弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

理研の監督責任

2014-04-16 21:44:32 | サイエンス・パソコン
本日は、笹井副センター長の記者会見がありました。残念ながらライブで見ることはできませんでしたが。

私は、「理研の危機管理体制のどこに問題があったのか」という点に注目しています。
小保方さんは記者会見で「未熟、自己流」であったことを認めて謝罪しました。そうすると今度は、
○ 未熟、自己流の小保方さんを、(大学教授にも匹敵する)理研のユニットリーダーとして任命した理研の責任はどうなっているのか。
○ 任命後の業務の中で、理研は「未熟、自己流」を見抜くことはできなかったのか。
○ 「未熟、自己流」に気づいたとして、それによって理研が大けがをしないようなサポート体制を、理研はなぜ採らなかったのか。
といった、危機管理上の問題点が浮上します。

先日、このブログで「小保方氏記者会見」として記事にしました。その中で、野依理事長の以下の発言を書き留めました。
「経験が不十分であるがゆえに有するリスクに対する認識が相当に甘かったのではないか」理研・野依理事長が文部科学委員会で答弁
BLOGOS編集部 2014年04月09日 17:55
『STAP細胞をめぐる一連の騒動について、理研のユニットリーダー小保方氏が会見を行った。同日午前中、理研の野依理事長が衆議院文部科学委員会に出席し、民主党の笠浩史議員からの質問に応じた。』
『野依:小保方ユニットリーダーが勤めます細胞リプログミング研究ユニット。これは2013年の3月1日に発生・再生科学総合研究センターのセンター長戦略プログラムに設置されております。従いまして、研究不正を防止するという観点からのご指摘にありました(科学研究上の不正行為の防止等に関する規定)第4条の規定による所属長は、研究ユニットにつきましては小保方ユニットリーダーでございます。小保方ユニットリーダーについては、センター長戦略プログラム長がそれに相当しておりまして、発生・再生科学総合研究センター長が兼務しています。 』

野依理事長の答えによると、「ユニットの内部についてはユニットリーダーが所属長としてチェックするが、ユニットリーダーその人については、ちゃんとセンター長がチェックすることになっている」ということでしょう。
さて、ここで話題になっている「科学研究上の不正行為の防止等に関する規定第4条」というのが気になります。
そこで探してみました。

独立行政法人理化学研究所「第2回 研究不正再発防止のための改革委員会開催」で見つけました。
日時:平成26年4月13日(日)
配布資料
資料1:理化学研究所のラボマネジメントの現状と課題についての9ページに以下の記載がありました。
『科学研究上の不正行為の防止等に関する規程(抜粋)
(所属長の責務)
第4条 所属長は、その所掌する組織における研究不正を防止するため、次の各号に掲げる事項を遵守するものとする。
(1)所掌する組織において、研究レポート、各種計測データ、実験手続き等に関して適宜確認すること。
(2)所掌する組織の研究員等に対し、各種計測データ等を記録した紙及び電子媒体、ラボノートブック等は、研究成果有体物取扱規程(平成18年規程第10号)第3条により研究所に帰属することを周知するとともに、ラボノートブックの適切な記載の方法を指導すること。
(3)各種計測データ等を記録した紙及び電子媒体、ラボノートブック等は、論文等成果物の発表後も、研究所の定める期間保管し、他の研究者からの問い合わせ、調査照会等に対応できるようにすること。
(4)論文を共同で発表するときには、責任著者と共著者との間で責任の分担を確認すること。』

今回の小保方騒動で、小保方さんがユニットリーダーに採用された1年前以降については、センター長が上記4条の監督責任を有していることになります。また、ユニットリーダー採用前、若山ユニットのメンバーだった頃については、若山ユニットリーダーが監督責任を有していました。

マスコミは、このあたりの監督責任を厳しく追及して欲しいと思います。

なお、上記の検索の過程で、以下の蓮舫参議院議員オフィシャルサイト記事を見つけました。
合同部門会議 2014年4月8日
『党の内閣・厚生労働・文部科学・経済産業合同部門会議に出席。
STAP細胞の疑義に関する調査報告について理化学研究所よりヒアリングを、健康・医療戦略推進法案、及び独立行政法人日本医療研究開発機構法案について法案審査を行いました。

理研の科学研究上の不正行為の防止等に関する規定第4条には所属長が不正を防止する手順が定まる。が、STAP細胞チームにおいての所属長は小保方ユニットリーダー。他者による彼女の研究noteのチェックなどは「落とし穴だった」との理研の説明。』

ここでも、理研から出席した説明者は、「小保方さん個人にしか責任はない」と一生懸命説明しているようです。
コメント (2)
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