東京多摩借地借家人組合

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マンション上階からの水漏れ被害

2007年11月30日 | 借地借家の法律知識
(Q)築4年の分譲マンションに住んでいます。先月、上階の洗濯機の風呂残り湯用ポンプの破損が原因で、水漏れ被害に遭いました。洗濯機が壁にくっついた形で置かれていて、破損した部分に気づかず、2日間水漏れしました(上階では見える部分に水漏れしなかったようです)。上階の方は賠償保険に加入していませんでしたが、マンションの管理組合が加入している保険が適用され、クロスの張り替えは完了しました。

 お伺いしたいのは、このまま放っておいても大丈夫なのかということです。また、売却時に、水漏れの被害があったことをどこまで告知する必要があるのでしょうか。修理した業者の話によると、点検口からのぞいたところ、特に問題はないということでした。今回のことで、担保責任が発生する可能性があったり、売り値の減額をしなければいけないのでしょうか。よろしくお願いいたします。

(神奈川県 40歳代 自営業 男性)




(A) 点検口からの日頃のチェック
 水漏れの原因が上階からの報告の通りであったなら、再発の可能性は少ないでしょう。しかし、しばらくは注視し、たまに点検口から確認を行った方が良いと思います。なぜなら、もし、微量の水漏れが継続しているとすれば、内装の外側にまで現れない可能性もあるからです。この場合、表に現れないまま、天井裏の木部を腐食させたり、カビの発生を招いたりする可能性が考えられます。私が見たケースの中には、天井のスラブ一面がカビで覆われていて、住環境が知らないうちに侵されていた例もありました。

 さて、せっかく天井に点検口が存在しているのですから、今回の経験を生かし、今後も半年に一度くらいはのぞいてみて、水漏れの有無はもちろん、水漏れの痕跡、湿気の有無、変色、カビ、その他異状の有無をチェックすることをお勧めします。たまに、天井の点検口がないマンションが見受けられます。こうしたマンションでは、水漏れ等の事故がいったん発生すると、天井材を破壊しなければ状況確認もできないことから、適切な応急処置や問題発見・解決が遅れることとなってしまいます。

 売却時に事故告知が必要かということですが、水漏れの痕跡が残っていれば別ですが、この程度の内容では不要だと思います。劣化への影響もないと考えて良いでしょう。一度程度の水漏れがあったとしても、修理後の天井裏が、きちんとした乾燥状態にあれば、劣化しやすいなどの心配は無用です。

 劣化の心配をするのであれば、常日頃の生活による天井裏の結露の有無を心配すべきです。室内そのものが、日常的に湿度が高いようであれば、天井裏にも湿気がたまりやすく、金属の劣化は相当早く進みますし、配線の絶縁低下も心配です。ひどい場合には、湿気で天井のコンクリート内に配筋された鉄筋がさび、膨張することによってコンクリートの爆裂を引き起こし、崩落するという事故もあるぐらいですから。

 マンションだけでなく、住宅は、換気と通気が大切です。

(住宅ねっと相談室カウンセラー マンション管理コンサルタント 江沼 伸一)


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