山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

南東北・佐渡・飛越信州の春ぶらり旅(第7日)

2008-09-20 03:57:29 | くるま旅くらしの話

第7日 <430()  

佐渡に来てから3日目を迎えた。4月も今日で終り。3日にはフェリーの予約がしてあるので、もう滞在予定の半分近くになっている。何をどう見るのかも決めておらず、今回は只ぶらぶら気が向くままに島内をさ迷ってみたいと思っている。

小木港の朝は、一番発直江津行きのフェリーのエンジンの音で目が覚める。外に出て付近を散策。小さな港では、早朝の街中で音を立てるのは、船ぐらいしかない。直江津ラインは船が古くなって、新船の就航が難しいため、航路が無くなるとの話が出ているようで、もしそうなると一層寂れてしまうのではないか、と心配する地元の人たちの廃航反対の立看板などが見られた。何でも効率主義で行かなければ気がすまない世の中なので、やがて小木港は、鎌倉時代以前のひっそりとした小さな漁港に戻ってしまうのかもしれない。その方が観光客には却って魅力ある土地となるかも知れぬが、土地に住む人たちにとってはどういうことになるのだろう。地域の悩みに、あれこれと思いをめぐらした。

   

直江津行きフェリー:小佐渡丸 この航路はこの船の老朽化と合わせて消える運命にあるらしい。この写真は前日撮ったもの。

今日は先ず、小木の港から4kmほどの所にある、蓮華峰寺(れんげぶじ)を訪ねることにしている。車ではなく、歩いて往復する考えでいる。旅に出ると、車に乗ってばかりでは足腰が弱くなるし、酒の楽しみを保持するためには、糖尿の拓は毎日最低でも1万歩以上は歩く必要がある。拓はこの15年近く毎日万歩計の歩数を記録している。年間目標を決め、それを月割りにして歩数指標を決めて歩いているのだが、今年の現在の1日の平均歩数は、約13,500歩である。これは凡その距離に直すと8kmくらいとなるだろうか。年間450万歩が最近の指標だが、過去の最高は年間700万歩ほどだったから、それと比べればかなりレベルダウンしている。それでも年齢の割には、多い方だろうと思うし、体調もまあまあなので、これを継続してゆけばいいと思っている。それゆえ、時々は車無しで歩くことにしている。

昨夜はかなり雨が降っていたのだが、明け方には止んで、今は青空が覗いている。9時過ぎ出発。上り坂の多い道をゆっくりと歩く。車が少ないので、安心して歩ける。1時間弱でお寺に到着。蓮華峰寺は、すり鉢状の谷間に堂宇伽藍が点在している。弘法大師ゆかりの真言宗のお寺である。国の重文に指定されており、南北朝時代のものもあるとか。その中でも骨堂と呼ばれる茅葺の建物は、新潟県最古の建築物ということであった。小さな建物なのだが、如何にも歴史の重さを感じさせる風格のある姿をしていた。

   

小比叡山蓮華峰寺境内にある骨堂と呼ばれる建物。室町時代の建立とか。新潟県では最古の建築物である。

その他の建物も立派で、夫々が古刹の風格を備えていた。境内の脇の土手には、オドリコ草の群落があり、久しぶりの鑑賞を楽しんだ。守谷辺りでは姫オドリコ草ばかりで、なかなか本物のオドリコ草には会えない。

   

お寺の境内にはたくさんのオドリコ草(白花)が咲いていた。

帰路は往路とは別の道を行くことにした。途中ワラビを採っているおばさんに出会った。丁度今が山菜採りのシーズンなのであろう、大量のワラビを抱えておられた。邦子どのが挨拶がてら例によってつまらない質問をしていた。近くにトキワイカリ草があったので、採ろうかどうか迷っていると、おばさんが寄ってきて無造作に一株を引っこ抜いて、庭の端にでも植えたらいいと持参のビニール袋に入れてくれたのには驚いた。イカリ草は、この辺の山には幾らでも自生しているらしい。持ち帰って家の野草園の仲間入りをさせることにした。

   

山道の脇には、トキワイカリ草の花が至る所に無造作に咲き乱れていた。この一株は、現在も我が家の野草園で健在である。

佐渡には田んぼが多い。今は田植えの真っ最中で、農家の人たちが運転する軽トラや耕運機、田植え機などがあちこちでエンジンの音を高鳴らせていた。そののんびりした田園風景を眺めながら小木の港に戻ったのは11時半ごろだった。

今日のお昼は、七右衛門という小木蕎麦の店で食べることにしている。これは邦子どのが司馬遼太郎先生の「街道を行く」を読んで仕入れた情報で、何でも、これぞ小木蕎麦というのを食べさせてくれる店らしい。再び歩いてその店に向かう。

小木の商店街は、港に沿って通る狭い小さな道の両側に櫛比(しっぴ)した家々でつくられている。その昔は船の交易などで相当栄えたのだろうが、今は若者の姿が殆ど見られない、人通りの少ない静かというよりも寂しい佇まいとなっている。その真ん中ほどに七右衛門の店はあった。先客がいて、注文するのを見ていたら、二つとか三つとか言っている。どうやらここの蕎麦のメニューは一種類だけらしい。我々もそれに習って五つほど注文した。一つでは少なそうだったので、二つ半ずつとしたわけ。蕎麦は美味かったが、一つ480円は少し高いなと思った。それでも先ずは満足。

満腹をこなしながら歩いて戻って少し休憩の後、近くにある宿根木という所へ行くことにする。邦子どのの希望で、この集落の建築を見たいとのこと。行って見ると、その昔船大工の人たちが住んでいた集落だという。独特の工法で居住する建物を造ったらしい。専門的なことは分らないが、普通ではない船大工の人たちの知恵が活かされているようだった。

   

宿根木の集落は、海岸に近い窪地に密集して建てられていた。軒の上の方には、往時の名残りを止める飾り彫りの板が付けられていた。往時の技術集団である。

宿根木を出て、今日は再び道の駅に泊まろうと考え、途中、昨夜うっかり切らしてしまった、簡易インバーターを使うためのヒューズを買おうと思いながら真野の方へ向かう。海岸沿いの道を走っていると急に眠気が襲ってきた。夕立のような雨も降ってきた。少し休もうと道路脇のパーキングエリアに車を停め、2時間ほど仮眠。目覚めた頃は雨も上がっていた。ヒューズを買った後、少し給油。SUN号は軽油だが、佐渡の油はものすごく高くて、124円/Lもするのである。それに加えて明日から2円値上げになるとか。どういうわけなのかよくわからない。

17時少し前、2度目の新穂潟上温泉へ。再び雨が降り出して温泉から出てきた時は完全に本降りとなっていた。直ぐに近くの道の駅に行き、夕食。連休の始まりなのだが、まだ佐渡を訪れる人は少ないようだ。今夜は蛙の声を聞かないのは、雨で少し寒くなったからなのだろうか。

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