわ、
枢機卿さま。お母さま、この帯を
結んで。それから、髪もあげてくれる?
かんたんでいいからね。・・・・・・ありがと、これでいいわ。
お母さまの髪も落ちてきてるわよ。よく
ふたりでこんなふうにしてたよね・・・・・・でも
今日が最後だわ。さあ、枢機卿さま、
準備ができました。行きましょ。

[おわり]

* * *
Percy Bysshe Shelley
From The Cenci, Act 5, Scene 4

BEATRICE [WILDLY]:
O
My God! Can it be possible I have
To die so suddenly? So young to go
Under the obscure, cold, rotting, wormy ground! _50
To be nailed down into a narrow place;
To see no more sweet sunshine; hear no more
Blithe voice of living thing; muse not again
Upon familiar thoughts, sad, yet thus lost―
How fearful! to be nothing! Or to be. . . _55
What? Oh, where am I? Let me not go mad!
Sweet Heaven, forgive weak thoughts! If there should be
No God, no Heaven, no Earth in the void world;
The wide, gray, lampless, deep, unpeopled world!
If all things then should be . . . my father's spirit, _60
His eye, his voice, his touch surrounding me;
The atmosphere and breath of my dead life!
If sometimes, as a shape more like himself,
Even the form which tortured me on earth,
Masked in gray hairs and wrinkles, he should come _65
And wind me in his hellish arms, and fix
His eyes on mine, and drag me down, down, down!
For was he not alone omnipotent
On Earth, and ever present? Even though dead,
Does not his spirit live in all that breathe, _70
And work for me and mine still the same ruin,
Scorn, pain, despair? Who ever yet returned
To teach the laws of Death's untrodden realm?
Unjust perhaps as those which drive us now,
Oh, whither, whither?

LUCRETIA:
Trust in God's sweet love, _75
The tender promises of Christ: ere night,
Think, we shall be in Paradise.

BEATRICE:
'Tis past!
Whatever comes, my heart shall sink no more.
And yet, I know not why, your words strike chill:
How tedious, false, and cold seem all things. I _80
Have met with much injustice in this world;
No difference has been made by God or man,
Or any power moulding my wretched lot,
'Twixt good or evil, as regarded me.
I am cut off from the only world I know, _85
From light, and life, and love, in youth's sweet prime.
You do well telling me to trust in God;
I hope I do trust in him. In whom else
Can any trust? And yet my heart is cold.

[DURING THE LATTER SPEECHES GIACOMO HAS RETIRED CONVERSING WITH CAMILLO, WHO NOW GOES OUT; GIACOMO ADVANCES.]

GIACOMO:
Know you not, Mother . . . Sister, know you not? _90
Bernardo even now is gone to implore
The Pope to grant our pardon.

LUCRETIA:
Child, perhaps
It will be granted. We may all then live
To make these woes a tale for distant years:
Oh, what a thought! It gushes to my heart _95
Like the warm blood.

BEATRICE:
Yet both will soon be cold.
Oh, trample out that thought! Worse than despair,
Worse than the bitterness of death, is hope:
It is the only ill which can find place
Upon the giddy, sharp, and narrow hour _100
Tottering beneath us. Plead with the swift frost
That it should spare the eldest flower of spring:
Plead with awakening earthquake, o'er whose couch
Even now a city stands, strong, fair, and free;
Now stench and blackness yawn, like death. Oh, plead _105
With famine, or wind-walking Pestilence,
Blind lightning, or the deaf sea, not with man!
Cruel, cold, formal man; righteous in words,
In deeds a Cain. No, Mother, we must die:
Since such is the reward of innocent lives; _110
Such the alleviation of worst wrongs.
And whilst our murderers live, and hard, cold men,
Smiling and slow, walk through a world of tears
To death as to life's sleep; 'twere just the grave
Were some strange joy for us. Come, obscure Death, _115
And wind me in thine all-embracing arms!
Like a fond mother hide me in thy bosom,
And rock me to the sleep from which none wake.
Live ye, who live, subject to one another
As we were once, who now . . .

[BERNARDO RUSHES IN.]

BERNARDO:
Oh, horrible! _120
That tears, that looks, that hope poured forth in prayer,
Even till the heart is vacant and despairs,
Should all be vain! The ministers of death
Are waiting round the doors. I thought I saw
Blood on the face of one . . . What if 'twere fancy? _125
Soon the heart's blood of all I love on earth
Will sprinkle him, and he will wipe it off
As if 'twere only rain. O life! O world!
Cover me! let me be no more! To see
That perfect mirror of pure innocence _130
Wherein I gazed, and grew happy and good,
Shivered to dust! To see thee, Beatrice,
Who made all lovely thou didst look upon…
Thee, light of life … dead, dark! while I say, sister,
To hear I have no sister; and thou, Mother, _135
Whose love was as a bond to all our loves…
Dead! The sweet bond broken!

[ENTER CAMILLO AND GUARDS.]

They come! Let me
Kiss those warm lips before their crimson leaves
Are blighted…white…cold. Say farewell, before
Death chokes that gentle voice! Oh, let me hear _140
You speak!

BEATRICE:
Farewell, my tender brother. Think
Of our sad fate with gentleness, as now:
And let mild, pitying thoughts lighten for thee
Thy sorrow's load. Err not in harsh despair,
But tears and patience. One thing more, my child: _145
For thine own sake be constant to the love
Thou bearest us; and to the faith that I,
Though wrapped in a strange cloud of crime and shame,
Lived ever holy and unstained. And though
Ill tongues shall wound me, and our common name _150
Be as a mark stamped on thine innocent brow
For men to point at as they pass, do thou
Forbear, and never think a thought unkind
Of those, who perhaps love thee in their graves.
So mayest thou die as I do; fear and pain _155
Being subdued. Farewell! Farewell! Farewell!

BERNARDO:
I cannot say, farewell!

CAMILLO:
Oh, Lady Beatrice!

BEATRICE:
Give yourself no unnecessary pain,
My dear Lord Cardinal. Here, Mother, tie
My girdle for me, and bind up this hair _160
In any simple knot; ay, that does well.
And yours I see is coming down. How often
Have we done this for one another; now
We shall not do it any more. My Lord,
We are quite ready. Well, 'tis very well. _165

THE END.

* * *
父に性的虐待を受けてきたベアトリーチェは、
義母ルクレティアや兄弟の支援を得て父を殺す(史実)。
(この劇では暗殺者を使って殺す。)
この罪(?)に問われて彼女たちは処刑されることになる。

その最後の場面より。

* * *
シェリーの著作中、彼が生きているあいだに
売れた(二版が出た)唯一のもの。

* * *
学生の方など、自分の研究/発表のために上記を
参照する際には、このサイトの作者、タイトル、URL,
閲覧日など必要な事項を必ず記し、剽窃行為のないように
してください。

ウェブ上での引用などでしたら、リンクなどのみで
かまいません。

商用、盗用、悪用などはないようお願いします。


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