新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

雪の結晶はすでに江戸時代に見つけられていた・・・

2021年12月07日 | 本・新聞小説
雪の結晶といえば中谷宇吉郎博士・・・と小学生の頃からずーっとそう思い込んでいました。
ところが西條奈加『千両飾り』を読んでいるときに、飾り職人が雪花紋を意匠に平戸細工で香炉を仕上げたことが出てきました。江戸後期に「雪花図説」がすでに市井にも出回っていたのです。
ということは中谷博士より先に雪の結晶を見つけた人がいた…ということ。すぐ解けてしまう雪をどんなふうにして観察したのか・・・、ごく素朴な疑問が出て調べてみました。

   
  (土井利位「雪花図説」 ネットよりお借りしました。)
「雪花図説」は、当時の老中首座にあった古河藩4代藩主土井利位(としつら)が、オランダから輸入された顕微鏡を使って雪の結晶を観察しスケッチしてまとめた本だそうです。当時の環境を考えると雪が解けないうちに観察するのは相当な困難だったでしょう。
この図説のおかげで着物や道具に雪の結晶のデザインが取り入れられたそうで、美しい雪の模様は江戸の人々に夢と喜びを与えたのです。
ちなみに、中谷博士は雪の結晶の研究を続け、世界で初となる人工雪の製作に成功したことが功績だったのです。

雪つながりで南木佳士『ダイヤモンドダスト』を思い出しました。30年ほど前に芥川賞を受けた作品です。ダイヤモンドダストという美しい響きは九州人には胸に響く言葉ですが、まだその現象を見たことはありません。本の内容はほとんど忘れたのでまた本を購入して読んでいるところです。
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