山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

南東北・佐渡・飛越信州の春ぶらり旅(第6日)

2008-09-19 04:11:32 | くるま旅くらしの話

4月29日(土)

うるさかった蛙の鳴き声も、朝方は気温が下がるのか、静かである。佐渡での初めての夜は、札幌から来られたというもう一台のバスコンが一緒だったらしい。挨拶を交わしたが、その車のご主人の開口一番は、この道の駅は不親切だという不満のことばだった。夜遅く来られたらしいが、トイレが分らなくて戸惑ったらしい。なるほどそうかも知れない。しかし、真っ先に不満や文句を言う人は拓の好きな人の条件からは遠くなる。遅く来すぎて、ご厄介になることに感謝をこそすべきであって、文句が先に出るのは、思い上がりではないかと思った。

今日の朝一番は、そんなことよりも快晴の天気だ。金北山が眩しく輝いていた。

   

道の駅:トキの里近くの公園から見た今朝の金北山の連なり。朝日に眩しく輝いていた。

何枚か写真に収める。今日は取材の最後の日だ。予定では大佐渡を半周して、岬にある二ツ亀や大野亀という所に行って、そこで撮影を終わるということである。何しろ初めてのコースなので、どのような景色が広がっているのか楽しみである。

8時少し前、スタッフの3人がやってこられた。簡単な打ち合わせの後出発。相変わらず運転席の横にはカメラが据え付けられ、スタッフの車はカメラを構えてSUN号の前後を追いかけてくる。もう慣れてしまったのか、それほど気にならなくなった。まして今日が最後だと思えば、とにかく安全運転でいい締めくくりにしたいという気持ちである。それにしてもこの6日間、撮影に関わる時間帯はずーっと良い天気で、これはラッキーというべきであろう。

加茂湖の脇を通り、両津の商店街を抜けて佐渡周遊道路(県道45号線)を直進する。最初の目的地二つ亀に着いたのは10時少し前だった。岬に二つの島があって、それが丁度亀の甲羅にそっくりなのである。自然の造形に違いないのだが、甲羅のギザギザはTVで見たガラパゴスの象亀の背中にそっくりに見える。車を降りてしばらくその景観に見とれた。

   

 奇岩:二つ亀の景観。ガラパゴス象亀とそっくりの二つの島が並んで見える。

撮影の最後は、二つ亀の少し先に大野亀というやはり亀に似た島があり、そこへいって二つ亀の景観を入れながらの終了シーンを撮りたいとのことである。10分ほどで到着。こちらは島というよりも小さな半島という感じで、トビシマカンゾウという佐渡固有の花の名所らしい。カンゾウというのはキスゲの仲間で、ニッコウキスゲなどが有名だ。ここの花の開花は、7月を過ぎてからなのだろうが、株の分布状態からは、その最盛期は見事に違いないなと思った。マリンブルーの海に、清楚な黄色の花が風になびく姿を思い浮かべるだけでもワクワクする感じだ。

   

 大野亀は、日本海に突き出した巨大な崖のような場所である。遠くから見ると、ここも亀のように見える。初夏になると、この緑の場所に黄色のトビシマカンゾウが乱れ咲くという。

しかし、撮影の方はそのような妄想(?)などはお構い無しに、どんどん進んで、あらためて旅の感慨などを話させられた。そして最後はSUN号が坂道を走り去って行くシーンで終了。ご苦労さんでした。

スタッフ3人は、皆30歳代で、息子といった感じである。6日間も一緒にいると、邦子どのなどは、カメラマンのKさんからお母さんなどと呼ばれて、すっかりその気になってしまっていた。FさんもNさんも良く働く。身体的にはやはりカメラ担当が一番ハードだろう。しかしそれぞれの役割は、目に見えない所で結び合っていて、誰が楽だとか、そうでないかということなどは、無関係のようだ。取材の後は、毎日宿に戻ってその日の結果を、あれこれと論議して、最終の制作に備えておられたようである。このような意欲に燃える若者が、もはやこの国を実質的に動かし始めているのだなあとしみじみ思った。彼らは、今日中には名古屋近郊の家に戻り、明日は出社の様である。いろいろ学ばせて頂くことが多かった。どのようなTVの放送画面となるのか分らないけど、画面に写る自分などはどうでもよろしい。それよりも3人のスタッフと一緒した6日間の経験の方が、自分達にとっては遥かに貴重であった。あらためてお礼を申し上げたい。ありがとうございました。

お互いが別れの挨拶を交わしたあと、我々はついでなので、来た道を戻るのではなく、そのまま大佐渡の海岸線に沿った周遊道路を回ることにした。

ところがそれから先が大変だった。SUN号は高さが3.1mもあるので、運転時は上部の障害物に気をつけなければならない。キャンピングカーでうっかりしていて上部を橋げたに引っ掛けたり、軒下にぶっつけたりするケースは結構あるのである。直進してゆくと、道路は次第に海から離れ、崖の上のようなところを走るようになった。そして眼前に何と小さなトンネルが迫ってきたのである。トンネルの長さはわずかに10mほどなのだが、高さがあまり無いのだ。近づいて標示板を見ると3.4mと書かれていた。道も狭いので慎重にそれをくぐった。それで終わりかと思ったら、何とそのあと3箇所ぐらい同じような岩盤むき出しのトンネルが続いていたのである。これでは大型の車は来ないはずだ。通れないのだから。SUN号が小さくてよかったなどと負け惜しみの優越感を感じたりした。

ようやく海岸に戻って、入崎というところに休憩用のパーキングがあったので、一休みの仮眠をする。春の海はのたりのたりの感じで、昼寝も気分がいい。1時間ほどで目覚めて、再び車を走らせていると、「夕鶴の碑」というのがあったので立ち寄る。作者の木下順二先生ゆかりの地のようだった。

更にしばらく走ると尖閣湾という所があり、風光明媚な名所らしい。崖の下に降りて、グラスボートなどで遊覧が出来るらしいのだが、その入口の店が景色の見える場所を独り占めしていて、無料では景色が見られないようになっている。そのような所は、絶対に入らないというのが拓の信念である。自然の景観を見せるのに料金をとるなどとは言語道断である。グラスボートの料金を取るのはわかるが、景色も見せないとは、一体どういう了見なのであろうか。呆れ返る他ない。よって直ぐパス。昨日来た夫婦岩の店に立ち寄り、邦子どのがワカメなどを買いたいというので、それを求めたりしながら、今日は小木に泊ろうと考え、向かう。

小木港に行って見ると、水やトイレもあって、P泊には差支えないようで安心する。近くに温泉もある。まだ少し時間もあるので、付近を散策する。近くの港で小木名物のタライ舟というのがあり、観光客用に料金を払って乗せてくれるのがあった。観光客には結構人気があって、バスから降りてきたお客さんが、三々五々タライに入ってゆく。それを絣の衣装のおばさんたちが、一本の小さな櫓で巧みに漕ぎ回って港内を小さく一周してくるのである。拓は乗る気はないが、邦子どのはかなり興味を抱いたようで、観光客が途切れるのを待って、早速チャレンジしていた。他にお客がいないので、サービスしてくれたのか、自分で漕ぐなどして、同じ箇所をぐるぐる旋回したりして遊んでいた。

   

オッかなびっくり、タライ舟を漕ぐ邦子どの。バランスを崩すと舟がひっくり返りそうで、なかなか難しいらしい。

舟から上がった後もお客さんがいないので、待機中の絣のおばさんたち数人の前で、何やら講釈を始めたようで、「又か!」と舌打ちした。

   

 おけさ姿の娘さん(?)の列に、一人だけ変なもんぺの人が加わっている。

タライ舟の後は、小木の湯へ。すべすべしたアルカリ単純泉の湯に入るのは久しぶりだった。小さな露天風呂からは、小木の港の全景を見下ろすことが出来て、満足、まんぞくのひと時だった。風呂から上がって再び下の港の駐車場に行き、夕食に取り掛かる。邦子どのは、20時から観光会館の中で「佐渡おけさ踊り」があるというので、それを見に行くという。拓はそのようなものにはあまり感心がないので、一杯やったら寝るだけだ。

あとで聞いた話では、その夜の踊りの見物者はたった3人ほどで、その分、出演者の人たちと濃い目のコミュニケーションが出来たらしい。満足していたようだった 

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