山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

07北海道の旅: 第40日

2007-08-10 07:01:26 | くるま旅くらしの話
数えれば旅に出て40日となった。毎日このブログの記事を読んで頂いている大半の方は、よくもまぁ飽きもせずに旅とも思えぬグータラな日々を送っているものだと呆れているに違いない。せっかく北海道に行ったのだから、もっとそれらしい名所などを巡り歩いたら?などと思われるであろう。確かにそう思うこともある。世界遺産の大自然知床は、ここから100kmほどしかない。日帰りも充分可能だ。しかしその気にはなれない。大自然に群がる人々が煩わしいのだ。行けば自分も群れの一人になるし、大自然とはそもそも大勢で押し掛けて行って見物するような所ではないと思っている。自分の中では、知床が世界遺産に登録されたのは嬉しいが、それは同時に大自然を守るために、そこが人間の立入禁止区域となったことを意味している。どんなにマナーに優れた人たちが行くとしても、人間が一人でも多く見物に行けば行くほど、大自然はそのどこかを損傷するに違いない。大自然を守るというのは、何のことはない人間から守るということなのだ。知床の自然が世界遺産に登録されたのは、もはやそこへ人間が行ってはいけないことを意味しているのは明らかだ。せいぜい羅臼から知床峠を通ってウトロに抜ける程度が許される限界のように思う。ところで、今日の予報は終日雨だったのだが、それらしい雨が降ったのは朝方だけで、日中の殆どは降りそうで降らない中途半端な空模様だった。いっそ降り込められた方がそれなりの覚悟が出来て、車内での何かに集中できるのだが、降りそうで降らないとなると、車の中を出たり入ったり、付近をウロウロしたりの中途半端な過ごし方となってしまう。グータラここに極まる、という感じの一日だった。キャンプ場長期滞在者の中に、愛媛ナンバーのWさんご夫妻がおられる。Wさんはこのキャンプ場開設以来の別海町のファンで、毎年夏になる前に遠路はるばる四国からやって来られて、お国が涼しくなるまで、ここを中心に北海道で過ごされるのである。ご夫妻共80歳を超えるお歳で、歳上のお母さんは足が不自由で車椅子を使わなければならず、お父さんはそのお母さんを実に甲斐甲斐しく面倒をみておられて美しい。炊事から洗濯まで、暮らしの殆どをお父さんが引き受けられ、切り回しされている。美しいと言ったのは、男の美学の極みをお父さんが実践されているように思えるからだ。伺えば、お父さんは今年の4月、前立腺ガンの手術をされたのだという。旅に出られて今はすっかりお元気のようだ。嬉々として毎年を楽しんでおられ、ここにもくるま旅くらしの名人がおられて嬉しい。前置きが長くなったが、今日はそのWさんご夫妻にお越し頂いて、相棒の撮った写真などを見て頂いた。表敬訪問させて頂こうと思っていたのだが、お父さんが車の中を覗きたいとおっしゃるのでお越し頂いた次第である。お母さんには富良野や美瑛の写真をご覧頂き喜んで頂いてよかった。気にいられた一枚をプリントしてお渡しした。お父さんは、写真よりも車の装備や内装などに関心がおありのようで、興味深げに車内を見渡しコメントをされていた。生きるバイタリテイの源泉の一つが、絶えることの無い好奇心にあるのは間違いないと思った。グータラの中にも時々ダイヤモンドの輝きを見る時間がある。
コメント
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