yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

門跡尼寺

2010-12-09 06:46:59 | 文化
門跡(もんぜき)とは、皇族や貴族に相承される特定の称号であり、また、皇族や貴族が住職を務める寺、門跡寺院という寺格があります。門跡が尼の場合が門跡尼寺です。「寂光院」のように、元は尼寺ですが、現在の住職は男性の場合もあります。「寂光院」は聖徳太子が御父、用明天皇の菩提を弔うために建立したと伝えられています。「平家物語」の「大原御幸」で有名で、第八十代、高倉天皇の中宮であった建礼門院、平徳子が隠棲して晩年を過ごし、平氏一門の菩提を弔った尼寺です。
「中宮寺」は聖徳太子の御母、穴穂部間人皇女(あなほべのはしひとひめみこ)の宮殿であり、法隆寺の境内に建てられたと伝えられています。ここにある弥勒菩薩半跏思惟像は見事な仏像です。モナ・リザ、スフィンクスと共に世界三大スマイルともいわれますが、飛鳥時代のこの像の微笑みの深さと気高さは、世界一ではないかと思います。

 會津八一はこの中宮寺のみ仏を次のように詠んでいます。
   みほとけの あごとひぢとに あまでらの あさのひかりの ともしきろかも
「ともし」は「羨し」と書き、ここでは「心惹かれる」というような意味でしょう。

内田康夫氏は自著の巻末には、必ず「本書はフィクションです。実在する個人、企業、団体とは一切関係ありません」と書きます。時には、読んでいると明らかにモデルとなっている人物が推測できる場合もあります。ここで採り上げた「風のなかの櫻香(さくらこ)」も例外ではなく、「本書はフィクションであり、、、」の但し書きがありますが、「あとがき」の中に、「この作品はひとえに奈良中宮寺の日野西光尊御門跡の一方ならぬご厚情のお蔭によって誕生したことを申し上げなければなりません。お読みになってお分かりのとおり、「尊宮寺」と名称だけは変えていますが、モデルになったお寺が、かの有名な門跡尼寺・中宮寺であることは明らかです。(中略)光尊御門跡の秘書役を務めている秋山妙蓮さんも実在し、浅見光彦倶楽部の会員でもあります。」と異例の報告と謝辞を書いています。

内田康夫著 「風のなかの櫻香」 徳間書店
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 藤沢周平 | トップ | 韜光養晦(とうこうようかい) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

文化」カテゴリの最新記事