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Hardy, "She, to Him (II)"

トマス・ハーディ
「女から男に(II)」

たぶん、これからずっと先、わたしが死んだあとでも、
誰かの顔や声や話すことがわたしに似てたりしたら、
わたしのこととか、
昔好きだったな、とか、思い出してくれるかしら。

そんなとき、ちょっと立ち止まって、「かわいそうな奴」とか思って、
ため息ひとつでもついてくれるかしら。それだけでとてもうれしい。
返してない借金のほんの一部とか、そんな感じじゃないの。
わたし、あなたがいれば他になにもいらなかったくらいだから。

あなたにはわからないわよね。
「かわいそうな奴」とか、あなたの頭に浮かんでは消える、わずかな、
一瞬の幽霊のような思いが、わたしの
命そのものだった。そのなかにわたしの生きる意味があった。
そこでわたしじゃないわたしははかなく生きて、あなたのこと考えてた。
あなたもわたしのこと考えてると思ってたけど、違ったみたい。

*****
Thomas Hardy
"She, to Him (II)"

Perhaps, long hence, when I have passed away,
Some other’s feature, accent, thought like mine,
Will carry you back to what I used to say,
And bring some memory of your love’s decline.

Then you may pause awhile and think, “Poor jade!”
And yield a sigh to me---as ample due,
Not as the tittle of a debt unpaid
To one who could resign her all to you---

And thus reflecting, you will never see
That your thin thought, in two small words conveyed,
Was no such fleeting phantom-thought to me,
But the Whole Life wherein my part was played;
And you amid its fitful masquerade
A Thought---as I in yours but seem to be.

https://www.gutenberg.org/ebooks/3167

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