山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

2010年北海道くるま旅でこぼこ日記:第36日

2010-10-05 03:19:32 | くるま旅くらしの話

第36日 <8月14日(土)>

【行 程】 

道の駅:サーモンパーク千歳 → 道の駅:ウトナイ湖 → 白老町・虎杖温泉(ホテルオーシャン) → (途中から道央道) → 道の駅:だて歴史の杜 → 道の駅:そうべつ情報館(泊) <124km>

今日も良い天気のようである。空の半分ほどは薄い雲が広がり、残りは青い色だ。暑くなるぞと思ったが、恐らく夕方からは涼しくなって、凌ぎやすくなるに違いない。

今日から、少しずつ南下するつもりでいる。今はお盆の真っ最中で、大都市圏では帰省の大渋滞が始まったとの報道が賑やかだけど、北海道の場合は、札幌近郊といえども大した渋滞にはならない。渋滞している時は、高速道を下りて一般道を行った方が早いからである。ま、札幌都心辺りではそうも行かないとは思うけど、東京などとは比較にならない様に思う。今日の予定としては、苫小牧の方を行き、HOを利用して白老町の虎杖温泉に入り、そのあとは高速道を使って伊達の道の駅に行き、もし状況がよければそこに泊ってしまおうかと思っている。伊達の道の駅ではネットを使うことが出来ると資料には書かれているので、長いことご無沙汰しているブログにお詫びの報告を書きたいなどと考えている。

急いで出発する必要もないので、朝食もゆっくり摂り、後片付けもゆっくりと行なう。千歳市には支笏湖から流れ出す千歳川の水を存分に使える水道があり、厚生省のおいしい水道水に選ばれているとか。守谷での我が家は、普段から市販されている支笏の水を愛用している。この道の駅には、公園の脇にその水道水を汲む所があり、いつもそれを利用させて貰っている。以前、10Lのポリタンで何度も水を運んでいたら、市の関係者らしい人に声を掛けられ、車を持ってきて、水道に直結させて汲んでもいいですよ、と声を掛けられたことがある。嬉しかったけど、水汲みは自分の運動のためであり、わざわざ車を遠くに停めて運んでいるくらいなので、お礼を言っただけにしたのだった。自慢の水を多くの人に味わって欲しいという気持ちが感ぜられて、爽やかな気分となった。道の駅の殆どでは、水の補給施設などとんでもない話で、トイレの手洗いを除いては、一滴たりとも使わせないという敵意が漲っている感じがする。水不足が常態化している行政の場合は止むを得ないとしても、直ぐ傍を清流が流れている町村でもこうなのだから、その魂胆が判らない。恐らくマナーが悪くて、水道施設を汚すのは未だしも壊したり流しっぱなしにしたりする者が居るので、それに対して業を煮やしたのだと思うが、撤去したり設置しなければそれで済むと考えるのは、為政側の根本的な間違いだと思う。ほんの僅かな不心得者の行為に惑わされて、ネガティブな対応をとり続けていれば、この世は健全性を失い未来は益々暗いものとなってしまうに違いない。そして、自分の願うくるま旅くらしの世界など、到底到来するはずもなく、定年後は車中泊などと呼ばれる窮屈な旅を、水ドロボーやゴミの不法投棄などの疑いを掛けられながら、続けざるを得ない人が増えるに違いない。

ちょっと話が横道に逸れたのはいつもの通りなのだが、実はこの後、大変感動的な出来事があったのである。予てよりこの道の駅というか、千歳市には好感を抱いていたのだったが、残念ながらゴミの処理に関してはその様な設備は見当たらず、ここで発生したゴミは車の後に載せているゴミ箱に一時保管することにしていたのだった。出発前に一息入れようと邦子どのと窓外を見ながら雑談していると、市の関係者と思われる一人の人が、猫車を押しながら公園や駐車場内に落とされている小さなゴミを拾っているのが目に付いた。タバコの吸殻などを捨てるばか者がどこにもいて、本当に腹が立つのだが、これを一々拾うというのは大変だなと話していたのだった。そのついでに、まさか自分たちにゴミはないかなどと声を掛けてくれたりはしないよなあ、とも話していたのだが、何とその人は自分たちの車の傍に来られると、「ゴミはないですか?」と本当に声を掛けてくれたのだった。いヤア、驚いたのなんのって。「エッ、ゴミを出していいのですか!ちょっと待ってください」と慌てて車の後に括りつけてあるゴミ箱からゴミを取り出したのだが、食べるに至らなかった大きなメロンなどがあって、如何なものかと話すと、いいですよとのこと。いヤア、ゴミを回収されている方から声を掛けられたのは初めてです、と話すと何事もないように黙って苦笑されていた。

   

広い駐車場内を生ゴミを回収して回っている千歳市の関係者の方。このような光景を見たのは初めてだった。感動した。

   

このような回収車が何台か用意されており、生ゴミを集めておられた。この取り組みに賞讃のエールを送ると共に、回収される生ゴミが次第に少なくなることを願いたい。

今まで自分たちなりに日本各地を旅しているけど、このような経験は本当に初めてだった。実に嬉しい経験だった。市当局が関係職員全員にこのような指示を出しているとは思われず、この方の自主的な行為だったのかも知れないけど、益々千歳市というのが好きになった。後で気づくと、この方だけではなく、3人ほどで構内のゴミの回収を行なっておられたようで、街をきれいに、公共の場所をきれいにという呼びかけを、真っ先に実践しておられたのだった。これらの美化運動に大いなるエールを送るとともに、自分自身もより一層旅のマナーには気をつけなければならないなと思った。

10時近く、千歳の道の駅を出発する。苫小牧方面への道を走るのは久し振りのことだ。いつもは支笏湖への道道を行き、美笛峠から洞爺湖に向うことが多いのである。新千歳空港の脇を通過し、しばらく行くとウトナイ湖という道の駅があった。どうやら最近オープンしたようで、建物等は新しかった。ちょっと寄って中を覗いてみた。特に目立って興味を引くようなものは見当たらなかった。直ぐに車に戻ったのだが、邦子どのはなかなか戻ってこない。後で聞いたら、駅の裏側がウトナイ湖という湖だったようで、そこまで行って見て来たとのこと。ちっとも知らず、ウトナイ湖というのは道の駅の反対側にあって、ここからは少し歩かないと見えないのだとばかり思っていた。ま、この次の機会を待つことにしよう。

苫小牧というのは良くわからない街である。何処が中心街なのか、何処が新しく、何処が古いのか、街がどのように出来ているのかさっぱり見当がつかない。道路もまっすぐなようでいて、直角に曲がったりする箇所が多くて、旅の者にはわかりにくい。わからなくてもいいのだけど、印象としては、千歳市などの足元にも及ばない淋しい街のような気がする。何処かで給油をしようと考えていたが、思ったよりも給油スタンドが少なく、又価格が高い。北海道を回っていて、リースバブルな給油価格だったと思うのは、紋別市付近だけである。それ以外は、大都市圏でも価格が高すぎるように思う。この差が何処から生まれるのか、L当り20円近くも差があるというのは、どう考えても解せない。とにかく少しでも低価格の店でと探していたら、行列をなしている所があった。それでも守谷市などよりは少し高いのだが、この辺りではずば抜けて安いと感じた。しばらく並んで満タンにする。

給油の後はひたすら走り続けて、白老町の虎杖温泉へ。虎杖とは植物のイタドリのことである。北海道のイタドリは大型で丈が3m以上もあるものが多い。虎杖浜というのがあり、そこにはかつてたくさんのイタドリが茂っていたのだと思う。その近くに温泉が掘り当てられ、今はそこに温泉街が生まれているようだ。ここは登別の直ぐ近くで、白老というよりは登別といった方が相応しいようなロケーションである。道路の横にあるホテルオーシャンという所の温泉に立ち寄り湯をする。

小1時間ほど温泉を楽しみ、昼食は伊達の道の駅で摂ることにして、伊達までは高速道を使うことにした。室蘭市内の混雑を避けたいと考えたからである。登別東ICから伊達ICまでの間は、大した混雑もなくあっという間に通過してしまった。土曜日なので無料ではと思っていたら、邦子どのに休日は1000円だといわれて、そうだったかと思い出した。ここは実験区間ではないため、有料なのである。下りる時に表示を見たら割引で550円とあった。総じては安くなっているのだろうけど、無料があったり、割引があったりで、このところの高速道は料金の扱いが極めてわかりにくい。まさに政治の変転と同じ感じがする。何時になったら安定して無料(?)となってくれるのか。たまにしか高速道を使わないのだけど、勝手にその様なことを思った。

伊達の道の駅は、今までいつ来ても混んでいたが、今日も広い駐車場一杯に車が溢れている感じだった。端の方に車を停め、何か食べるものはないかと店の方に行ってみたが、人ばかりでゆっくり食べる店も場所もない。また、ここでは公共ネットが使えると期待して行ったのだが、一応その様なことが資料には体裁よく書かれてはいるものの、その機器にはマウスもキーボードもなく、あるのは伊達の町の情報を一方的に押し付ける画面ばかりで、何だこれは!と腹が立った。地方の行政の考えることは、こんなことばかりなのかとガッカリする。自分たちの思いばかりを伝えさえすればこの町がわかってもらえると考えるのは、本当の大人の考えることではないのではないか。自己利益中心の効率主義の狭隘な思考がこの世を隅々まで食いつぶしているのを実感した。こんな所には何時までも居たくないと逃げ出すことにした。

14時を過ぎており、とにかく腹が減ってきている。○○食堂のようなものがあると助かるのだけど、こんな田舎町には進出しても商売にはならないのであろう。ラーメン屋くらいしかない。ラーメンはもう今年の分は食べ終えている。などとブツクサいいながら走っている内にたちまち道の駅:そうべつ情報館に到着。ここで大急ぎでお湯を沸かしうどんを作って飢えを満たす。ヤレヤレである。疲れたので、今日はもう移動することを止め、ここに錨を下ろすことに決める。遅い昼食を摂りながらそのようなことを決めるのは珍しい。だんだんと老化が進んでいる証なのかもしれない。

この道の駅は、洞爺湖サミット開催年度頃に建物を新しくして、その中に有珠山の噴火活動などこの辺一体の火山防災体制などを紹介したパノラマ模型などが作られている。洞爺湖サミット時のデモ施設の一つとして作られたのだと思うけど、何につけても建物が新しくなり駐車場も広くなって、地元の新鮮な野菜などを求めて大勢の人が来るようになったのは喜ばしいことだと思う。ここへ来る人の90%以上はあまり火山活動のことなどには関心がないようで、2階の展示室に上がる人の大半はトイレの利用者となっているのが現実のようだ。

また、この地は世界ジオパークというものに指定されており、昨年の8月に認定されたとか。ジオパークというのは地球科学的に見て重要な自然遺産を含む自然に親しむための公園という意味だそうな。日本では世界ジオパークに認定されているのは、ここ洞爺湖有珠山ジオパークの他、糸魚川ジオパーク、島原半島ジオパークの計3箇所だけとか。これはネットで調べた結果であるけど、詳しいことは良く分らない。

ところで、昨年この道の駅でモチトウキビを見つけて、興奮したのを忘れることはできない。何の気なしに野菜売り場を見ていたら、昔懐かしい8列のモチトウキビが置かれていたのだ。半信半疑で買って茹でて食べてみたら、真正正銘のモチトウキビだった。子供の頃食べたトウキビといえば、今なら家畜の飼料レベルのものが殆どで、その後食用としてこのモチトウキビが市場を席巻したのである。その後様々な品種改良がなされ、次第に甘味の増したトウキビが増えて、今頃はトウキビといえば甘いのが当たり前で、しかも甘いほど美味いなどと錯覚している風潮にあるようだ。生で食べるトウキビなども出来(しゅったい)して、自分のような偏屈者には真に嘆かわしいトウキビの世界に成り果ててしまっている。それが、去年ここに来て奇跡的に昔の味を味わうことができ、甚(いた)く感動したのだった。今年はどうなのか、まさか去年で打ち切りになどしては居ないだろうと、チョッピリ心配しながらの来訪だったのである。先日の三笠の道の駅では、今年は日照時間の所為で生育が遅れていると聞いているので、この地はどうなのかと思ってもいるところである。

早速売り場に行ってみたけど、野菜類の殆どは売切れてしまっていて、トウキビも残っているのは甘い奴ばかりだった。期待を明日に残して、今日は野菜はA菜園のものを心行くまで頂いて味わうことにした。暑かった日中も夕方になるとそよ風が心地良く車の窓を駆け抜けて、良い感じとなった。いつもは有珠山や昭和新山を間近に眺めて、寝ている間に突然噴火したらどうすると、妙にここに泊ることを避けていたのだったが、今日は何故なのかその様な心配は入り込んで来なかったのである。久しぶりにご飯を炊き、A菜園のナスとピーマンそれにシシトウを味噌炒めにして食す。美味なり。新鮮な野菜にはその育成者の思いと野菜そのものの生命が息づいているようで、それをそのまま頂けるというのは、この上ない果報である。ビールと頂いた焼酎で一人一杯やって、TVの方は邦子どのにお任せして早めの就寝となった。

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