山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

‘15年 佐渡一国を味わう旅 レポート <第12回>

2015-06-12 06:18:55 | くるま旅くらしの話

【今日(6/12)の予定】 

  道の駅:芸能とトキの里自 → 牛尾神社宵宮・薪能&鬼太鼓奉納見学(夕刻) → 道の駅:芸能とトキの里(泊)

 

【昨日(6/11)のレポート】     

<行程>

 小木港 → 羽茂本郷(草刈神社) → 宿根木散策 → 西三川 → 佐和田にて買い物 → 新穂潟上温泉 → 道の駅:芸能とトキの里(泊)

<レポート>

9年ぶりの小木港内の駐車場泊だった。海は穏やかで、夜は星が煌めいて静かだった。日中は近くの湾内でたらい舟に乗せる観光イベントが続いていて、佐渡おけさの音楽などが流れて結構喧騒な雰囲気なのだが、18時過ぎになると、一挙に静かになり、全ての店も戸を閉ざす状況となった。客がいないのだから、これが当たり前なのであろう。朝もその夜の静まりがそのまま続いており、日が昇る前の港は厳かな空気が漂っている感じがした。

このところ歩くのが少なくなっているので、今日は少し挽回しようと港に突き出た大きな岩の塊の城山の上方が公園となっているので、そこを散策することにした。公園の入口に木崎神社というのがあり、先ずはそこに参拝したあと急な坂道を10分ほど登って公園を囲む周遊道の入口に着く。急坂過ぎるほどの坂だったので、相棒には歩くのは無理かなと思った。相棒はまだ夜の寝床の中である。大木や篠竹のトンネルの中を歩く遊歩道は約1kmほどあって、公園の広場を囲んで造られている。展望台などもあるのだが、全て樹木が景色を包み隠しており、上に登っても何も見えない状況だった。公園の広場は緑の芝で満たされていて、ここでかの有名な鼓童の太鼓のフェスティバルも開かれるらしい。真に佐渡らしい野性的な舞台だろうなと思った。マイナスイオンをたっぷり吸って一周した後は、下に降りて、今度は城山の麓の海岸線を一周することにした。これは又山頂の公園とは違って、波に削られた荒々しい岩肌が露出している脇を一回りする厳しい道だった。1300万年前の火山などの造山活動の名残が随所にみられる岩石層らしい。地学の知識に乏しい者にはただ薄気味悪いほどの厳しい岩肌にしか見えないけど、専門家には探求欲を注がれる地質・地形なのかもしれない。山の上とその下の海岸の散策は何だか得難い宝物に出会えたような時間だった。1時間ほど歩いて車に戻ると、相棒も既に起きていて毎朝のTVドラマに集中していた。

今日は特に予定はなく、15日にこの近くの羽茂(はもち)本郷という所にある草刈神社で行われる薪能の舞台の下見に出掛け、その後は小木の重伝建の宿根木を訪ね、午後は重文景のある西三川地区の笹川集落を訪ねることにしている。

食事後一休みの後、先ずは羽茂本郷の草刈神社を訪ねて出発する。9年前に一度訪ねているのだが、その能舞台の面影は残っていても、それが何処にあったのかはすっかり忘れており、探すのに手間取った。ナビのガイドにも載っていないので、勘を働かすしかない。どうにか思い出して訪ね当て、神社に参拝する。この神社には榊の大樹の連理の木があり、そのことはしっかり覚えていたので、早速確認する。連理の木というのは、二本の木が共有の枝でつながっている不思議な木の姿をしているもので、それを男女の結びつきに重ねて尊崇するというもので、古事記にも書かれているとか。9年前は杉の木だったように記憶していたが、それは間違いだったと気づいた。素朴な村社だが社殿などもきれいに保存されており、この村の人たちのこの社を大切にしている気持が伝わってくる気がした。石段の下の広場には立派な茅葺屋根の能舞台が設えられており、先日の椎崎諏訪神社や大膳神社とは又違った厳かなしかし親しみやすい雰囲気を漂わせていた。これで安心して15日観能が出来るなと思いながら、次の宿根木に向かう。

  

刈り神社境内(後方)にある榊の連理の木。二本の木が太い枝でつながっている。

  

草刈神社能舞台の偉容。これは神社の下方に造られており、観能には見やすい造りとなっている。

宿根木も9年前に訪ねた場所である。ここは重伝建に指定されてもう20年以上も経過した名実共に日本の重要伝統的建造物保存群に相応しいエリアだ。わずか500m四方ほどしかない狭い海岸沿いの窪地に100軒を超える木造住宅が密集している。それらの建築材は建造船の余材などを利用したもので、江戸時代小木に寄った北前船(千石船)の修理等をした船大工の人たちの集落があった所だという。今でもその名残を十分伝えている感じがした。瓦を載せている家も見られるけど、板葺きの屋根に幾つもの石を載せて強風に備えている家もまだ残っている。狭い場所なので、30分もあれば一回りしてしまう。今回も相棒とは別れてマイペースで歩くことにした。

        

世捨小路と呼ばれる古い石畳の残る通路。宿根木の集落の標準的な通路である。

  

強風に備えて種には幾つもの石が並んで載せられていた。

隣家との間を隔てる通路はわずかに4尺足らずほどで、まさに住宅が密集しているという感じだ、この狭さを写真に撮るのは結構難しい。JRの旅のPRに、吉永小百合氏がこの宿根木の三角家の脇で微笑んで写っている写真があるけど、あれはかなりいいカメラでないと撮れない景観である。あの写真をよく知っているのか、観光バスのおばさんたちは同じ場所で、何人もがそれを真似したポーズをとっていた。コメントはしないことにする。おばさんの怨念は恐ろしいから。

  

宿根木の代表的な観光スポットなった三角家の角。今では毎日何人ものおばさんたちが怪しげな微笑の顔でここで写真を撮っている。

一番奥に称光寺という古刹があり、ここの墓石というか石塔というのか、それらを見ていると宿根木に代々住んできた人たちの心のつながりなどが思い起こされて厳粛な気分になった。苔むした境内の岩屋の側に群れて立っている墓標の数々は、ここに住む人たちの魂の歴史なのだなと思った。1時間ほどの散策を終え車に戻る。相棒が戻ったのはそれから1時間半も経った後だった。相棒の重伝建に対する関心と思い入れは自分の比ではなく、あちこちと訊きまくり調べまくって存分に思いを果たしてきたようだった。待ちくたびれて、海を覗いて巨大な海牛などと遊びながら、こちらはこちらで結構面白かった。

   

弥光寺山門の佇まい。宿根木の一番奥に建てられており、ここにはこの地に住み、住んだ人たちの魂が安らかに鎮座しているようだ。

   

弥光寺境内の石塔群。岩に穿たれた窪みの中にもたくさんの石塔が並んでいた。

既に12時を回っていたので、小木の古い商店街で何か魚でも食べさせてくれる店はないかと行ったのだが、当てにしていた店は今日は休みだというし、名のある蕎麦屋も本日休業で愛想がなかった。やむなくフェリー乗り場構内にある土産物店の食堂に行き昼食にありつく。自分でそうめんでも茹でればいいのだけど、今日はあまりに暑くて火を使う気にはなれなかった。

昼食の後は重文景のある西三川地区の笹川集落というのを目指して出発する。ここはまだ行ったことが無い。西三川にはゴールドパークというのがあり、そこで砂金採りの体験をすることができるというのだが、それにはあまり関心が無い。この辺りには砂金山という名の山もあり、その昔は砂金の採取が行われていたとのこと。行ってみると、何台かの観光バスが停まっており、遠足で来たのか小学生らしき子どもたちが夢中で砂金を探す作業に取り組んでいた。大人も子供もこのようなイベントに剥きだす欲には変わりはないのだなと思った。

そのゴールドパークまでは片側1車線の立派な道だったのだが、その先からは一挙に離合も難しげな細道となった。笹川集落まではここからまだ3km以上もあるのである。勇気を出してしばらく先に行ったのだが、道は益々細くなって来て、急に不安が膨らんだ。もうこの辺りもその重要文化的景観に入っているのではないかとも思った。不安がある時は無理をしないというのが老人の旅の鉄則である。引き返すことにした。幸い対向車に出遭うこともなく、ゴールドパークの子どもたちの声の場所に戻る。「砂金は採れた?」と相棒が訊くと、「うん、とれたよ」と小学5年生くらいの子どもが目をキラキラさせて答えてくれた。子どもたちは何を学んでいるのかなと思った。孫も連れて来たいなとも思った。まだ1歳と少しで歩き始めたばかりである。

その後はもう予定はなく、佐和田地区にあるスーパーに行き買い物を済ませ、先日入った新穂潟上温泉に向かう。途中遠くの田んぼにトキらしき鳥を見つけて、相棒はカメラを構えていたが、さて、トキだったのか?この鳥は近くで見ても大してトキ色ではなく、羽を広げて初めてその色を確認できるレベルなので、よく判らなかった。臆病な鳥なので、田んぼで普通に見かけることなど滅多に出来ないのではないかと思った。潟上温泉の湯に浸かった後は、2日ぶりに定宿と化している道の駅の駐車場に。今夕は佐渡の名物の一夜干しのイカを焼き、それを肴に地酒で一杯やって、明日の牛尾神社の祭りの薪能見学に備えた。

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1 コメント

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お願い (yuka hokama)
2015-08-19 15:28:42
はじめまして、e-まちタウン(株)街スキ編集部 外間と申します。フリーペーパー「街スキ」の編集をしており、2015年10月号でこの記事内にある、宿根木の三角家の写真をお借りしたく連絡致しました。写真提供元の提示もさせていただきます。(提供元についてご希望の掲載名があればご指定下さい)できあがりました見本誌もお送りさせていただきます。写真利用をお許し頂ける場合yuka_hokama@emachi.co.jpへ8/24までにご連絡頂けると幸いです。宜しくご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
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