真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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女美容師の生下着 快感/ex.DMM戦
か行
/
2019年08月19日
「
女美容師の生下着 快感
」(1996/製作:飯泉プロダクション/提供:Xces Film/脚本・監督:北沢幸雄/企画:業沖球太/製作:北沢幸雄/撮影:鈴木一博/照明:渡波洋行/音楽:TAOKA/編集:北沢幸雄/助監督:瀧島弘義・池田勇三/撮影助手:長谷川卓也/照明助手:藤森玄一郎/スチール:佐藤初太郎/ネガ編集:酒井正次/車輌:UOGIN/効果:東京スクリーンサービス/録音:シネキャビン/現像:東映化学/出演:麻生由紀・葉月蛍・吉行由実・小栗拓哉・頂哲夫・樹かず・渡辺茜《友情出演》・小谷内郁代・水永久美子・山下真由美・沢口レナ・酒井英里子・真木友子)。出演者中、渡辺茜以降のカメオ隊は本篇クレジットのみ。jmdbが―飯泉プロダクションでなく―今作を製作したとする、トライコンとは一体何なのか。
「前も思つたけど分厚いよね近藤さんの胸」、矢鱈とガタイのいいロン毛と、主演女優の濡れ場で開巻。ロン毛が、事後服を着せてみると堅気のホワイトカラーであるのには少なからず驚いた、果てしなく見えない。兎も角最終的に、特に外堀も埋めず兎に角後背位好きな女の希望に沿ふ、中途でモノローグ起動。「私二十二歳美容師、今不倫してるんです」、「相手は親友の彼」。三人とも未婚でそれを不倫といへるのかといふ、そこはかとなく根本的な疑問はさて措き、表記不明な「ヘアモード ユウ」で働く女美容師の山路か山地ミユキ(麻生)は、親友・サオリの同棲相手・近藤ケンイチ(小栗)と継続的な関係を持つ。二人が別れ近藤は地下鉄の駅に下りる、階段にタイトル・イン。よくよく見れば馬面でもあれ、それなりに全体的に精悍な小栗拓哉が、その割にほかの仕事の形跡が一切見当たらない、謎の男優部。確かに、ビジュアルの濃さに反比例してパッとしない口跡は、麻生由紀のエクセスライクに劣るとも勝らないものの。
これといつた物語も別に存在しないため潔く配役残り、葉月蛍が、件のサオリ。有無から中身の如何に関らず、北沢幸雄のとりあへずソリッドな世界観の中、葉月蛍が嫉妬なり横恋慕を陰湿に拗らせる構図の、形容し難い安定感。吉行由実は、ミユキの同僚・小野操、先輩格。カメオ隊は、美容師と客込み込みで美容院要員。
渡辺茜
・
沢口レナ
と自身の映画でビリング頭を務めた女優部を連れて来てゐながら、満足に抜きもしないゆゑ、ノートの液晶サイズでは特定不能。長髪が案外サマになる頂哲夫は、操がミユキには“愛人”と紹介する中上ミツオ、時折小遣ひを渡す仲。樹かずはミユキの一応彼氏、柏村クンか樫村クン。
実は、沢口レナにとつては
高校教師三部作
第一作に一本先行する幻のデビュー作に当たる、北沢幸雄1996年第一作。エクセス主演で映画デビューした女優部の、カメオでフライングといふのもなかなか聞かない話な気がする、ほかの例(ためし)が思ひ浮かばない。
ミユキは近藤と柏村クン、サオリは近藤、操は中上。各々が各々―と親友―のお相手と致す絡みを入念に尺も費やしかつ矢継ぎ早に連ねつつ、何時まで経つても起動する気配を窺はせない物語。そもそもミユキと近藤がサオリを裏切つた経緯からものの見事に等閑視して済まし、サオリは近藤と何故か復縁どころか婚姻届までチェックメイト。操は相変らず、軽く貢ぐセフレとの逢瀬を気楽に楽しむ。美学留学で渡仏する柏村をも失つたミユキが、「そんな訳で、現在私は一人きりです」と一人言つ、豪快な“そんな訳で”が爆裂するラスト。挙句「本当に好きになれる人が現れるのかなあ」だなどと適当か自堕落に締めるに至つては、知るかボケといふ以外の言葉が俄かにも何も、千年深慮したとて見つかるまい。撮影部はカッチリ仕事して呉れ裸映画としてはひとまづ以上に安定するのをいいことに、人を喰つたも華麗に通り越し、グルッと一周して呆気にとられかねないほどスッカスカの一作。すいすい見られるといへばすいすい見られるが、小屋で観てゐた場合、寝落ちぬ自信は俺には全く全然一切ない。
とこ、ろで。2003年新題が、「性感美容師 太股の肉づき」。何れにせよ、主人公の職業が美容師といふ点を除けば、一欠片たりとて意味のない公開題が清々しい。“太股の肉づき”なるワードに既視感を覚え別館検索にかけてみたところ、下元哲2000年第三作「
ノーパン浴衣妻 太股の肉づき
」(脚本:金田敬/主演:つかもと友希)があつた。
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