yoshのブログ

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巌頭之感 藤村操

2016-04-21 05:49:15 | 文学
北海道出身の旧制一高生、藤村操(16歳)は明治35年5月22日に「巌頭之感」を遺して、日光華厳の滝に身を投じました。前日の21日に一高の寮から制服制帽で失踪していたと阿部次郎(「三太郎の日記」の著者)が証言しています。厭世観によるエリート学生の死は「立身出世」を美徳としてきた当時の社会に大きな衝撃と影響を与え、後を追う者が続出したそうです。

巌頭之感

        悠々たる哉天壤(てんじょう)
        遼々たる哉古今
        五尺の小躯を以て此大をはからむとす
        ホレーショの哲學 竟(つい)に何等のオーソリチィーを價するものぞ
        萬有の眞相は唯だ一言にして悉(つく)す、曰く「不可解」。
        我この恨を懐いて煩悶、終に死を決するに至る。
        既に巌頭に立つに及んで、胸中何等の不安あるなし。
        始めて知る、大なる悲觀は大なる樂觀に一致するを。
                    (明治36年5月22日)

「不可解」故に死を選ぶという事は、不肖のごとき凡人の理解を超えることです。
藤村操のように裕福な家庭で育ち、非常に優秀で前途有為な若者が、あたら命を落としたのはまことに残念なことでした。
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