朝、子宮広間膜血腫の繁殖雌馬が疝痛で来院。
Equine Emergency の教科書には「輸送すべきではない」と書かれているが、来院してしまうことはけっこうある。
オキシトシンとトラネキサム酸を入れた点滴18リットルを、スピードを慎重に設定して流す。
出血が止まらなければ死ぬ。
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前日の朝うまれた当歳が、前日の夕方から鼠径ヘルニアでバンドで抑えてもまた出てしまったと来院。
総鞘膜が破れているかどうかが、内科治療で行けるかどうかの境目だと思っている。
皮下に腸管が出て、周りに浮腫があるようだと手術しなければダメだ。
今のところ、鼠径ヘルニアでは去勢しなければダメだ。
以前、種雄馬で精巣を温存して欲しい、と言われて精巣を残したことがあるが、約1年後に再発した。
結局、次の繁殖シーズンも活躍できなかった。
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午後、肢軸異常の子馬の診察が1頭。
手術が1頭。
そのあと朝にやるはずだった腕節骨折の関節鏡手術。
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終わったら、疝痛馬の依頼が3頭。
17歳の繁殖雌馬は妊娠12ヶ月。
口粘膜はチアノーゼ。
PCV70%、WBC1900/μl。
腹腔穿刺してたしかめる必要もないだろう。消化管破裂だ。
盲腸破裂だった。
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子馬の疝痛は来院したら落ち着いていた。
PCVも30%台。
水様下痢。ロタ陰性。
そのまま帰ってもらう。
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その前に頼まれていた分娩5日目の繁殖雌馬。
朝からの疝痛で、痛みはひどくない。
盲腸便秘だった。
盲腸便秘はしばしば破裂してダメになる。
痛みがひどくないので、ついつい食べさせてしまうのだ。
手術の決断もつきにくい。
手術して盲腸を空にしても盲腸が機能的に動けない症例もある。
盲腸結腸吻合や空腸結腸吻合はかなり大掛かりな手術になる。
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ほかの地区の獣医さんが翌日からの研修で、この日に到着。
来てしまったらいっぱい観て手伝うはめになる。
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先月、獣医科大学の教授達に言った。
「臨床教育は患畜が来るところで、臨床ができる人にしかできませんよ」
あたり前のことなんだけどな。
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朝は雨上がりの冷たい風が強く、寒かった。
でも、日が長くなった。
点滴18L。さすが。モニターで気を付けることはありますか?
2枚目の画像で、飛び出すことなく興味深げに精嚢を見ているように見えるのがお臍ですね。
1週間ほど前に「信じられないくらい暇だ」と。
いい研修になりそうですね!
オラ君、わんこって海からもいろいろな情報を得るのでしょ?
一番は痛みです。出血性ショックもありますが、どんどん輸液するのはよくありません。
オキシトシンの投与スピードと量も教科書には書いてありますが、あくまで目安でしょう。
トラネキサム酸も、馬は線溶系が弱いので、人の体重換算より少なくてよいのだそうです。
今のところ、止血方法はないのです。
やはりこの春は事故は例年より少ないようです。それでも、地元の1年分の馬の診療を1週間で観れるでしょう。
相棒は海岸が大好きです。ぐいぐいひっぱって行きたがります。泳がないんですけどね。