yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

哭晁卿衡 李白

2019-11-07 06:16:05 | 文学
李白の七言絶句を紹介します。

哭晁卿衡

日本晁卿辞帝都
征帆一片遶蓬壺
明月不帰沈碧海
白雲愁色満蒼梧

晁卿衡(ちょうけいこう)ヲ哭ス

日本ノ晁卿(ちょうけい)帝都ヲ辞シ
征帆一片 蓬壺(ほうこ)ヲ遶(めぐ)ル
明月帰ラズ 碧海ニ沈ミ
白雲愁色 蒼梧(そうご)ニ満ツ

「訳」
わが友、日本の晁衡どのは、都長安に別れをつげ、一艘の帆かけ船に乗って遠く東方の海上にある蓬莱の島をめぐり去った。清らかな月のような晁衡どのは、深い海に沈んで帰らぬ人となった。白い雲が憂いをおびて、蒼梧の山に広がっている。

「鑑賞」
「晁衡」は阿部仲麻呂の中国名。遣唐使の随員として唐に渡り717年に長安に到着した仲麻呂は唐王朝に仕えて玄宗の厚遇も受けました。入唐後35年(753年)、ようやく帰国を許され、蘇州(江蘇省)から乗船しましたが、嵐にあって難破、安南(ベトナム)に漂着しました。仲麻呂は再び長安にもどり、ついに日本には帰りませんでした。李白は旧知の友の遭難を漂白の地で聞きおよび、その死(誤報)をいたんで作った詩がこれです。なお、「百人一首」に収められている「天の原ふりさけみれば春日なる三笠の山に出でし月かも」という仲麻呂の和歌の漢詩「望郷詩」が、西安の興慶(こうけい)公園に記念碑となって刻まれています。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 立方数の和 | トップ | 「ボ-ッ」と生きている »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

文学」カテゴリの最新記事