晴走雨読

晴耕雨読ではないが、晴れたらランニング、雨が降れば読書、きままな毎日

『誰もが読める「資本論」』

2009-08-17 20:49:08 | Weblog
 『誰もが読める「資本論」 起て 飢えたる者よ!』(咲木英和著 新生出版 2009年刊)

 著者のプロフィールで、1953年生まれ(私より1歳年上)、元中学校教員ということがわかります。はじめにの中では、学生時代、長谷部文雄氏に師事したとあります。

 ネットで検索した結果、新生出版は、自費出版系の出版社のようです。

 著者には、大変失礼かも知れませんが、活動家の臭いがしません。在野の資本論研究家なのでしょうか。何か思うところがあって中学校教師を辞めたのでしょうか、などと要らぬ詮索をしてしまいました。

 書店に行くと、今や「資本論」の要約本および解説本の出版ブームです。「蟹工船」の比ではありません。この際、便乗します。

 筑摩書房刊 資本論〈第1巻(上)(下)〉 (マルクス・コレクション) で原典に当たりながらゆっくりと読もうと思います。



 以下は、「資本論」を要旨をまとめたノオトです。(資本論ノオト第1回)
序文
「資本論」は、1867年に発行された。「労働力」という商品の発見。「抽象力」によって分析し、資本の法則を明らかにした。
第1部 資本の生産過程
第1編 商品と貨幣
第1章 商品
第1節 商品の2要因 使用価値と交換価値
・社会の富は、商品の集まりであり、社会の細胞と言えるのが商品、社会の最小単位である商品から分析を始める。
・商品は、有用性、人間の役に立つという性質から使用価値を持つ。他の商品と交換が可能という性質から交換価値を持つ。
・商品から使用価値を除くと、労働生産物という性質が残る。
・商品の交換価値に表されている共通なものが価値であり、価値を生み出しているのが抽象的人間労働である。(具体的な有用性を持った労働ではない。)
・この社会にある全商品の価値に表されている労働時間は、社会全体の総労働時間であり、個々の商品の価値は、それを生産するために必要な社会的に平均した労働時間で表される。
・空気は、労働が含まれていないので、使用価値はあるが、価値はない。

第2節 商品に表示される労働の二重性格
・商品の使用価値の中には、有用労働だけが含まれるのではなく、自然的な素材も含まれる。
・労働の中の有用性を「抽象力」で排除すると、人間労働が残る。
・生産力が増大すれば、労働時間が短縮され、個々の商品の価値は低下するが、社会全体の使用価値は増加する。

 以下、私のコメントは、*印を付して記す。
 *資本論は、冒頭を理解するのが一番やっかいであるが、最もダイナミックな部分である。
 商品に潜む2面性、使用価値―具体的有用労働という側面と、交換価値―抽象的人間労働という側面。この2面性を把握するというモノの見方・考え方は、何事にも応用できる方法論となる。
 実社会において、様々な事象に出会った時、必ず2面性ということを頭に浮かべる。白・黒、善・悪、0・100・・という2元論ではなく、常に物事の2面性を認識し、正→反→合という弁証法的な落しどころを見つけるのである。
 初期マルクスの疎外論とは一味違ったこれもマルクスの認識論である。



コメント
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