子馬に胃潰瘍が多いと言っても、実際に胃潰瘍の胃を見ることは少ないのかもしれない。
馬の胃は筋胃部(無腺部)と腺胃部からできている。
その境目が襞(ひだ)状縁。
胃酸を分泌するのは腺部だが、腺部は胃酸に耐えるための防御機能を持っているので、防御機能を持たずに酸にさらされる筋胃部に潰瘍ができることが多い。
とくに、筋胃部の中で腺部に近い襞状縁は胃潰瘍多発部位だ。
左の写真の最上部白い粘膜がかろうじて残った筋胃部粘膜。その下の黄緑色の部分は潰瘍で粘膜を失ったので胃酸と胃内容に染まっている。
縞模様に見えるのは、筋層がむき出しになっているのだ。
十二指腸は黄土色に染まっている。これも以上。十二指腸粘膜が糜爛して、胆汁に染まった。
左はまた別の子馬。やはり筋胃部は粘膜を失っている。襞状縁の1箇所で穿孔している。
腺胃部は発赤している。
やはり十二指腸潰瘍もある。
子馬の胃潰瘍の調査でわかってきたことは、半数以上はロタウィルス感染から胃十二指腸潰瘍が引き起こされていること。
悪化しやすいのは、子馬が固形飼料を多く食べている牧場であること。
この1-2年は胃穿孔で死ぬ子馬は本当に減った。
胃潰瘍に対する認識が向上し、プロトンポンプインヒビターという著効を示す薬が使われるようになったこと。
それと、ロタウィルスのワクチンが普及したことも関係しているかもしれない。
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数日前の春の海。
今日は雨で寒かった。
原因は、精神的ストレスからくる暴飲暴食なのでしょうか、ならばヒトとあまり変らないということになりますが。
なりやすい子馬の気性的傾向などありますか?それとも牧場の環境でしょうか?
競走馬はほとんどに胃潰瘍があるようです。放牧に出されると治るようなので、やはり特殊な環境、特殊な飼養管理、きつい調教によるものでしょう。
子馬の胃潰瘍は半分以上がロタウィルス感染症の併発症のようです。
いらいらしやすい馬はやはりいるようで、そういう馬を馬房に閉じ込めると、胃潰瘍になったという経験があります。