閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

十三夜

2012-10-28 19:07:50 | 日々


お月見というよりハロウィン仕様になっている月ランプ。


夜、テリー・ギリアム監督の奇怪映画(怪奇ではない)をみて、
さらに寝る前に読んだ本がまたちょっとばかり怖い話で、
それも完結せず「つづく」という形で終わっており、
選択を間違えたなあと小さく後悔しつつ、とろとろと眠って・・
午前2時すぎに、鹿が鳴いたのです。

<奥山にもみじふみわけ鳴く鹿の声きく時ぞ秋はかなしき>

百人一首の中でいちばん最初に覚えたうただ。
どうしてこれが最初なのかわからない。
薄暗くて寂しい雰囲気だし、「おひめさま」でもないし。
(自分の名前が入ってたからかな?)
当時は鹿の声を聞いたことはなく、これは「昔の話」だと思っていた。
つまり実際に聞けるとは思ってもみなかったわけで。

このあたりで秋に鹿の声を聞くようになったのは
ここ10年くらいのことだ。
文字で書けば「フィイーーーヨーーー」に近い。
サイレンのように、イーで上がり、長くひっぱって、ヨーで下がる。
音というのは言葉ではなかなか言い表しにくい。
映画か何かで「コヨーテの遠吠え」を聞いたことがあれば、
雰囲気はそれに似ているかもしれない。

鳴くのは、大きな角をもった繁殖期の牡鹿だ。
縄張り宣言であり、嫁さん募集の宣伝でもあるから、
その声には非常にインパクトがあり、谷を越え山々に響きわたる。
これが「奥山」から風にのってかすかに聞こえてくる程度なら
風流ともいえるけれど、昨夜のは窓のすぐ外で鳴いたので、
ぎょっ!として目が覚めた。
(ぎょっ!の内訳は、びっくり5、うるさい3、怖い2です)

そもそも、ここにはヒトが先に住んでおり、きみのテリトリーではない。
だから、勝手に妻子を連れてきてもらっては困る。
畑も花壇も、きみたちのゴハンじゃないんだからね!
ということを教えてやらねばならないので、窓をがらっと開け、
外に向かって「うー、わんっ!」と吠えると、
(日本語では迫力がなさすぎて太刀打ちできない。
眠いと不機嫌で複雑な会話はしたくない閑猫・・笑)
15メートルほど向こうでばさっと枯れ葉を踏む音がして・・
それきり静かになった。

で、やれやれと寝直したのですが、ふと考えてみると
あれは本当に鹿だったかどうか。
あの声は鹿だとこちらが勝手に判断しているだけで、
鳴いている姿は一度も見たことがない。
鹿じゃなかったら何なのか。
うーん・・考えないでおこう。
そして寝る前にはなるべく変な映画や小説はやめておこう。


珍しく、町へ行くのにカメラを持っていく。
いつも植物や空ばかりなので、たまには他のものも・・
と思って出かけたけれど、いっこうに撮りたいものがみつからない。
電線、看板、自販機、車、ガードレール、駐車場、どっちを向いても
ごちゃごちゃ、がやがやして、きれいに切り取れる風景がない。
持って帰りたい宝物がない。
刈り込まれすぎて無残な街路樹。シャッターのおりた商店街。
いつのまにこんなになってしまったんだろう。
それとも、町が変わったのではなくて、こちらの意識が
変わっただけだろうか。

町のあちこちでキンモクセイの香りに出会った。
わが家の周囲ではとっくに終わってしまったけれど、
ここのは2度目の開花なのか、まあるく刈り込まれた木に
びっしりと花がついているのを何度も見かけた。
古い港町なので、家々は狭い場所にくっつきあって建ち、
庭はあっても狭い。その中で、この木が大事にされていることが、
花の時期にはよくわかる。
町を訪れた人は、案内図を手に観光名所をめぐって歩くけれど、
家に帰って何を話すだろう。
「キンモクセイのいい匂いがしてね・・」
そんなことを、意外といつまでも覚えているものだ。
それが、旅のおみやげ。

1時間くらい歩いて、本日の「お持ち帰り」は以下の3点。



まもなく取り壊される廃工場と、

 

 

長い長い蔵の壁と、

 

 

海賊船!?(笑)

 

 


そして、本日のにゃんこの・・

おみやげ。
いえ、猫がくれたのではありませんよ。
酔猫さんにいただいた猫用のおみやげです。
(えー、ややこしいなー)


 

おさかな形が素朴で可愛いですね。
猫用にしては大きくて、長さ7センチくらいあります。
かなりかたいので、こまかく砕いてあげたほうが良いでしょう。
グルメの茶々姫がウマイウマイと食べておりました。

 

コメント
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