子馬はお産のときに腓腹筋断裂を起こすことがある。
実際には、筋断裂というより、大腿骨への腓腹筋付着部が剝がれている。
大きな血腫が形成され、貧血し、黄疸が出たりもする。
何より寝起きができなくて、あきらめられていることが多い。
内出血がひどいと、貧血で死んだりもする。
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大腿部に血腫ができている新生子馬がいるので診てほしい、とヴェテランの先生から電話。
大腿骨折か、あるいは腓腹筋断裂、と検討をつけて待つ。
来院したら、腓腹筋断裂のようだ。
片方だし、程度としてはひどくない。
腓腹筋断裂すると、飛節を引きあげられず、飛節が地面まで落ちて後膝が伸び、飛節は屈曲してしまう。
後膝をキャスト固定することはできないが、飛節を伸びた状態に保ってやると子馬は立ちやすくなる。
ということで、
キャスト固定した。
数週間の看護・介助が必要だ。
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二日後、キャストの緩みと当たりが心配されて連れてこられた。
子馬の立ち方、歩き方はこの障害としては良好。
1週間はこのキャストのまますごしてもらうことになった。
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夜中に、難産で切胎したけど、下半身が出せない、と相談の電話が来た。
母馬は、獣医師が到着したときには起立不能で、連れてはいけない、とのこと。
できるアドバイスはしたが、翌日剖検に運ばれてきた。
この状態で産道へ入ってきていた。
左の飛節はひどいかっこうで屈曲している。
奇形か?と思ったが、腓腹筋断裂していた。
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臨床はとても面白い。
スリリングでエキサイティング。
馬の臨床をやるなら生産地だ。
骨折を治して競走馬になって、最後は骨折で安楽殺になった馬がいたそうです。もって生まれた適正はどうなのか、骨折は治っても競走馬として生きていくのに十分な強靭さは欠いてしまったのでは?そういう競走馬でも使用管理の仕方によっては成績を残し、永らえることもできるようになるのでは?など想像だけでいろいろ考えた。が、無駄な思考。
馬の臨床の面白さ、なるほどねー、と思います。
気温が上がったり下がったり。いい刺激となるよう過ごしたいです。
何よりも強靭な体力、精神力はもとより
生涯学び続ける学究肌であることが求められると思います。
9時-5時で働いて晩酌とTVが楽しみ~だと
無理ですね。
基本的には、骨は鍛えれば丈夫になるし、折れたら、折れる前より丈夫に治ります。しかし、腱や靱帯は厳しいようです。骨への靱帯付着部もそのようです。
臨床って面白いよ。と伝えていかなければいけないと思っています。記事の最後はまあ独り言です;笑