峠を越えて年越しそばを食べに出かけた。
例年、Mがもちつきに続いてそば打ちをしてくるのだが、
ひと打ち(というのかな?)の単位が4人前くらいで、
ふたりでは余ってしまうので、今年は食べに行くことにしたのだ。
帰省と旅行客で、車の数が日頃の何倍も多い。
すぐ前を走っているのは焼き芋屋の車だ。
軽トラックの荷台で火を焚き、煙を出しながら走っている。
なんだか薪エンジン車のように見える。
それが、かなりの速さ。
下り坂で初心者マークのフォルクスワーゲンを猛然と追い越していく。
スピードを出している焼き芋屋なんて見たことがない。
山の中では人家もなく、タヌキ相手では商売にならないから、
次の町まで急いで行きたいのだろう。
レースのカーテンのようなものが荷台で風にはためいている。
よく見るとクリスマスの電球やリースもぶらさがっているし、
奥にはなぜか下手な仏像の絵が貼ってある。
百グラム何円という看板の、肝心の値段のところが隠れて見えない。
なんだか怪しいインドの焼き芋屋みたいだ。
笑いながらうしろからついていく。
隣の隣の町まで行って、目についた道端のそば屋に入ってみた。
がらがらとガラス格子の戸を開けると、古い店だ。
由緒や歴史があるという意味ではなく、ただ古いだけ。
すきま風が吹き込む雑然とした店内は、時代が昭和のまま。
注文をとりにきたおばあさんは80近くに見える。
棚の上のTVがずっと切れ目なく漫才をやっている。
ふたりで、かき揚げそばを頼むと、
おそばと一緒に、小皿が3つやってきた。
ポテトサラダと、おさしみわかめと、大根キムチ。
何を頼んでもこのセットがおまけにつくらしい。
韓国みたいだとMが言う。
わたしはキムチというものを初めて食べた。
見た目ほど辛くないものだということがわかった。
おそばのどんぶりの模様といい、止まっている壁の柱時計といい、
奥に見える2階へ上がる階段の黒光り具合といい、
田舎のおばあちゃんの家に来てお昼を食べているようだ。
かつおぶし粉をたっぷり使ったようなおつゆが
濃い味で意外に美味しかった。
また来年も来ようと思う。
例年、Mがもちつきに続いてそば打ちをしてくるのだが、
ひと打ち(というのかな?)の単位が4人前くらいで、
ふたりでは余ってしまうので、今年は食べに行くことにしたのだ。
帰省と旅行客で、車の数が日頃の何倍も多い。
すぐ前を走っているのは焼き芋屋の車だ。
軽トラックの荷台で火を焚き、煙を出しながら走っている。
なんだか薪エンジン車のように見える。
それが、かなりの速さ。
下り坂で初心者マークのフォルクスワーゲンを猛然と追い越していく。
スピードを出している焼き芋屋なんて見たことがない。
山の中では人家もなく、タヌキ相手では商売にならないから、
次の町まで急いで行きたいのだろう。
レースのカーテンのようなものが荷台で風にはためいている。
よく見るとクリスマスの電球やリースもぶらさがっているし、
奥にはなぜか下手な仏像の絵が貼ってある。
百グラム何円という看板の、肝心の値段のところが隠れて見えない。
なんだか怪しいインドの焼き芋屋みたいだ。
笑いながらうしろからついていく。
隣の隣の町まで行って、目についた道端のそば屋に入ってみた。
がらがらとガラス格子の戸を開けると、古い店だ。
由緒や歴史があるという意味ではなく、ただ古いだけ。
すきま風が吹き込む雑然とした店内は、時代が昭和のまま。
注文をとりにきたおばあさんは80近くに見える。
棚の上のTVがずっと切れ目なく漫才をやっている。
ふたりで、かき揚げそばを頼むと、
おそばと一緒に、小皿が3つやってきた。
ポテトサラダと、おさしみわかめと、大根キムチ。
何を頼んでもこのセットがおまけにつくらしい。
韓国みたいだとMが言う。
わたしはキムチというものを初めて食べた。
見た目ほど辛くないものだということがわかった。
おそばのどんぶりの模様といい、止まっている壁の柱時計といい、
奥に見える2階へ上がる階段の黒光り具合といい、
田舎のおばあちゃんの家に来てお昼を食べているようだ。
かつおぶし粉をたっぷり使ったようなおつゆが
濃い味で意外に美味しかった。
また来年も来ようと思う。