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yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

 2025年 乙巳(いっし) 謹賀新年

2025-01-01 07:21:13 | 文学
  新年おめでとうございます。今年もこのブログへのご来訪をお待ちしております。
よろしくお願い申し上げます。今年でこのブログは20年目になります。昨年は、ブログへの掲載が延べ2000話を超え、お陰様で、このブログへのアクセス数が延べ約170万になりました。

今年、西暦2025年の十干・十二支は「乙巳(いっし)」です。乙は十干の二番目 きのと、十二支は巳 です。「巳」の音読みは「し」、訓読みは「み」、意味は「へび」です。

「乙」の意味
「乙」は、十干の第二位、甲の次、下の象形文字のように、草木の芽が曲がりくねっています。新しい芽による改革創造の歩を進めるに当たり、いかなる抵抗があっても。どんな紆余曲折を経ても、それを進めていかねばならないことを意味しています。
前の十干の甲を継ぐ革新を意味します。五行では、木にあたります。


「巳」の意味
巳は、十二支の第六位、方位は北北東、動物の象形文字です。説文によれば、今まで冬眠していた蛇が、春になってぼつぼつ冬眠生活を終わって地表に這い出す形を表しています。即ち、従来の地中生活、冬眠生活を終って、、従来の因習的生活に終わりを告げるという意味があります。その意味で已(やむ)に等しいのです。巳は方位では、南東と南南東の間、時刻は午前十時、五行では火にあたります。
 安岡正篤 「干支の活学」 プレジデント社  

     
              
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高適 除夜の作 霜鬢明朝又一年

2024-12-31 06:37:18 | 文学
毎年、大晦日になると決まって想い起こす漢詩、除夜の作(高適)です。

旅館の寒燈獨り眠らず 
客心何事ぞ轉た凄然
故郷今夜千里を思ふ 
霜鬢明朝又一年

詩人 高適(こうせき)は四川省成都に流浪して来た杜甫を温かく援助し親交を結びました。晩年は不遇でした.

結句 霜鬢明朝又一年    
白髪に又 一年がむなしく加わる、にしみじみとしたものを感じます。

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百端の学

2024-12-29 06:15:27 | 文学
「百端の学」は、よく知らなかった言葉です。将棋の森内俊之名人が、扇子に揮毫しているという事を耳にしましたが、出典は司馬遷の「史記」です。
「亀策列伝、巻六十八」に以下のように書いてあります。

博(ひろ)く芸能の路を開き、悉く百端の学を延ぶ。一伎に通ずるの士は、咸(み)な自効を得たり。

「芸能」とは芸に優れていることを指し、「芸と才」とは、ともにすぐれた能力の意味です。
つまり「人間は様々な修練によって、学問や技能などを身に付けなければならない」としています。 古代の中国では「六芸(りくげい)」といって、人格形成のための必要な教養とし て、次の6つがあげられていました。すなわち、「礼(礼儀・作法)、楽(音楽・歌舞)、射(弓)、
御(馬術)、書(学問)、数(数学)」。要するに、士がよりよい社会生活をするための教養として、身につけるべき才芸や技能を意味しており、その範囲は極めて広く、文武、芸能などの全般にわたっています。
 日本でもこれを手本にして、平安・鎌倉時代以降、「今様、朗詠、舞楽曲、雅楽、歌舞、笛琴、
鼓、蹴鞠、囲碁、花道、書道、美術、能楽、音楽」などの芸能や武術を幅広く修得することが要請されてきたようです。
 世に、学ぶべき「百端の学」がありますが、この中から、わずかに一芸であってもそれに秀でることは難しいことではないかと思います。




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陽関三畳 王維

2024-12-23 06:19:26 | 文学
初唐の詩人、王維は、使者の役目を帯びて安西に旅立つ元二(げんじ)を「陽関三畳」を詠んで送りました。以来、送別の時には、王維のこの詩を三度繰り返して詠うのがならわしとなったというように、代表的な送別の詩です。

 送元二使安西

渭城朝雨浥軽塵 
客舎青青柳色新
勧君更尽一杯酒
西出陽関無故人

         「読み方」

元二ノ安西ニ使イスルヲ送ル

渭城ノ朝雨 軽塵ヲ浥(うるお)シ 
客舎青青 柳色新タナリ
君に勧ム 更ニ尽クセ一杯ノ酒
西ノカタ陽関ヲ出ヅレバ 故人無カラン

「訳」
        別れの朝、渭城の町は夜来の雨が軽い土ぼこりをしっとりとうるおしている。
        旅館の前の柳は芽吹いたばかり。ほこりが洗い落とされ、水をふくんで、よりいっそう青々と見える。
        いよいよ旅立つ元二君、さあ、もう一杯酒をのみたまえ。西のかた、陽関という関所を出たならば、もういっしょに酒を汲み交わす友達もいないのだから。

「鑑賞」

       前半二句は、すがすがしい雨上がりの春の情景。昨夜、長安から元二を送ってこの渭城の町にきて、別れの宴を催し、今朝はいよいよお別れ。宿屋の前の柳の芽は雨に洗われて目にしみるように青々としている。中国では昔から送別の時、楊柳の枝を手折って環を作り、それを旅人に送って旅の平穏を祈るならわしがあり、柳は別れの詩によく登場します。
       後半二句、昨夜は遠く旅立つ元二と心ゆくまで酒を飲んだ。だが、いよいよ別れの間際となれあ、また寂しさがこみ上げてくる。そこでせめてもう一杯。ひとたび西の陽関を出れば、そこは砂漠が広がる未知の世界。もう一緒に酒を酌み交わす友もいないだろう。
       
石川忠久「ビジュアル漢詩 心の旅」世界文化社

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絶句 杜甫

2024-12-14 06:24:23 | 文学

詩聖 杜甫の五言絶句 を紹介します。

  絶句

江碧鳥愈白 
山青花欲然
今春看又過
何日是帰年

       「読み方」

江碧(みどり)ニシテ鳥愈(いよいよ)白ク 
山青クシテ花然(も)エント欲ツス
今春看(みすみす)又過グ
何(いず)レノ日カ 是レ帰年ナラン

        
錦江の水は深い碧色に澄み、そこに遊ぶ水鳥はますます白く見える。
山の木は緑に映え、花は燃えださんばかりに真っ赤である。
今年の春もみるみるうちに去ってしまおうとしている。
いったい、いつになったら故郷に帰れる時がやってくるのであろうか。

 「鑑賞」
杜甫、成都での作です。成都の自然の美しさに打たれつつ、故郷に思いをはせ 帰郷を願いました。

なお、島崎藤村は名歌「椰子の実」の中で「いずれの日にか国に帰らん」と歌っています。

   漢詩界の重鎮、石川忠久先生は、2022年7月12日に90歳で逝去されました。
    謹んで哀悼の意を表します。

 石川忠久「ビジュアル漢詩 心の旅」世界文化社 


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筍を焼く 高啓

2024-12-08 06:22:46 | 文学
明の詩人、高啓の五言絶句を紹介します。

 

焼筍

幽人嗜焼筍
出土不容長
林下孤煙起
風吹似竹香

筍ヲ焼ク

幽人焼キシ筍(たけのこ)ヲ嗜(たしな)ミ
土ヲ出(い)ヅレバ 長(の)ブルヲ容(ゆる)サズ
林下 孤煙起コリ
風吹ケバ 竹ノ香ルニ似タリ

「訳」

ひっそりと隠れ住む人は焼いた筍を好んで食べ、
土から出ると、大きくなるのを許さない。
林のなかから、煙がひとすじ立ちのぼり、
風が吹くと、竹が香るようだ。

 「鑑賞」

高啓は身近な風物や家族から、歴史や自然にいたるまで、多種多様の題材をとりあげ、巧緻に歌う多作型の詩人ですが、実人生は波乱万丈でした。

  井波律子 「中国名詩集」岩波書店
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計量文献学

2024-12-05 07:21:24 | 文学
計量文献学とは、文献の特徴を数値化し、統計的手法を用いて文献の分析や比較を行う方法、またはそれに関する学問です。数値化して解析する対象は、言語により適したものが異なります。例えば、文の長さ、特定の単語または品詞の使用率、同義語や句読点の使い方が用いられます。一連の脅迫文を解析して犯人像を絞り込むなど、犯罪捜査にも応用されているそうです。
アメリカのメンデンホールは計量文献学を研究して「フランシス・ベーコンがシェークスピア戯曲の真の作者である」という説を否定しました。
また、現代日本文において読点の付け方に個性が出やすいという研究結果もあるようです。
 (井上靖、三島由紀夫、谷崎潤一郎には特徴があることが分析されています。)


     
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浪淘沙令 李煜(りいく)

2024-12-02 06:24:12 | 文学
南唐の三代目、李煜(りいく)は、政治には不向きで、宋に下り、宋の都開封に軟禁されました。李煜は、文芸の才の持ち主で、音楽、絵画にもすぐれ、詩においては“詞”の第一人者としての名が高く、軟禁中にも名詞をのこしました。「浪淘沙令」は宋の都汴京(べんけい)、現在の開封での作です。

浪淘沙令(ろうとうしゃれい)
簾外 雨潺潺
春意 闌珊
羅衾 不耐五更寒
夢裡 不知身是客
一晌 貪歓

独自莫凭闌
無限江山
別時容易見時難
流水落花帰去也
天上 人間

           「読み方」
浪淘沙令
簾外 雨 潺潺(せんせん)
春意 闌珊(らんさん)タリ
羅衾(らきん)ハ耐ヘズ 五更ノ寒キニ
夢裡(むり)ニ身ハ 是レ客ナルヲ知ラズシテ
一晌(しょう)歓ヲ貪(むさぼ)ル

独リ自ラ闌(おばしま)ニ凭(よ)ル莫(なか)レ
限リ無キ江山
別ルル時ハ容易ニシテ 見(まみ)ユル時ハ難シ
流水落花 帰リ去(ゆ)ク也(なり)
天上 人間(じんかん)

 「訳」
すだれの外、雨はしとどに降り、春の気分はおとろえてゆく。
うすぎぬのふとんは、夜明けの寒さにたえられず目が覚めた。
ついさっきまでは、夢の中で、わが身が旅路の果てにあることも忘れ、
つかのまのよろこびにひたっていたものを。

たったひとり欄干にもたれて見わたすのはやめよう。
限りなく重なる山川のむこうに、ふるさとがあるから。
人の世は、別ればかりが多く、会うのはむずかしい。
流れる水に花びらが散り、春は行ってしまった。
天上と人間世界のへだたりよ。

浪淘沙とは、川の浪が砂をあらう事であり、令は曲を指します。

小椋佳氏が作詞作曲し、美空ひばりが歌った名歌「愛燦々」の出だしは、
「雨潸々と・・」ですが、この曲を聞くと、李煜が詠んだ詞、「雨潺潺(あめせんせん)」が思い起こされます。

   石川忠久 「NHK漢詩紀行「二」NHK 出版
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鶏犬相聞

2024-11-29 06:26:49 | 文学
鶏犬相聞は「けいけんあいきこゆ」とか「けいけんそうん」と読むようです。老子の「小国寡民」や陶潜の「桃花源記」にある言葉です。ニワトリや犬の鳴き声が所々に聞こえるという意から村里が近くにあること。老子が理想とする平和な小国寡民の世界を象徴的に表しています。陶淵明もこれが、理想郷と考えたのでしょう。

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鶏群の一鶴

2024-11-26 06:21:45 | 文学
世の中には優れた人物がいるものです。このような人物を「鶏群の一鶴」といいます。

晋書 嵆紹伝(けいしょうでん)に下記があります。

昂昂然如三野鶴之在二鶏群一
 すなわち、昂昂然、野鶴の鶏群に在るが如し
多くの凡人の中に一人すぐれた人物がまじっていることのたとえ。

嵆紹は、竹林の七賢の一人、嵆康の子供ですが、鶏群の一鶴であったのでしょう。

鶏群孤鶴 ともいいます。
いわゆる、掃きだめに鶴です。



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