真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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駄楽ひまなときブログ
行きつけのお店のブログ、下戸なのに。しかも閉めたんだけどね
ツイッタ
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友松直之監督のブログ、激しくエモーショナル
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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妻の妹 あぶない挑発
加藤義一
/
2014年04月12日
「
妻の妹 あぶない挑発
」(2013/製作:加藤映像工房/提供:オーピー映画/監督:加藤義一/脚本:鎌田一利/撮影監督:創優和/編集:有馬潜/録音:シネキャビン/助監督:小山悟/撮影助手:酒村多緒・前野周平/監督助手:秋元一心/音響効果:山田案山子/スチール:本田あきら/現像:東映ラボ・テック/音楽:OK企画/協力:小野一磨・小鷹裕/出演:あずみ恋・里見瑤子・TOWA・岡田智宏・久保田泰也・荒木太郎《写真》・なかみつせいじ・川瀬陽太/インターミッショナー:ハウゼントくん)。出演者中荒木太郎と、ハウゼントくんは本篇クレジットのみ。それとインターミッショナーの正確な位置は、なかみつせいじの前。
ポール・モーリアばりのムーディーな劇伴に乗せて、男の個別的具体性は排した里見瑤子の濡れ場で開巻、口唇愛撫に喜悦する姿を抜いてタイトル・イン。夫婦生活の事後、田宮徳男(川瀬)が元職が看護婦の妻・町子(里見)に白衣を着ての二開戦を要求し断られるところに、町子の地元の同級生・キョウコ(受話器越しの声も聞かせず)から電話が入る。進路相談に町子が世話になつた、恩師の三隅先生が亡くなつたといふのだ。といふ次第で翌日、反対された結婚以来帰つてゐない実家に、町子は五年ぶりで帰省する。無職か自営業にしか見えないビジュアルは兎も角、その日は勤めが休みの徳男がアルバムを開き、町子の妹・文子(あずみ)のセーラ服写真に他愛ない下心妄想を膨らませてゐると、当の文子が突然来宅、徳男は驚喜する。
配役残り完璧な写真写りの荒木太郎が、三隅先生の遺影。岡田智宏は三隅の息子、兼町子元カレの稔。一度だけ焼けぼつくひに火を点ける件、あれよあれよしながら町子がまづ三隅先生の遺影を伏せ、続いてシーン頭では不自然に少し開いてゐた障子を、伸ばした足で閉めるのがいはゆるOKサインといふのは実に的確な論理性。とはいへ、二人が恋を炎に譬へて云々かんぬん捏ね繰り回す能書は、木に竹すら接ぎ損なふ。遊びの少ない役柄が勿体ないなかみつせいじは、町子の厳格な父親・竜胆寺雄。ウルトラ適当な造語が清々しいインターミッショナーのハウゼントくんは、まづインターミッショナーを最も判り易く説明するとハクション大魔王に於けるそれからおじさん。改めてハウゼントくんは、「それからそれからどうしたでやんす」が決め台詞の針金―で操作する―ガエル。今作撮影前後に死去した、特撮映画の巨匠レイ・ハリーハウゼンから名前を取つたことは疑ひあるまい。といふか、ハリーハウゼンてハリー・ハウゼンではなかつたのね(´・ω・`)
TOWAは彼氏と喧嘩したとやらで文子を頼り田宮家の敷居を跨ぐ、文子の友人・叶美樹、徳男のヘブンを現し世レベルでも加速する。久保田泰也が美樹の彼氏、80年台の残滓を漂はせるパンクス・ドラマーの本郷潤。
加藤組と小川組で地味にキャリアを積み重ねるあずみ恋にとつて最後の主演作となるのか、加藤義一2013年第三作。妻が一時的に実家に帰り旦那一人きりの家に、妻と入れ違ひに妻の妹が転がり込んで来る。妻の妹のピチピチした色香に、旦那は鼻の下を伸ばす。公開題が素直に白状、もといカミングアウトしてゐる通りに、まあ師匠―なのか?―の「
妻の妹 いけない欲情
」(2003/監督:小川欽也/脚本:水谷一二三《=小川欽也》/助監督:加藤義一/監督助手:竹洞哲也/主演:三上翔子)と、更にそれに遡る「
若妻 敏感な茂み
」(2002/脚本:池袋高介/主演:山咲小春)を足して二で割つたやうなお話である、ついでといつては何だがなかみつせいじは皆勤賞だ。加へて、時折町子と徳男―文子も少しだけ代る―が電話で遣り取りするほかは、あずみ恋と里見瑤子が同一フレーム内で竜虎相討つこともなく。面子的にもしつとりした実家パートと、スチャラカな田宮家パートとがちぐはぐに進行する今作が、「いけない欲情」よりも劇映画としてなほ薄いといふのはある意味凄い。加藤義一がデビュー僅か十一年にして小川欽也に劣るとも勝らない裸映画に到達した、となると何気に衝撃的なトピックなのでは。そのことの是非はさて措き、挽回するタイミングは、実は確かにあつたやうに思へる。念願叶ひアイドルグループ・PKG1107―PKGが何の略なのか判らん、1107は“いい女”?―への加入が決まつた文子は、徳男にセクシー看護婦のコスを披露。その瞬間、さう来たか!と私は小屋の暗がりの中膝を打つた。開巻で投げた、徳男の看護婦属性の華麗なる回収。文子が東京の田宮家を訪ねて来る事情が必要ともいへ、飛び道具的なPKG1107方便の補完。結局、里見瑤子の濡れ場で幕を開き里見瑤子の濡れ場で幕を閉ぢる。その抜群の安定感も勿論酌めなくはないものの、如何せん文字通り役者が違ふ里見瑤子に対して大きく分が悪いあずみ恋のビリング補正あるいは救済をも考へると、純然たる素人考へでしかないが看護婦コスに点火された徳男の、イマジン通算四戦目を締めの濡れ場に持つて来る選択も、あつたのではなからうか。
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