新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

母の入院

2011年02月21日 | 母のこと

Cimg6788 92歳で一人暮らしをしていた母が入院してしまいました。小脳内出血です。子供たちに迷惑をかけまいと強気で頑張っていることに安心し、高齢なのに心身ともに健康な母を「娘孝行な母親」とか言って誇りに思っていました。

老後のあるべき生き方として過大に評価していたのかもしれないし、いつかはこういう日が来ることを正面から見つめることが怖くて目を背けていたのかもしれません。そんな心の片隅を冷静に見つめては落ち込んだり反省したり後悔したりしています。

夜中に具合が悪くなる数時間前にはきちんと日記がつけられていました。でも最後の一行に列のゆがみと文字の乱れがあり、倒れる前兆があったことを目の当たりにしてショックを受けました。日記をさかのぼれば、昨秋に2,3か所同じようなところが見受けられました。

この冬はことさら寒さがつのり、複数のリモコンで各部屋を温度調節をするのは92歳には酷だったのかもしれません。できる限りの環境に整えてはいたものの、誰かがそばについておれば・・・。そんな後悔にさいなまれています。

現在は、脳外科病棟の明るい部屋でリハビリも始まりました。計算力や記憶力のテストは大丈夫ですが、立ったり歩いたりすることは介助なしではできません。ベッドの上では食欲もわきません。

       .:。:.::.*゜:.。:..:*゜..:。:.::.*゜:.。:..:*゜..:。:.::.*゜:.。:..:*゜

入院して20日過ぎました。二日ぶりに病院に行くと表情も顔色も驚くほど元気になっていました。やっと食事がおいしくなったとのこと。昼食も8割ぐらい食べました。

今までのご飯の量があまりにも多すぎて、それを見ただけで食欲がそがれるので減らしてほしいとお願いした後から食欲が出たとのこと。食欲は見た目からとは健康人すらそうですから、ベッドの上では些細なことが改善の突破口になるようです。

今回はひょっとしたら寝たきりに・・・と覚悟していたけど、思いのほか回復が早く、今日は介助つきでトイレにも行きました。カレンダーを見ながらしっかりと日付けを覚える努力をしています。

コメント (9)

大根の収穫

2011年02月20日 | ガーデニング

Cimg696812月初めに大根の種をパラパラと撒きました。一袋にはかなりたくさんの種が入っていますが、なかなか残りを捨てるという行為にはおよべません。とりあえず狭いスペースに全部を撒き、少し大きくなったところで間引いて和え物にでもと思いました。

大根は間隔を広くとらないと大きく成長しないとアドバイスを受けていましたが、せっかく芽を出したものを間引くのはもったいなくて、なかなか勇気がいるものです。

土の上に少し顔を出した大根を、ユーモラスな「大きなかぶら」を思い出しながらまっすぐ上に引き抜くと、スポッと軽快な感触で気持ちよく抜けました。小さくてもこのように黒い土がついた大根を見た時は感激でした。まっすぐな伸び方も私には上出来の収穫です。

想像していたでっかい大根に成長しなかったのは、間引きの時期が遅れたのか撒く時期が遅かったからでしょうか。

この大根を見たとたん迷いもなく、「夕食にはおでん!」と当然のようにメニューが出来上がっていました。葉の部分も柔らかく、ちりめんじゃことうす揚げで煮びたしもでき上がりました。大地の恵みとはいい言葉です。

        ..:。:.::.*゜:.。:..:*゜..:。:.::.*゜:.。:..:*゜..:。:.::.*゜:.。:..:*゜

採れたての大根はだし汁をたっぷり含んで軟らかく煮あがりました。これを入院中の母に食べさせたいと思いさっそく持っていきました。

ところが病院に着いて密閉容器を開けて出てきたのは・・・な、なんと付け合せ用の人参の煮物でした。一瞬、大根が変身した・・・とあわてん坊の私は混乱。冷蔵庫から取り出す時にほかの器を持ってきていたのです。しかも人参は、今はそれほどでないにしても若いころの母の嫌いな野菜だったのです。でも味がいいといって少しだけ食べてくれました。

子供のころ姉妹で夕食の配膳を手伝っていた時、姉が「これは人参が多いからお母さんの所に置こうか???」と言った懐かしい幸せな茶の間の光景を思い出しました。

高度成長に突入する前は、今のように豊富な物質に囲まれてはいませんでしたが、みんなの笑顔は非常に明るく満ち足りていました。何よりも素直に上向きの気持ちが持てるいい時代でした・・・・。

    

  

コメント (3)

炎の人---仲代達矢主演

2011年02月15日 | 舞台

Photo_5少し前 日曜 美術館で「炎の人」が取り上げられ、それまでも一度は観たいと思っていた仲代達矢のゴッホ。偶然にも友人の情報から福岡公演を観ることができました。

とても78歳とは思えない仲代達矢の動きとセリフには、まるでゴッホが現代によみがえったかの様に思われました。

地に足がついてないような動きに、悩みぬき死に急いだ短く不安定な生涯が見えてきました。

無名塾の若き塾生たちの真摯な演技もこれからが期待できます。ゴーガン役はダルビッシュと見まがうほどの美青年でした。

作者の三好十郎も、やはり孤独で貧しかった少年期に絵を描く喜びを見出したそうです。

強く印象に残ったのは、終幕で出演者全員が登場し数人ずつで語りかけるセリフです。

『あなたが生きている間に 一枚の絵も買おうとしなかったフランス人やオランダ人やベルギー人を 私はほとんど憎む』

『貧しい心のヴィンセントよ 貧しい貧しい心のヴィンセントよ 今ここに あなたが来たい来たいといっていた日本で 同じ貧しい心の日本人が あなたにささやかな花束をささげる 飛んできて 取れ』

『日本にもあなたに似た絵描きがいた 長谷川利行佐伯祐三村山槐多や そういう絵かきたちを ひどい目にあわせたり それらの人々にふさわしいように遇さなかった 日本の男や女を私は憎む ヴィンセントよ あなたを通して私は憎む』

コメント (5)