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2023年見たい天体現象「2023年に明るくなる彗星」☄

2022年12月14日 | 「見たい天体現象」
  2023年見たい天体現象シリーズの第6弾は「2023年に明るくなる彗星」です。

 天文年鑑2023年版の「近く訪れる彗星」では2023年に6等級以上まで明るくなる彗星として「C/2022 E3(ZTF)」「96P/Machholz 1」「2P/Encke」の3個を 、また肉眼等級にはならないが8等級までに明るくなる彗星として「5D/Brorsen」「C/2021 T4(Lemmon)」「103P/Hartley 2」「62P/Tsuchinshan」の4個を紹介している。

 この中から、2023年見たい彗星として6等級以上まで明るくなる彗星3個と8等級までに明るくなる彗星から1個を掘り下げてみよう。


エントリー№ 1 「ZTF彗星(C/2022 E3)」
・最大光度 4.8等級、地球最接近日 2月1日(0.28AU)
 C/2022 E3は、2022年3月2日にパロマ-1.22mオースチン・シュミットで行われたZTFサーベイで撮影した捜索画像上(わし座)で発見された彗星である。この彗星の標準等級はH11=+6.5等ぐらいと見積もられている。オールトの雲からやって来た新彗星ではないので順調に増光するものと考えられている。

 現在、かんむり座にいるC/2022 E3はすでに明け方の空に姿を現しているが年末には高度も上がり観測しやすくなる。近日点通過は1月12日で近日点距離が1.112AUと地球軌道の外なので極端に明るくなることは望めないが1月12日以降は肉眼等級になると予想されている。地球最接近の2月1日には北極星の近くのきりん座で光度が4.8等級に達するので長い時間条件良く観測することできる。


エントリー№ 2「96P/マックホルツ第1周期彗星(96P/Machholz 1)」
・最大光度 2.0等級、地球最接近日 2月6日(1AU)
 96P/Machholz 1は、2023年1月31日に近日点(q=0.116AU)を通過する周期5.28年の彗星である。この彗星は1986年の発見から毎回帰ごとに観測されており今回で8回目の出現となる。近日点通過時は2等級まで明るくなるが太陽に近いため地上から観測はできない。

 2月中旬に明け方の空に姿を現すが光度は8等級まで減光する予報がでているので残念ながら肉眼彗星にはなることはないと思われる。2月下旬には10等級に、3月上旬には11等級へと急激に減光するので観測できる期間は短い。


エントリー№ 3 「2P/エンケ彗星(2P/Encke)」
・最大光度 5.4等級、地球最接近日 9月25日(0.9AU)
 2P/Enckeは、2023年10月22日に近日点(q=0.34AU)を通過する周期3.3年の彗星で標準等級はH11=+10.0等と見積もられている。今回は1786年の発見以来65回目の回帰となる。地球最接近日は9月25日だが近日点通過の1か月前なので予報光度は8等級台とそれほど明るくはない。

 10月14日にはおとめ座で光度5.9等になる予報がでているが天文薄明開始時の高度がわずか4°なので条件的には厳しい。その後も徐々に高度を下げるので10月下旬以降は北半球での観測ができなくなる。観測は月の影響を受けない9月25日(下弦)頃までと高度は低くなるが10月11日(月齢26)以降がベストだと思われる。


以上が6等級以上に明るくなる彗星のザックリ情報だが、晴れスタ的にぜひ見たい彗星として103P/ハートレー第2周期彗星があるので以下に紹介する。


エントリー№ 4 「103P/ハートレー第2周期彗星(103P/Hartley 2)」
・最大光度 6.4等級、地球最接近日 9月26日(0.38AU)
 103P/Hartley 2 は、2023年10月12日に近日点(q=1.06AU)を通過する周期6.48年の彗星で、1985年の発見以来7回目の回帰となる。9月26日に地球に0.38AUまで近づいて7等級まで明るくなる予報が出ている。地球接近時の彗星の位置はぎょしゃ座なので一晩中条件良く観測できる。

 この103P/ハートレー第2周期彗星は前々回の回帰(2010年)の時にも地球に接近して5.8等級まで明るくなっている。その時にエポキシ探査機が接近して撮影した画像に「彗星を取り巻く宇宙吹雪」が写っていて話題になったほうき星である。

 この彗星は近日点に近づくと急激に増光する特徴を持っているので画像のような宇宙吹雪が舞っていると想像しながら撮影するとリアリティがあってより楽しめる感じがする。とても小さな彗星だが今回はどのような姿を見せるのかと思うとワクワク感の高まるほうき星だ。

〈103P/ハートレー第2周期彗星〉2010年10月11日撮影

2010.10.11 22:34:11 SE200N D90 LPS-P2 ISO2500 180sec

  〈ジェットを吹き出す彗星表面だが…〉


  〈その正体は雪玉が飛び交う宇宙吹雪だった!〉

   エポキシ探査機が撮影した103P/ハートレー第2周期彗星

〈関連ブログ〉
宇宙空間に吹き荒れる吹雪 2010.11.24
10月11日のハートレー彗星/103P 2010.10.11
ハートレイ彗星/103P 2010.10.2

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ich)
2022-12-15 08:59:38
晴れスターさん
 彗星も楽しみですね!まずはいきなり1月に明るくなるZTFですね。北極星のそばでずっと見られるのがうれしいです。それにしても、文字にすれば3文字で短いですが口にすると、ズィーティーエフと言いにくい彗星です。個人的にはエンケをまた見たいと思っています。
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P/周期彗星 (晴れスター)
2022-12-15 13:45:58
ichさん
 2020年のネオワイズ彗星、2021年-2022年のレナード彗星とこの2年間はほうき星らしい彗星を楽しめましたが来年は望遠鏡でじっくり撮影するタイプのほうき星だけでちょっと残念ですね。以前ichさんがアストロアーツに投稿したエンケ彗星を見て私も撮りたいなーと思っていたので来年は逃さず撮影したいと考えています。なんと言ってもエンケは2Pですからね。歴史ある彗星なのできちんとお出迎えしないと失礼に当たります。条件は難しいですが頑張って撮るようにしましょう。
 あの~、ZTFがズィーティーエフと表記されているのはなぜなんだろうとずっと思ってましたが何か理由があるのでしょうかね~。正しい英語音声表記にするのならズィーティーエーフだとも思うのですが… ZTFがズィーティーエフになった経緯を知りたいですね。
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