山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

南東北・佐渡・飛越信州の春ぶらり旅(第5日)

2008-09-18 03:00:05 | くるま旅くらしの話

4月28日(金)

さて、今日から取材が再開される。あと二日である。フェリーは9時20分発で、その1時間くらい前に、SUN号が乗り場に入ってくるところなどを撮りたいということなので、それに合わせて出発。いろいろ注文があるが、とにかく乗ってしまった話なので、指示に従う他なし。幸いなことに、昨夜はかなりの雨降りだったにも拘らず今朝は上天気となって青空が広がっている。

  

佐渡行きのフェリー:大佐渡丸と右は乗船チケット

 ようやく出航の時間が来て、予定時間通りに出発。佐渡の両津港まで2時間半の船旅である。佐渡は平成の大合併で1市9ヶ町村が一つになって新しく佐渡市が生まれた。日本一大きい島だから、これからは、単に佐渡といっても旧名を知らないと、佐渡は分らないように思う。そのような箇所は日本全国に点在している。人間が増えて塊を大きくした方が行政のコストがかからないという発想は、歴史の流れの中では、何がしかの危うさのようなものを孕んでいるような気がしてならない。両津は佐渡唯一の市だったが、今はせいぜい両津港くらいが耳に届く地名となってしまったような気がする。

2時間を過ぎると佐渡ヶ島が見えてきた。最初に見えるのは、小佐渡。佐渡は2列の山脈が真ん中で併合して出来たような島だ。手前が小佐渡、その向こうが大佐渡で、両所の中間に国仲平野が広がっている。小佐渡は5~600mの高さの山しかないが、大佐渡には最高峰1,172mの金北山を初めとする高山が連なっている。このような知ったかぶりをするのは、珍しくも旅のために事前に調べた知識をひけらかしているからである。司馬遼太郎先生の「街道を行く」も読み、歴史散歩などの資料も調べたので、初めてのわりには、佐渡の知識は他所の訪問地と比べれば潤沢となっている。間もなく、冠雪の金北山が見えてきた。風格のある山である。とても島などとは思えない。一国に値する土地なのではないかと思った。

  

フェリーから見えてきた、大佐渡の金北山の景観。連峰は未だ雪を冠していた。

 両津港に入って、フェリーからは一番最初に降りることが出来た。何でも一番というのは、妙な優越感を覚えるものである。先ずは近くにある、この島唯一の道の駅:トキの里に向かう。

トキの里で、スタッフの人たちと一緒に昼食休憩の後、何処か適当な場所を選んで取材したいということなので、近くにある根本寺というお寺に参詣することを提案した。根本寺は日蓮にゆかりのあるお寺だそうだ。日蓮も一時この島に流されている。島の随所に日蓮にゆかりのあるお寺が多くあるようだ。

行って見ると、予想を超えた古刹の風格を持ったお寺がそこにあった。境内の建物や庭園などの手入れもよく行き届いており、落ち着きがある。墓石脇の山桜が満開かと思えば、小さな池の横には水芭蕉が純白の花を咲かせていた。古いお堂は茅葺で、昔のままの姿を止めていた。日本独特の悲しみの文化の一端を垣間見たような気がした。お寺というのは、人々の悲しみを癒すための拠点のように思えてならない。魂が鎮まる場所がお寺であり、神社のそれと比べてより深いものがあるような気がするのである。

  

  根本寺三昧堂。茅葺屋根のいかにも佐渡の歴史を感じさせる味わいのある建物である。

 根本寺を出た後は、スタッフに先導されて佐渡スカイラインを金井町の側から登ることになった。最初はまあまあの舗装道路だったが、しばらく行くととんでもない氷雪の滑り止め舗装の道となり、やがて自衛隊の施設にたどり着いた。その横を通って更に上に登る。SUN号の能力の限界を超えているのではないかと思われるほどの急坂である。ヒイヒイいいながらようやく展望台に到着し一休み。それにしても我が相棒のSUN号は良く頑張ってくれている。30度を超える傾斜の急坂をよくもまあ登ってくれたものである。車に感謝、感謝。

展望台からの眺望は素晴らしかった。晴れてはいるのだが、霞がかかってクリアーではない。それでも国仲平野の広がり、そして小佐渡の山や丘の連なりが一望できた。佐渡は、その昔、金の採掘だけではなく、米も島外に輸出するほど豊かであったとか。牧畜なども内地よりも一歩先を行っていたようだ。流人の島という単純な知識はあまりにもお粗末だなとあらためて実感した。

展望台から先は本来のスカイラインとなる。道は曲折が多いが、舗装は優しくなっていて車の運転にはありがたい。降りて行く途中には、カタクリの他に、ミスミ草のような野草が随所に楚々たる花を咲かせており、ここはまだ春になりきっていないのが分った。

   

 山の中に見つけたミスミ草。ミスミ草は、三角草とも書く。その葉が三角形に似た形をしている。ここには薄赤紫と白の花が見られた。

更に降りてゆくと佐渡金山跡の脇を通り抜ける。佐渡といえば金山ということで、誰もが立ち寄るのだと思うけど、我々はそのような所へは殆ど立ち寄らない。昔日の有罪無罪の人々の怨念が唸っているような場所に立ち入るつもりはない。黄金に絡む歴史は、その輝かしさの裏側に人間の欲得と悲哀がこびり付いているようで、それが昔のことであっても、あまり浮かれた気分にはなれないのだ。

 金山跡脇の道から海岸に出てしばらく行くと、七浦海岸というのがあり、そこに夫婦岩という奇岩がある。想像を逞しくすると、その二つの岩は、男女のナニの姿をリアルに表現しているような感じに見えるのである。夫婦岩という名のその種のいわれの奇岩は、全国随所に点在しているのではないかと思うが、佐渡の此処のは、一等地を抜いているようで、観光客には人気があるようだ。

  

奇岩:夫婦岩の景観。説明は不要。見る人の想像のレベルにお任せするしかない。

ここは夕日が美しいという名所のようだが、我々は夕日を待つよりも、早く風呂に入りたいので、スタッフの方たちと別れて、一路道の駅:トキの里の近くにある、新穂潟上温泉を目指す。

18時少し過ぎ温泉に到着。ここは旧新穂町の保養施設だったらしいが、温泉は本物で、お湯も熱く、満足、まんぞくのレベルだった。参考までに、ここの駐車場に泊っても良いかと訊いたら、OKとのこと。道の駅に飽きた時は、ここに来て泊ればいいなと思った。

 19時近く直ぐ傍の道の駅:トキの里に行ってここに泊まることにして、夕食とする。この時間帯になると、通る車も殆どなく、田んぼでの蛙の大合唱が聞こえてくる。泊まりの車も我々だけのようだった。今日が終わって、先ずはホッとしてベッドにもぐりこむ。TVスタッフの人たちはどこかの宿に泊まっているらしい。いよいよ取材も明日で終わりである。

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