日曜日、午前中1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。
1歳馬の腰痿のX線撮影。
当歳馬の後膝の細菌性関節炎の関節洗浄。
そこへ、未経産のホルスタインが右後球節が腫れて肢を負重できず、X線撮影したら骨折している、との連絡。
午後一の手術はもう牧場を出ているだろうからキャンセルせず、その後の予定を延期してもらう。
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なんとこの牛、子牛のときに下顎を骨折してscrew固定した牛。
他の牛より大きくなった。
18ヶ月で486kg、すでに受胎している。
右後肢にはhalf limb cast を巻いて来てもらったが、まったく負重できない。
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2時間ほどかかるだろうから、吸入麻酔するが、膨満してくる第一胃が問題。
それで、鎮静を投与し、まず第一胃にカテーテルを留置し、それからプロポフォールを投与し、気管挿管した。
開口器をつけて、手を喉頭へ入れ、気管チューブを挿入しているところ。
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中足骨遠位成長板損傷だ。変位している。
成長板より遠位が割れている。
Salter-Harris type 3 ということになる。
(ちがうかな・・・やはりtype1で、骨端の損傷を伴う。ということかも。)
右後肢を吊り上げておいて、繋と中手骨にそれぞれ丈夫なロープをかけ、変位を直す方向へ男3人で思いっきり引張ったら、
”ボクン”という音がして、変位を整復できた。
第三中手骨骨端部の縦割れを固定したいので、遠位から2番目のscrew hole に4.5mm self-tap cortical screw をlag fashion で入れた。
一番遠位にはLHSを入れる。
これが最も大切なscrewになる。
その2本が決まったら、近位から2番目に5.5mm self-tap cortical screw をload position に入れた。
そのことで成長板を圧迫固定できる。
成長板はまだ残っているが、もうほとんど成長しないので骨癒合させて大丈夫だろう。
あとは、LHSを4本入れた。
8孔のbroad LCP を使った。
術後はhalf limb cast をした。
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その手術のあと、繁殖雌馬の疝痛。
来院したらなんとなく落ち着いていて、直腸検査でも超音波でもはっきりした異常はなく、帰って様子を観てもらうことにした。
そのあと、3週齢の当歳馬の疝痛。
まだ痛いが牧場に居たときほどではない。
入院厩舎で様子を観たが、また転がるほど痛くなった。
もう開腹せざるを得ない。
空腸捻転だった。
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ツバメの巣はどんどんできている。
大きいだけに、こうなると心配。プレート2枚というのは考えなかったですか?ダイジョブですか?ちゃんと治って、健康で暮らせますように。
hig先生、amazon には燕の糞受けも売っていました。もはや驚かない。
しかし、骨切りして3.5ナローLCPで内固定した症例報告もあるのですよね。
完全な整復ができていたらキャスト固定だけでもいけるかもしれません。このサイズの牛で斜骨折しているとキャストだけでは厳しいでしょうけど。
ツバメの糞受けも商品化されているのですか?!
ハイエナ的な異栄養要素でもあって、骨折し易いのでしょうか。
一応中足の骨折ですので、フルリムならキャストだけでもいけるのかも知れません。
バイカテーテルとでもいうのでしょうか。
穿胃に比べれば体位の拘束が無いですね。
カテーテルを入れるとガスもさりながら胃内容を吐出させないかは気になります。
キシラジンは子宮収縮リスクがあるので鎮静すら如何なんだという話がありますが、プロポフォールは是非と考えますか。
長時間の麻酔は胎児により高い低酸素リスクをもたらす様に思えます。
挿管だけでも維持できるのでしょうけれども、吸入麻酔に持ち込んだのはこの辺の判断でしょうか。
中足骨、中手骨の遠位部の骨折でも、フルサイズになるとキャスト固定では厳しいことが多いですよね。骨癒合が子牛のように速くないこと、その間キャスト固定していては二次的な問題が起きること、そもそも強大な荷重にキャストと皮膚が耐えられないこと、がその要因だと思います。
麻酔中、胃カテーテルは働いてくれたようでした。ガスが持続的に出ていたようです。胃内容が出ても構わないのですよ。気管挿管してカフを膨らませているので、誤嚥しません。
麻酔による妊娠維持への懸念は畜主に説明しました。しかし、たぶん大丈夫です。まだ妊娠末期ではなく、キシラジンの投与量は多くなく、プロポフォールで伏臥しましたが、キシラジンより安全なはずです。
吸入麻酔はプロポよりさらに安定した麻酔管理ができるので、母体にも胎仔にも安全でしょう。
成長速度が鈍化していればよりタイトかつ巻き直し間隔の長いキャスト処置が行えます。
普段hig先生が指南されている巻き方で問題が起きることはないと思います。
巻き直しが必要になるのはキャスト内成長のためではないかと考えています。
仔馬の成長速度では現実的なキャスト固定での治癒は難しいのでしょうね。
紹介の症例でのプレート固定が最大の功奏を示すのは整復部位の屈腱牽引によるローテーションを含めた再失位の抑制ではないでしょうか。
肢端の構造は複雑でキャストが曖昧になるばかりではなく、それで作用点に近い部位の破損の固定が可能であろうか、と考えるべきなのかも知れません。
胃カテ留置はアイデアだと思います。
反芻獣として成長すると唾液も増えますから誤嚥するのはこちらなのかも知れませんね。
これも挿管してしまえばクリアされてしまう問題ですが、代謝性アシドーシスが呼吸性アシドーシスと並行してどれくらい進むのかは興味のある所です。
麻酔薬の副作用もさりながら、酸素飽和の維持が胎児にとって必要なことではないかと思います。
母体が耐えられる低酸素でも胎児が耐えられるとは限らないでしょう。
ピロプラズマにやられたミイラ胎児なんかはこの典型なのではないかと思います。
フルリムで巻くと、脛骨骨折、大腿骨骨折、股関節脱臼のリスクが増えます。中手・中足骨遠位ならハーフリムで対処すべきだと考えます。
牛の全身麻酔の経験から言えば、誤嚥がひどいことになるのは嘔吐した場合です。横臥、仰臥させるときには、短時間麻酔はともかく、気管挿管することが普及すべきでしょう。
胎仔や新生仔は低酸素には相当強いと推察しています。新生仔を血ガス測定していると成獣ならありえない値に驚かされます。だからってチアノーゼが出ていても良いわけではありませんけど。
地震で倒れたビルの下から赤ちゃんが救出される、とか、ベビースイミングとか、脱水や低酸素に耐えられないと胎仔や新生仔はやってられんゼ、なんでしょう。
以前見かけた昔の開業さんが石膏ギプスで治したとかいう症例は中足でした。
おぉすごいな、と思いました。
ハーフリムだとこれが期待できない結果ツイストの固定ができず、免重を受ける面積も足りずという結果になるのでしょう。
体重はシングルプレートにものしかかる問題だと思います。
そして開放等の感染には滅法弱い様です。
プレート固定がここを改善する選択肢だと良いですね。
就職して駆け出し前に先輩獣医師に同乗していた頃の症例ですが、中足治ったのに大腿骨頭折れていた子牛がいました。
色々な不慮の責任がいちいち獣医師に押し付けられていたら堪らないですよね。
もちろんセカンドオピニオンに耐えられるだけのリスク説明は不可欠な訳ですが、これを回避できるだけの飼養環境を整えられない生産者対象では外科仕事に手を付けられないのかも知れません。
胎生期の赤血球がそういう測定値をもたらすのでしょうね。
ただ失血低血圧状況では母体は胎仔を切り離しにかかるはずなんですよね。
胎児心電図をみればどの程度のことが起きているか把握できるかも知れません。
hig先生の所はすでに十分な安全下で手術が行われるのでしょうから意味ないよ、となるかも知れませんが訴求できる環境的にはありそうです。
ほとんどの動物薬が、妊娠動物の安全性までは確認されていないと思います。使わないでくれ、とか、自己責任で、ということなのでしょう。