今まで、いいコンサートや素晴らしいコンサートにはたくさん参加しましたが、こんなに楽しいコンサートは初めてでした!会場はおなじみの アクロス福岡シンフォニーホールです。携帯で撮ったからこんな感じ・・・。
九響メンバーや福岡で活躍する音楽家が中心の演奏会で、ゲストのN響の第一コンサートマスター、愛称「まろ」の篠崎史紀氏との共演です。テレビでよく見る顔だし、貴族風の立ち居振るまいと洒脱なトークと福岡県人の親しみやすさで、会場は一気に和やかな空気に、そして次第に盛りあがっていきました。
パンフレットの表紙には 『福岡初 音楽と絵画の競演 聴いちゃりアンサンブルが贈る 第21回 気ままに音楽の夕べ 』とあります。
第1部は、モーツァルトの アイネ・クライネ・ナハトムジーク、ディベルティメント、クラリネット五重奏。 それぞれの楽器の音色がクリアに響く室内楽です。
L.モーツァルト、つまりモーツァルトのお父さんの作曲 「おもちゃの交響曲」では出演者を総動員して、かっこう笛、ハト笛、トライアングル、太鼓・・・などの鳴き声をユーモラスな音で表現していました。親子づれの観客も目につき身乗り出して聞き入っていました。
第2部のサン=サーンス「動物の謝肉祭」が実にユニークでした。これが福岡初という音楽と絵と朗読のコラボなのです。
いろいろな動物が出てきます。「ライオン」、「カメ」、「象」、「カンガルー」、「水族館」、「耳の長い登場人物」、「かっこう」、連弾のピアノでわざと下手に弾く「ピアニスト」、「化石」、あまりにも有名な「白鳥」、そして「天国と地獄」の旋律に乗せた「終曲」。
博多弁を交えた声楽家の朗読で愉快な解説が入ります。そのあと、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、フルート、クラリネット、グロッケン、シロフォン、ピアノ2 で演奏が続きます。
「白鳥」はチェロのみのソロでした。新しく九響に加わった首席奏者は原田哲夫さんです。
かっこうの鳴き声を真似したクラリネットのタラス・デムチシンさん。
プロの「下手なピアノの演出」に思わず笑い声も。田中美江さんと中川淳一さん、下手に弾くピアノは大変だったでしょうね。
楽器の後方に2m四方の紙が6枚用意されていました。それぞれの動物の旋律に合わせて、画家の保坂真紀さんが絵を描いていくのです。
大小のボールや丸めた布(らしきもの)に絵の具をたっぷりつけて、大小の「●の形 」だけを重ねながら形を作っていくのです。線描きはありません。2つの掌に握りしめた絵の具材で素早く、体全体でリズムを取りながら軽快に描いていきます。
観客は「一体何が出来上がるのか・・・」と、期待感で息をのんで見守ります。無から有が!見事というほかありません。右端の絵はゲストの篠崎氏の顔。
観客ばかりでなく、ステージの出演者の方たちも実に楽しそうでした。こんな楽しい雰囲気の音楽会を小学生や中学生に聞かせたいものです。いや幼稚園生でも目を輝かせて聞き入ることでしょう。
クラシック音楽が楽しいことを小さい時から知れば、生活がもっと豊かになります。私の子供の頃には考えられなかった環境が、人材が、舞台がたくさんあります。幅の広い音楽教育になっていくといいですね。
そうそう、篠崎氏は年間の120回の公演をこなされているそうです。その中の60回がNHK交響楽団の公演で、残りの60回は個人的な公演。福岡出身ということで地元での公演も多く、九響のメンバーらと「ムジークフェライン福岡」を立ち上げられるようです。
若手音楽家を応援し、演奏家が地域の聴衆とリンクし、音楽のリングを広げていくために。素晴らしい立ち上げだと思います。