閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

酔いどれ猫

2007-06-13 10:31:02 | 日々

庭にキャットニップを植えています。
ミントの一種で、甘い香りのする柔らかい葉っぱ。
忘れるくらい前に種をまいたのが定着して、
こぼれ種で毎年ふえ、絶えることがありません。

和名はなぜかイヌハッカだけど、これは猫が大好きな草。
マタタビと成分は違うようですが、似たような作用があります。
乾燥させた葉っぱを詰めた猫のおもちゃも売っていますね。

今シーズン、キャットニップにはまっている真鈴。
くんくんして、ぱくっとかじって、すりすりして、
ひっくりかえってごろごろして、
じたばたして、くねくねして…

あーあー、こまりん、
それじゃあっというまに全滅だよ。

手を出したら思いきり噛みつかれた。
ふだんは噛んだりしない猫です。

この子はどうも酒癖が悪いらしい。
全身いい香りのしみついた黒猫を
無理やり抱えて帰ってくる。
思う存分楽しんだあとは幸せそうに熟睡します。

キャットニップの葉を握った手で人と握手すると
お友達になれる…っていうのは、何で読んだんだっけ。
ハーブティーにもなるそうです。
飲んでみたら、ちょっと、くらくら、しました。

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川の岸まで

2007-06-10 09:29:35 | 日々

こだまじいちゃんのお葬式をした晩に、
真鈴の姿が見えなくなりました。

その晩、オオミズアオが来たのです。
名前のとおり緑がかった水色の女王様のような大きい蛾。
窓ガラスのむこうではたはたとゆるく羽ばたいていました。
それをじいっと真鈴は見ていた。
まんまるなおめめで。

「まりん、それはとってきちゃだめだよ」
言っているうちに、そわそわと外に出て行って…
そのまま帰ってこない。

猫は自由に出入りできる家なので、
丸一日くらい帰らないことはときどきあります。
その間どこで何をしているのかはまったく不明。
たいていはけろりとして帰ってくるのです。
こういう「謎のおでかけ」は季節やオスメスを問わず
3~4歳くらいまでの元気な猫に多いようで、
すももや茶々もこれまで何度かやっています。

都会と違って事故や事件の危険は少ないとはいえ、
二日目の午後ともなるとさすがに心配になってくる。
ほいっと連れていかれるような子猫でもないけれど…
黒猫って迷信的に嫌われることもあるし…
真鈴はまた格別に好奇心が強いからなあ…

オオミズアオを見てからちょうど48時間後。
ちりちりと聞き慣れた鈴の音が
まっすぐ家に入ってきました。
「にゃー」とひと声鳴いて、廊下のゴハン皿に駆け寄り、
食べながら盛大にのどを鳴らして、すりよって甘えて、
また急いで食べて、水をたくさん飲んで、甘えて。
あとはわたしの布団の上で朝までぐっすり。

どこ行ってたの、真鈴。
大好きだったこだまじいちゃんを見送りに行ってたのかな。
きっと、そうだね。


そんなに遠いところではありませんでした。
ふたりでのんびり歩いていきました。
川の岸で、船が着くのを待ちながら、
じいちゃんがお話をしてくれました。
真鈴はまんまるおめめをぱっちりあけて、
「ねー、それで? それから?」って何度もききました。
星の流れる静かな静かな夜のこと。

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6月の花のメモ

2007-06-09 08:39:22 | 日々

池のそばの木の下に白い花が一面に落ちています。
これがヒメシャラかナツツバキか、いつも忘れてしまう。

ハナショウブ。
植えっぱなしのせいか、花が小ぶりで色も薄く
清楚な感じになってきました。

いろんな種類のアジサイ。
園芸好きだった隣の別荘のご主人が
亡くなる前にたくさん植えていってくれたもの。
わたしは白い星の形に咲くアジサイが好き。
ピンク系のアジサイを買ってきて植えても
数年のうちに青が濃くなってしまう。
土か水の成分の関係かもしれません。

玄関前の花壇にサマーウェーブを4色8株。
これは最近出回るようになった新しい品種。
見るたびに「リトアニア」という名前が浮かぶ。
エストニア、ラトビアでバルト三国だっけ?
わたしはバルト海と黒海とカスピ海を混同していた。
ああややこしい。
サマーウェーブは「トレニア」ですよ。

垣根のチェリーセージ。
家の庭は、夏は大半が木陰になってしまうので
花はあまり植えられません。
そろそろ咲き出したキャットテール。
ドクダミの白い花。ユキノシタの白い花。
ミツバのこまかい白い花。
ホタルブクロも半日陰がお好み。

芝生にホワイトクローバー。
あちこちからんで困るけど良い香りのスイカズラ。
山のホオノキの立派な花は下からではまったく見えない。
川をはさんで反対側の斜面をのぼらないと見えないのです。


tactさん
「月とヨー・ヨー」の新しいTOP写真すてきですね。
ラズベリィ? なわしろいちごかな?
うちでは今年はじめてブルーベリーも採れそうです。

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こだまとポケ

2007-06-07 19:55:00 | 日々

猫のこだま、15歳。
犬のポケ、推定10歳。
先日、あいついでこの世を去りました。

こだまは捨て猫。
うちに来たのは2ヶ月くらいの子猫のとき。
穏やかな人なつこい性格で、「子守り」が得意で、
Kは小さいころずいぶんお世話になりました。
『かおるとみんな』という本に出てくる猫がこだまです。
ほんとうにあんな感じでいつもそばにいました。
後足で立たせると3歳の子の胸まで届きました。

あとから来たどの猫にも、こだまはフレンドリィでした。
ふかふかの長毛なので、いつも誰かの枕になっていました。
一昨年に来た黒猫きょうだいの面倒もよくみて、
黒猫ズが遊びに出かけると必ず自分もついていき、
とくに真鈴と並ぶと「おじいちゃんと孫娘」のようでした。

どっしり太って抱き上げられないくらい重たかったのに、
冬が終わるころから急に目立って老けこみ、
毎日ゴハンには欠かさず顔をみせていたけれど、
だんだん食べられなくなっていきました。
死んだときはほんとに軽く軽くなって…
抱いたらなんだか鳥みたいに軽くなっていました。


ポケも捨て犬。
値札のついたままの真新しいキャリーケースごと
道端に置いていかれた犬です。
子犬ではないけれど成犬にもなっていない頃。
「コーギーの雑種かな」と獣医さんは言いました。
活発に動き回る犬だったからテリア系だと思います。

それまでどんな飼われ方をしていたのか、
首輪もリードもつけたことがなかったようです。
ボールが大好きで、くわえたら噛み破るまで離さない。
「ちょうだい」と言って離すことを教えようとしましたが、
10年たってもやっぱりだめで、「おすわり」がやっと、でした。

ポケが来たときは、先住のルポとピアという犬もいて、
3匹つれての散歩もにぎやかでした。
これで20年ぶりくらいに犬のいない家になりました。


きょうも台所に立っていると、
「にゃ」と短く鳴いてゴハンをねだる声が足元で聞こえる。
八重桜の下では、ぱたぱた尻尾を振っているのが見える。
いなくなってしまったあとも、何日か、何週間か、
こうやって残像がそばにいてくれます。
ありがとう、こだちゃん、ポケ太。

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菊一文字

2007-06-04 08:25:45 | 日々

最近ちょっと珍しい光景がみられます。
Kの浴衣姿。
濃紺の渋いのを着ている。
家の中で。

きっかけは先週の体育祭でした。
最上級生が浴衣で盆踊りをする、という
奇妙な伝統がこの学校にはあるのです。
浴衣は借りるのかしらん、とのんびり構えていたら、
直前になって各自用意するのだとわかり、
祖父のを出してはみたものの丈が短すぎて、
あわてて買うはめになりました。

「一回しか着ないのにもったいないね」
「いいよ、うちで着るから」
そう言って、ほんとに着ている。
なかなか似合うのだ、これが。
立ってるだけなら。
(なにしろこの人は正座ができないので…)

こうなると本格的な着物姿も見てみたいじゃないの。
時代劇がいいなあ。
刀は「菊一文字則宗」か何かで。

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ぐみジャム

2007-06-03 07:40:01 | 日々

苺につづいて、ぐみのジャムを煮る。

ぐみの木は自然に生えているのもありますが、
これは買ってきて植えたもの。
「びっくりぐみ」と呼ばれるトウグミの一種ではないかしら。
さくらんぼを細長くしたような大粒の実がたくさんなります。
熟すと赤い色が日に透けてとてもきれい。

渋味をとるため、たっぷりの熱湯にさっとくぐらせます。
薄い皮があっというまに破れるので、ほんの3秒くらい。
ざるにあけたら、そのまましゃもじでつぶすと、
簡単に種がとれます。縦に溝のある黄緑色の大きい種です。

ざるでこした実に5割から7割ほどの砂糖をいれて煮ます。
うちはみんな酸っぱいのが好きだから5割で充分。
柔らかいので、ほかの果物より短時間でジャムになります。

赤といってもトマトポタージュのような色のジャム。
これだけなめると少し舌に渋味を感じますが、
パンに塗ったりするときはほとんど気になりません。

昨年は春先から実家の父の具合が悪かったりしたので、
この時期のジャム作りをしませんでした。
ぐみも桑も苺もプラムも、気がついたときにはひとつもなかった。
鳥か動物が食べたのかもしれない。

そういえば、このあいだムジタ君が庭に来て、
桑の木のまわりをくるくる回って落ちた実を拾っていました。
アナグマって木登りはできないんだね。
「あたしはできるよー」
そう言いたげな顔で、茶々がじっと見ていました。

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スギカエル

2007-06-01 15:08:15 | 日々

「忙しい」という言葉を、ふだんはあまり使いません。
なにしろ閑猫堂を名乗ってるくらいですしね。
たまにいくつかの用が重なってばたばたすることがあっても、
「この程度で忙しいと言ってはいけないんじゃないか?」
と心の声が聞こえる。
「忙しいから」って言い訳はまず相手に失礼だと思うし。

でも、いまはちょっと威張って言っちゃう。
忙しいのです。ベリィを摘むのに。

あさつきとポピーに埋もれていた苺畑でしたが、
いつのまにかちゃんと実がなっていました。
摘んだらあっというまに片手いっぱいになり、
そーっと持って帰って、ボウルを持って出直し。
かっちりした色の濃い苺です。味も濃くて、種がぷちぷち。
大きくて形の良いのを選んで朝ごはん用にとっておき、
あとはジャム用にすぐ冷凍庫へ。

草むらの草苺も、山のもみじ苺も、桑の実も。
ベリィは人を待ってはくれません。
朝夕こまめに見てまわって、雨が降る前に、蟻が来る前に。
うつりかわる季節の一瞬を摘みとるように。

冷凍庫に800グラムほどたまったので、
久しぶりにジャムを煮ました。
ふつうの苺に草苺が1割くらい混ざったミックスです。
熱いうちにジャムびん2つに詰め、あとは味見用として小鉢に。
粒の残ったプレザーブスタイル。
これはおいしい。ほんとにおいしい。
ハウス栽培の苺では絶対こういうふうにできません。
仕事よりも苺が大事。
幸せな忙しい日々。


本日のタイトルは『プー横丁にたった家』から、
おなじみクリストファー・ロビンの張り紙。

GON OUT BACKSON BISY BACKSON
(がいしつ すぎかえる いすがし すぎかえる)

…読むたびに感嘆する石井桃子さんの名訳。

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