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yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

一燈を提げて行く 佐藤一斎

2025-03-04 06:22:14 | 文学
幕末の大儒、佐藤一斎の『言志晩録』に次の文があります。
「一燈を提(さ)げて暗夜を行く。暗夜を憂うること勿れ。ただ一燈を頼め」

川上正光氏の訳注によれば、暗夜とは人生行路。一燈とは堅忍不抜の自己の向上心とあります。不肖は、一燈とは自分が信ずるもの、信念または信義のようなものではないかと思います。硬派の作家、小島直記氏の『一燈を提げた男たち』という良書があります。

  川上正光 校注「言志晩録」 講談社
  小島直記   「一燈を提げた男たち」 新潮社




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ふるさとは今もかわらず 新沼謙治

2025-02-21 06:17:16 | 文学
岩手県大船渡市出身の歌手、新沼謙治氏(66才)は、東日本大震災(2011年)
で実家を罹災し、多くの友人知人を失いました。またその同年の秋に愛妻、 博恵さんをガンで亡くされました。新沼氏は、この悲しみを乗り越えてふるさとの明るい未来を願いながら、名歌「ふるさとは今もかわらず」を作詞、作曲され、2012年に自ら歌唱してCDを発売されました。新沼氏の愛妻の旧姓湯木博恵さんは、かつてバドミントンの世界女王に4度も輝いた素晴らしいアスリ-トでした。バドミントンを楽しんでいた新沼謙治氏とは、バドミントンが縁で結婚に至ったということです。
朴訥で誠実そうな新沼謙治氏を好ましく想い、不肖も彼の歌を愛唱しています。


 ふるさとは今もかわらず
爽(さわ)やかな 朝靄(あさもや)の中を
静かに 流れる川
透き通る 風は身体(からだ)をすりぬけ
薫る 草の青さよ
緑豊かなふるさと 花も鳥も歌うよ
君も 僕も あなたも ここで生まれた
ああ ふるさとは 今もかわらず

この町で あなたに出逢えて
本当に よかった
ありがとう ふるさとの青空よ
友よ 君に逢いたい
緑豊かなふるさと 花も鳥も歌うよ
君も 僕も あなたも ここで育った
ああ ふるさとは 今もかわらず

みんなで声を かけあって
力合わせて 生きてきた
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寒梅 新島襄

2025-02-15 06:29:50 | 文学
新島襄が賦した五言絶句です。

寒梅

庭上一寒梅
笑侵風雪開
不争又不力
自占百花魁


庭上ノ一寒梅
笑ウテ風雪ヲ侵シテ開ク
争ハズ又力(つと)メズ
自(おのずか)ラ百花ノ魁(さきがけ)ヲ占(し)ム

「訳」

庭さきの一本の早咲きの梅が、平気で風や雪にもめげずに咲いたことだ。
まるで微笑むかのようである。
一番咲きを競おうとしたのでもなく、無理に努力したのでもない。自然にあらゆる花のさきがけとなってしまったのである。

新島襄は、上州安中藩、板倉家の江戸一橋邸で生まれました。父・民治は藩の右筆(ゆうひつ)であり、幼児から漢学を修めていました。後に同志社大学を設立した人物です。
因みに、梅は松、竹とともに「歳寒三友」と言われています。

「吟剣詩舞道漢詩集 絶句編」吟剣詩舞振興会

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漢江 杜牧

2025-02-09 06:25:33 | 文学
晩唐の詩人 杜牧の七言絶句 「漢江」です。

漢江

溶溶漾漾白鷗飛
縁浄春深好染衣
南去北來人自老 
夕陽長送釣船歸 

溶溶漾漾(ようようやうやう)白鷗飛ブ
縁浄(きよ)ク春深クシテ衣ヲ染ムル
南去北來人自ヅカラ老ユ 
夕陽(せきよう)長ク送ル釣船(ちょうせん)ノ歸ルヲ


 「訳」

水流が盛んで波は動揺し上を白鷗が飛ぶ。
水の緑は清潔で春色深く着物も染まるばかり。
南に行ったり北に来たりする中に人は年を取ってしまう。いつでも変わらない風物は夕日に送られて帰途につく魚釣り舟で感慨を禁じられない。

漢江(漢水)は湖北省の武漢で長江に合流する支流です。

「鑑賞」
 老いてゆく杜牧が春の川辺に佇んでおり、その後姿に孤独が漂っています。

    「杜牧 漢詩大系 14」 集英社
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漢詩 石川忠久

2025-02-06 06:30:05 | 文学
石川忠久先生の漢詩「金婚有感」を紹介します。先生は2022年、90歳で逝去されました。ご冥福を祈ります。
   金婚有感
北国始知童稚日
東都共唱好逑篇
爾来五十年間絆
元是三千里外縁
幾歴浮沈到偕老
久成伉儷喜双全
平生叙嘯奚疑句
余命相携聊楽天

「読み方」
北国始メテ知ル童稚ノ日
東都共ニ唱(とな)フ好逑ノ篇
爾来五十年間ノ絆
元是レ三千里外ノ縁
幾(いく)タビカ浮沈(ふちん)ヲ歴(へ)テ偕老ニ到リ
久シク伉儷(こうれい)ト成りテ双全(そうぜん)ヲ喜ブ
平生叙嘯(じょしょう)ス 奚疑(けいぎ)ノ句
余命(よめい)相イ携(たずさ)エ聊カ天ヲ楽シマン

「鑑賞」
「好逑」(詩経にある)、「伉儷」は、つれあいの意味。
「奚疑ノ句」は、陶淵明の「帰去来の辞」にあります。
石川先生が金婚をむかえられたのは、76歳(2008年)と推測されますので、金婚の後、約15年を奥様と共に過ごされたことになります。

  石川忠久 「学士会 會報」No 953 2023-Ⅰ
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知らざるを知らずと為せ 是知る也

2025-02-03 07:13:31 | 文学
「論語 為政第二」の中に、次の文があります。
    子曰、
    由、誨女知之乎、
    知之為知之、不知為不知。是知也
   
    「読み方」  
   子ノ曰ワク、
   由(ゆう)ヨ、
      女(なんじ)ニ之(これ)ヲ知ルコトヲ誨(おし)エンカ。
      コレヲ知ルヲコレヲ知ルト為シ、知ラザルヲ知ラズト為セ。
      是レ知ルナリ。

       「訳」
      先生がいわれた、「由よ、お前に知るということを教えようか。
      知ったことは知ったこととし、知らないことは知らないとする、それが
知るということだ。」

      人はこういう世界、このような問題があることを、これまでずっと知らな かったのかと、愕然とすることがある。「知らないことは知らないこととする、それが知るということだ」。限界や輪郭を知ってはじめて人はおのれの知のありようを知る。謙虚という徳が知恵の裏張りをなす。

         金谷 治 訳注 「論語 為政第二」 岩波書店
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「あらわす 考」

2025-01-16 09:04:06 | 文学
「あらわす」には色々な漢字を当てます。表、顕、現、著、露
 それぞれの使用例と英語を記します。

表す(express)敬意を表す、感謝を表す、図・表で表す、愛情を表す、
        顔に表す、全身で表す, 頭角を表す


現す(appear) 犯人が姿を現す、能力を表に現す、全貌を現す、
       

顕す(inform) 世に顕す、名を顕す、功績を顕す

著す(publish) 本を著す、書を著す

露す (reveal) 馬脚を露す 
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漢詩 国民投票

2025-01-13 06:18:57 | 文学
2002年の4月~6月に、日本人を対象に行われた漢詩に関する国民投票について、作品部門と詩人部門に分けて集計した結果を紹介します。

       作品部門 1人3票まで
       1位 杜甫 「春望」       84票
       2位 杜牧 「江南の春」     46票
       3位 王維 「元二の安西に使いするを送る」 40票  
   4位 孟浩然 「春暁」      39票
   5位 王之渙 「鶴鵲楼に登る」  29票 
     李白 「静夜思」      29票
   7位 李白 「早に白帝城を発す」 26票
8位 陶淵明 「飲酒二十首其の五」25票
9位 王翰 「涼洲詞」      23票
10位 張継 「楓橋夜泊」     21票


      詩人部門 1人3票まで
         1位 李白  216票
         2位 杜甫  185票
         3位 白居易 69票 
   杜牧  69票
   5位 王維  64票
   6位 陶淵明 60票   
   7位 頼山陽 39票
8位 蘇軾  29票
9位 孟浩然 26票
10位 王之渙 13票


  漢詩という異国の文化が日本人に親しまれ、深く浸透していることを顕わしています。
日本人の漢詩熱は本場、中国を上回る勢いではないでしょうか。

           石川忠久 中西進 「漢詩歓談」大修館書店
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照鏡見白髪 張九齢

2025-01-10 06:42:15 | 文学
初唐の詩人 張九齢(673~740) の有名な五言絶句を紹介します。
照鏡見白髪

宿昔青雲志
蹉タ白髪年
誰知明鏡裏
形影自相憐

鏡ニ照ラシテ白髪ヲ見ル

宿昔(しゅくせき)青雲ノ志(こころざし)
蹉タ(さた)タリ 白髪ノ年
誰カ知ラン 明鏡ノ裏(うち)
形影自(みずか)ラ 相憐マントハ


「訳」
 昔は、功名をあげて出世する大志を抱いていたが、失敗してむなしく時は
 過ぎ、白髪の生える年になってしまった。今この明るい鏡の中に、自分と鏡に
 映るもう一人の自分が、お互いにその白髪を憐み合おうとは思いもかけないことであった。


 「鑑賞」
張九齢は七歳で早くも文を書くことを知り、十三歳の時には、その書いた文を広州の刺史(しし、州の長官)の王方慶に見られ、将来大きな仕事をするであろうと感嘆されたそうです。29歳で進士に及第し官界に入りましたが、良い時代も悪い時代もありました。若き日の神童も、老年には、このような詩を賦して慨嘆する時が訪れるのでしょう。この詩は「唐詩選」にも採られています。

 「吟剣詩舞道漢詩集 絶句編」 日本吟剣詩舞振興会


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和顔愛語

2025-01-03 06:30:50 | 文学
ある大会社の役員室に和顔愛語(わげんあいご)という額がかけてあるとのことです。書は臨済宗妙心寺派管長の故 山田無文老師(1900-1988)の筆になるもので、丸みを帯びて和らかく和顔愛語そのままのゆったりした文字です。これは観無量寿経にある言葉です。「和顔愛語」はにこにことした顔と優しい言葉で人に接することを意味しています。この会社では、経営者はかくあるべしと教えていると思われます。「社徳」という言葉が生きているこの会社にふさわしい額だと思います。
現在の大不況の中で会社の経営は難しい舵取りを迫られています。経営者の真価が問われる状況です。しかし目前のことや自分の会社の利益だけに汲々とするのは、いかがなものでしょうか。派遣切りや契約社員のリストラに走る前に、全社員の生活を優先する配慮こそが必要ではないかと思われます。リストラを決断する経営者は、それと同時に、自身の賞与辞退、報酬を半減するくらいの覚悟をもって弱者の痛みを共に分かつことを期待したいと思います。





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