シーブレ日記

愛艇と綴る釣り日記
最近は登山や自転車へと 遊びの範囲が拡大中

ヒマラヤ ラダック バイク旅(3)ヌブラバレー・トゥルトゥク編

2023年09月21日 19時54分30秒 | 海外遠征
一週間のツアーが終わり、明日からはサポートなしの自力旅が始まります。
初っ端はヌブラ渓谷を通って、レーの北西パキスタン国境のトゥルトゥク村(約200km)まで行ってみたいと思ってる。
ここは外務省の海外渡航情報では最上級のレベル4「避難勧告エリア」だが、現状国境付近は比較的安定しているらしい。

下の地図では緑のルートが、このシリーズの移動線です。





まずはレーの町で一泊し、旅の基本ツールである入域許可書とバイクの入手をします。
メインバール徒歩1分のドミトリーに入る。一泊800円なり。安いねぇ!



ラダックでは、国境付近に入るには入域許可書(ILP:Inner Line Permit)が必要。これは現地の旅行会社を通さなくては申請できず、さらにいうと一人旅は許可されないという基本ルールがあります。テロ対策らしいです。

ツアー解散後もラダック旅を続けるMカメラマン氏や同行したNさんらと、形式的に同グループという形で現地旅行会社にILP取得を依頼しました。
午前中に申請したら、当日夕方には全ての地域に対しての入域許可書が発出された。
許可期間は、翌日の8/21から9/4までの15日間が付与された。この許可期間も申請してみないと何日貰えるか分からないらしいけど、今回はかなりの長期間許可が出たようです。これで明日から動けるぞ!





次にバイクです。
現地で中古バイクを購入するのは実質困難であること。逆レーにはレンタルバイク屋が沢山あるので、レンタルを利用するのが現実的。
早速バイク屋に行くと、大型のインド製ロイヤルエンフィールドヒマラヤンばかりが並んでる。てか、それしかない!
見た目ごつめの大型アドベンチャー。フロント21インチでオフロード感はある。。



早速試乗
またがった印象は、日本で乗ってるセローより足付き良いけど、なんか鈍重な感じ。。。
走ってみた。
低速トルクは十分だけど、上の方のパワーが無いかな~。モッサリした走りです。
低回転で、ドドドって走る感じです。爽快感はないかなぁ。
舗装路やフラットダートを長距離走るには良さそうだが、本気のラフロードやオフロード、泥濘や細い裏道などは重くて使い勝手が悪そう。しかもレンタル料が高い!(インド人やヨーロピアンにはヒマラヤンでラダックを走るのが流行ってるから観光値段)



僕的にはもっと軽くて小回りの効くバイクが欲しい。しかも安めで。
220ccのAvenjerが候補に上がりました。Mカメラマン氏もいつもこれを借りてるとのこと。
片っ端からバイク屋に行ってAvenjerあるかと聞き回るも答えはNo…

何件も廻ってバイク屋の人脈が出来てくると、Avenjerは明日か明後日の夜帰ってくるよとの話が出てきた。インドでは人脈に頼る情報収集が鍵なのです。



最短で3日後スタートか。
ただし本当に3日後にスタートできるか確証は無い。なにせ“モノ”が無いので試乗もできないから使い物になるかは未知数だ。
インドではこの手の話は“話半分”と思っておいた方が良い。

このままレーで3日待っても、ILPの許可日数が無駄に減るだけ。これは勿体ない。
そこで僕は、バイク屋には3日後に来るからバイク押さえてくれるよう約束し、ヌブラ渓谷、トゥルトゥク村はバイクでは無く現地の人と同じバスかシェアジープで行くことにした。

この辺の交通手段がまた分かりにくくて、いろんな人に聞き回ったらバスは無い。シェタジープは殆どディスキット(約100km)までしか行かない。
ツアーで一緒だったNさんもトゥルトゥク村希望なので協力して車を探し、200km先のトゥルトゥクまで行くシェアジープを手配した。チト高めだけど割り勘なら許容範囲かな。この際時間をお金で買うことにした。
現地に沢山ある旅行会社に車の手配を頼めば簡単なんだけど、値段は倍はします。この辺の苦労も個人旅行の面白さですかね。

シェアジープの若き運ちゃん。気合い入ってます。



翌朝、レーを出て道はぐんぐん山を登ります。



2時間ぐらい走ってカルデュンラ峠に到着。この峠は、車で来れる世界最高所とのこと。
カルデュンラ峠 標高5400mとか5600mとか諸説あり(笑)





我が人生において最高所ですわな。
確かに空気が薄い。



6000m峰が目線の高さに見えてる。



峠ではインド人観光客が大はしゃぎ。インド人のテンションには付居て行けん。。。





峠を下る途中で昼食のオムレツ。
隣の席にインド軍兵士の集団。膝の上に置いた銃口が完全にこっち向いてるって!(インドでは軍人や施設は撮影禁止。オムレツを撮った体)
やはり海外渡航情報レベル4は伊達じゃ無いかも。。。



峠を下りきるとヌブラバレーの壮大な景色が広がってた。
素晴らしい景色!







ただ、ヌブラは交通のアクセスが比較的良いので、インド人観光客が結構来てて、ラクダに乗って写真撮ったり、サンドバギーで遊べたりと、ミーハー大好きインド人の観光地化が進んでるようです。

ディスキットゴンパ



こんな道を約6時間走って、



終点行き止まりのトゥルトゥク村に到着。



パキスタンとの暫定停戦ラインまでは5kmぐらいみたい。勿論ギリギリまでは行きません。この手の場所は洒落にならんもんね。



この村はイスラムの村です。
山間の平地には農地が広がり、様々な作物を作ってる。今は麦とアンズの収穫期のようでした。









辺境の地ではあるが、国境ギリの村というのもあって、インド人や外国人観光客も結構来てました。村自体は辺境の地故裕福な感じはしないが、そこにのんきな観光客がキャッキャしてるので、なんとなく村人も辟易としてる感じを受けました。
農作業をしてる地元の方達は僕と殆ど目を合わさない、そんな感じです。





みんな目を合わせること無く、黙々と自分の仕事を続けます。
ザンスカールとは違う。。。





村の外れにゴンパがあるので、頑張って行ってみたらほぼ廃墟のうようで誰も居らず。



でもね、パキスタン側の山間を見ると、遠くの方にひときわ高い雪山がチラッと見えました。
ここに来なきゃ、この角度からじゃ無いと見えなかった山です。



実は今回の旅の隠れた目的の一つに、“世界第二位の高峰K2をこの目で見たい!”というのがあります。
世界一の高峰はエベレストだけど、僕が一番好きな山は昔からK2でした。
25歳で初めて持った船の名前も“K2”と付けたぐらいです。

K2はパキスタン領のカラコルム山脈にあり、インドとの国境から約100kmの位置にある。
登頂の難易度で言ったらエベレストを遙かに超える厳しい山であり、僕なんかが到底挑戦出来る山ではありません。
登れないのなら、せめてこの目で見てみたい。そう思ったのだ。

事前にインド側からK2の見える場所は無いかと調べたが一切引っかからなかった。
パキスタン側にはK2ビューポイントなど何カ所かあって、そこに行けば見えるのだろうが、なんとかインド側から自力で見える場所を見つけたい、少しでも迫ってみたいというのが、いまの僕の中のK2愛というかK2への挑戦というか、まあそんな意味合いがありました。
このトゥルトゥク村がインドではK2に一番近い場所というのもあって、ここに来たのです。

で、その僧院の僅かな角度から、その山は見えたのです。
正直言ってそれがK2であるかどうかは現時点では分かりません。ただ方向はぴったりなんです。明らかに周辺の山々とは格の違う高さを持ってる格好いい山が、白く輝く山が、チラッと見えたのです。



僕は誰も居ないゴンパの傍らで、一人、静かな感動を味わった。
今回の旅のハイライトの一つでした。

トゥルトゥク村に2泊し、村内全てを歩き回りました。
国境紛争の持つ何とも言えない重圧、目を合わせようとしない村人、国境の村を見に来る国内外の観光客、僕の中で何かを考えさせるものがあった。

K2に迫れた静かな満足感を携え、翌朝僕はトゥルトゥク村を後にし、再びカルデュンラ峠を越えてレーの町に戻りました。
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