山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

08春旅:第 4日(4/30)

2008-05-01 04:37:33 | くるま旅くらしの話
氷見は能登半島を左回りする時の入口である。今日の富山湾は無風で、さざ波が朝日にキラキラと輝いていた。道の駅から少し離れた氷見海岸にある公園に移動し、朝食。富山湾の魚を想い浮かべながら、おかずの殆どないご飯を食す。景色が何よりのご馳走だ。
今日は酒と塩を買う予定の他は、犬も歩けば棒に当たる、の能登一周の考えである。三年ぶりの能登は、どうなっているのか楽しみだ。それに、春の能登訪問は初めてである。
先ずはR160に出て、七尾を目指す。海岸線と山の入り組む道を走りつづける。新緑が春の霞空にけぶっているのは、気温がかなり高くなっているからか。
七尾からは、R249で穴水、珠洲の方に向かう考えでいたのだが、以前と道路案内板が違っており、途中から変な道に入ってしまった。よくあることなので、そのまま走っていると、やがてR249に出ることができた。ここまでは良かったのだか、穴水で再び分かりにくい表示板案内にたぶらかされて、とんでもない道草を食ってしまった。能登空港が出来たおかげで、道路は立派になったのだが、表示は輪島ばかりが目立ち、他のエリアについては不親切だ。珠洲方面への案内は不十分で不親切である。海岸線に出ようと途中から県道に入ったのだが、初めはこんな山の中にどうしてこんな立派な道があるのかと驚きながら走っていたら、15分も走ると、突然の細道となり、離合も困難な悪路となった。いやはや、それからの長かったこと。道に沿った小さな集落が続いていて、ヒヤヒヤしながら海岸線に出るのに、小1時間もかかったのだった。人の住まない山の中のリッチな道路と人の住む集落を走る細く貧しい生活道路の落差は、まさにこの国の道路行政の貧しさを証明して
いると思った。能登に空港が必要などと、本気で考える奴の胸の中を解剖してやりたいほどだ。明日から石油が値上がりするらしいが、何か道路特定財源か!と腹が立つ。ナビ無しの僻みも混ざって、能登の印象はかなり悪化した。
ようやく珠洲の見付島近くにある宗玄酒造に着いた時は、12時半になっていた。ここで久しぶりに銘酒を手に入れ、少し機嫌を直して、お昼は塩を買いがてら、曽々木海岸の道の駅で、と直ぐ出発。30分ほどで到着。
お昼のうどん作りは自分の仕事である。だるい右手を騙しながら作っていると、先に勇んで出かけて行った相棒が、かなり興奮しながら戻って来た。塩は買わないと言う。何と、以前は250円だったものが、450円にもなっているとか。何故なの?と訊いたら、店員の人が「これで、人並みになった」と答えたという。このセリフが彼女を怒り心頭に発しめたらしい。それにしても、ひどすぎる値上げ幅だ。能登の塩を買うという、ささやかな楽しみを粉々に打ち砕いた罪は、彼女一人の不買行為だけでは済まないのではないか。数年前までは、細々とした塩づくりだったのが、現在は数も増えていて、観光客目当ての売り込みに力を入れているようだけど、塩で儲けることばかり考えていると、やがて観光客に足元を掬われることは必定となるだろう。観光客の目は、塩などより遥かに辛いのである。
お昼の後は、輪島郊外の千枚田見物へ。ここは相棒の写真撮影のスポットである。着くと、早速カメラを抱えて出かけて行った。当方は右手がだるく、それが全身に回り出したようで、どうしょうもないので、しばらく眠ることにした。
30分ほどして、塩の怒りも溶けた顔をして、相棒が戻って来た。棚田は代掻(しろか)きも終わって、満々と水が張ってあり、田植え直前の景色だった。写真には良い風景テーマなのかも知れない。何やら、元総理や歌手の誰とかやらが持ち主の田んぼがあったとか。棚田までが、切り売りされて、宣伝の材料となったか、と元百姓の馬の骨には複雑な心境だった。棚田は美しいし、写真の材料として、その風景は申し分ないけど、その昔棚田を作った人たちの思いが軽々と忘れられないようにあって欲しいなと思った。持ち主が有名人で埋め尽くされた千枚田などというのは、滑稽さを通り越して気持ち悪い。持ち主の全員が自ら全ての農作業をやるのなら、大歓迎だけど、金を出すだけならバカバカしい。
その後は、輪島市街地を素通りして、とにかく温泉に入ることにして、一路和倉温泉を目指す。17時頃到着。ここでは、いつも総湯という共同浴場に入る。480円也。料金は少し高くなったけど、施設も良くなって、問題はない。1時間ほど好い湯を楽しんだ後は、今日の宿予定の志賀の道の駅へ。18時30分到着。
今日は総じて、不満の多い一日だった。ま、負け惜しみ的に言えば、不満を楽しんだ一日だったということかも知れない。以前、この世のものとは思えない雷の集中攻撃を浴びたりして、どうやら能登は我々にとって鬼門のようである。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする