弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

拒絶理由通知の引用文献

2007-09-06 21:32:06 | 知的財産権
特許庁から特許事務所宛に拒絶理由通知が届いたとき、その通知に引用文献が引用されていた場合は、引用文献のコピーを添付して出願人に転送します。
引用文献が特許文献であれば、現在はIPDLから無料でダウンロードできますから、何の問題もありません。

ほとんどの場合、引用文献は特許文献ですが、たまに非特許文献が引用されるときがあります。このようなときに非特許文献をどのように入手するかが問題となります。

非特許文献が引用される大部分の場合、拒絶理由通知の前に第三者から刊行物提出書が提出されており、その中で提出された非特許文献が引用文献となっているという実態があります。そのような場合は、包袋の閲覧請求(600円)あるいは交付請求(1000円)を行うことにより、その非特許文献を入手することができます。

しかしごくたまに、刊行物提出がないのに、非特許文献が引用されることがあります。引用刊行物の添付はサービスで無料で行っているので、入手に手間をかけたのでは事務所が赤字となります。
以前、出願人に電話をかけ、「この文献はそちらで入手できませんか」と聞き、「出願人の研究所図書館で入手できます」との返事をもらって、事務所からは文献を添付せずに済ませたことがあります。

1回だけ、どうしても必要で引用された非特許文献のコピーを特許庁までもらいに行ったことがありますが、やはり手間でした。

上記のような問題に対し、特許庁がサービス改善を打ち出しました。
今年の10月1日以降に起案する拒絶理由通知については、非特許文献が引用されたとき、その非特許文献を送付してくれるというのです。こちらに案内があります。
「このたび、平成19年7月の改正著作権法の施行により著作権法上の取扱が明確となり、拒絶理由通知書等で引用された非特許文献を出願人に送付することが可能となりましたので、お知らせします。」
「運用開始日
 平成19年10月1日
※引用非特許文献が送付されるのは送付対象となる通知書類の起案日が10月1日以降のものに限ります。」

従来、文献を添付するサービスがされなかったのは、著作権法上の問題だったのですね。
「著作権法第四十二条
 著作物は、裁判手続のために必要と認められる場合及び立法又は行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合には、その必要と認められる限度において、複製することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
2 次に掲げる手続のために必要と認められる場合についても、前項と同様とする。
一 行政庁の行う特許、意匠若しくは商標に関する審査、実用新案に関する技術的な評価又は国際出願(特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律(昭和五十三年法律第三十号)第二条に規定する国際出願をいう。)に関する国際調査若しくは国際予備審査に関する手続 」
コメント (5)
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