弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

野尻抱影著「宇宙のなぞ」

2024-06-15 13:23:26 | 趣味・読書
私(1948年生まれ)は小学生の頃、「宇宙のなぞ」という本を愛読書にしていました。著者名は忘れましたが。

この6月、日経新聞の「私の履歴書」はノーベル賞授賞学者である本庶佑氏(ウィキ)(1942年生まれ)の物語です。
6月3日の記事「私の履歴書(3)生意気な小学生」で、以下の内容が紹介されていました。
『6年生の夏休み、野外学習の場に理科の先生が天体望遠鏡を持ってきた。のぞき込むと澄み切った夜空に浮かぶ土星のきれいなリングが幾重にも見えた。さすがにこれには仰天した。
思えばこれが自然科学に魅了された最初の出来事だった。「あの向こうはどうなっているのか。宇宙の果ては一体どこにあるのか」
野尻抱影が子ども向けに書いた「宇宙のなぞ」を読みふけった。岩波書店が出していた絵刷りの雑誌「科学の学校」も愛読書だった。
本を読んだり図鑑を眺めたりして、太陽フレアや地動説、火星の運河の有無などについて独学した。小学校の卒業文集には、将来、天文学者になりたいと記した。』

「宇宙のなぞ」・・・私が小学生時代に愛読していた本と同じ題名です。同じ本かどうか、確かめたくなりました。
ネット検索すると、古書店で3000円で販売している記事を見つけました。さっそく入手しました。

野尻抱影著「宇宙のなぞ」偕成社
昭和30年(1955)初版
昭和35年(1960)10版

さて、私が小学生の頃に愛読していた「宇宙のなぞ」と同じ本か否か。私は当時の本の中で一箇所だけ記憶している映像があります。「ノモンハン事件」の挿絵です。
探したらありました(143ページ)。

地球から星までの距離を「光年」で表すことの説明です。
「ヒコボシは16光年、タナバタは27光年、ミツボシは500光年、北極星となると1000光年、天の川の中のとおい星は7,8万光年という遠さです。」
そして、挿絵の説明として、
「今わたしたちのながめている星の光は、いつごろ輝いた光でしょうか?」として、
左から2つめの挿絵の説明として、
「ひこぼし 昭和14年(1939)ノモンハン事件がおこる」
としています。
これで、私が愛読していた「宇宙のなぞ」が、本庶佑さんが読みふけった本と同じであることが確認できました。

私が「ノモンハン事件」の存在を知ったのはこの本の挿絵からです。これがなければ、1960年当時の小学生がノモンハン事件の存在を知ることはなかったでしょう。
また、著者の野尻抱影氏が、1939年頃に起こった事象として、ノモンハン事件を取り上げたということは、当時の大人にとってノモンハン事件は強烈な印象で記憶されていたということでしょうか。
挿絵は、日本軍と思われる兵士が軍刀をかざして切り込み、ソ連軍と思われる戦車が燃えています。ノモンハン事件の中で、日本軍歩兵の火炎瓶攻撃でソ連軍のガソリン戦車を多数炎上させた事象を表しているのでしょう。このブログでは、ノモンハン事件での火炎瓶攻撃 2021-09-14で記事にしました。

ところで、ノモンハン事件が起こった1939年にひこぼしから発せられた光は、16年後の1955年に地球に達します。「宇宙のなぞ」の初版が発行された年です。私が今回購入した10版は1960年発行ですから、その光はとっくの昔(5年前)に地球に到着済みです。

最近の小学生が、著書「宇宙のなぞ」で得られるような知識をどのようにして得ているのか、今度孫(中学生)に会ったら聞いてみることにします。
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