新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

これぞ蜷川ワールド!

2005年01月26日 | 舞台

2tikamatutikamatu 友達からチケットをいただき「新・近松心中物語」でどっぷり蜷川ワールドの舞台に浸ってきました。
 近松の「冥土の飛脚」の梅川・忠兵衛の心中物語を縦糸に、もう一つの近松作品「ひじりめん卯月の紅葉」のお亀・与兵衛の物語をからませて作られた秋元松代脚本、蜷川幸男演出の舞台です。
 寺島しのぶの梅川は、美しく、狂おしく、情熱的で、緋色の着物がよく似合う遊女のはまり役でした。以前テレビドラマの出演を見たことはあったけど、いつの間にこんなに演技力をつけたのかと驚きました。よく通る質のいい声もあわせて、さすがDNAは争えないものだと実感しました。阿部寛も熱演!でもモデルを経たというだけあって、ちょっとその長身をもてあまし気味?でした。
 気弱で臆病な与兵衛役の田辺誠一は、婿養子の若旦那役を軽くコミカルに好演し、今までの殻を破ったような気がしました。舞台前に水を張った川がしつらえてあり、そこに与兵衛が飛び込む迫力と面白みが観客を引き込んでしまいました。1月で寒かったでしょうが、実にうまく演じていました。水しぶきが飛ぶために、客席5列目までは前もってビニールのシートが配られており、与兵衛がふんどし姿になったら、すぐにシートを頭からかぶるよう指示が出ていました。
 クライマックスは吹雪の中の幻想的な心中シーン。舞台と客席前方の天井から紙吹雪が数十分降り続き、照明と風力で静かに降る雪、木枯らしに舞う吹雪とまるで本物!!終わったときには舞台にはうずたかく雪が積もり、観客も白い雪をかぶっていました。観客までいつしか心中場面に立ち会ったかのような錯覚に陥り臨場感たっぷり!緋色の腰紐で首を絞められた梅川の体を後ろに弓なりにした死の瞬間、忠兵衛が自分で首を切り、真っ赤な血しぶきが飛ぶシーンは芸術的でさえあり、さすがこれが蜷川ワールドなんだと実感しました。緋色の着物、腰紐、彼岸花は命の色、雪の白は死を表しているのかと思いました。死してもなお、彼岸花だけが吹雪の中で咲き続けているのが象徴的で、とても印象に残りました。
 冒頭から流れた森山良子の主題歌「それは恋」がまたすばらしくて、時代物の舞台にもぜんぜん違和感がなく、むしろ梅川の辛い恋が切に迫ってきました。作曲は宇崎竜童です。

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やっと移植完了

2005年01月21日 | ガーデニング

01213012150121昨秋から育苗箱で育てた苗の移植をやっと完了しました。ラナンキュラスとアネモネ約100株,ポピー100株、スィートピー15株、チューリップ40個です。ただ、ポピーは移植を嫌うのでどのくらいが育つかはちょっと気になります。

まだ苗が小さいので、「どこに植えたの?」というくらいに寂しい花壇ですが、3月になるとポピーが咲き始め、チューリップ、アネモネ、ラナンキュラス、スィートピー・・・と春爛漫になる予定です。まだまだ味気ない「ビフォー」の花壇。3月には「アフター」の状況が写真に撮れると思います。

柵で囲って物々しいのは、犬を置いて長時間留守にすると、花壇を掘り返してしまうからです。昨年まではそんなことはなかったのに、今年は4度もやられてしまいました。苦肉の策が「柵」。われながらいいアイディアだと思います。「ダイソー」のガーデニングのコーナーで見つけました。

写真のブルーの部分は、3本のブロッコリーにビニールのネットをかけて鳥の襲撃をかわしているところです。葉がよほどおいしいのか、端っこからきれいに食べていきます。かわいいブロッコリーができています。

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”ドイツ生まれのひとり指圧器”

2005年01月14日 | 健康・病気
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この奇妙な形のものは、霧島のホテルの部屋で見つけたものです。「これなに?・・・」がゆっくり脳に届くときには、手はもうそれを握って肩に・・・。そう、「ドイツ生まれの一人指圧器」だったのです。これが優れもので、自分でできないところの指圧が楽にでき、しかもよく効くのです。アームの角度と弾力が実によくできていて、さすがドイツ生まれだと思いました。売店で販売しているとのことで2100円で購入。製作者の友人がドイツの古道具屋でこれのオリジナルを見つけ、知人にも評判だったため、手を尽くして探したものの求めることはできなかったとのこと。そこで、同じようなものを数本作ってほしいという依頼があり試行錯誤を重ねながらやっと出来上がったのだそうです。「フランクフルトの露店で名もなく売られていたこの絶品に”ツボきーく”と命名し・・・商品化いたしました」」とは、説明書に書かれている製作者の言葉。長さ30センチあまりのシンプルな形にドイツの技術と合理主義精神がたっぷり込められている気がします。「当たり」の買い物でした。

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知覧

2005年01月13日 | 国内旅行記

05_111chiran_020 父の三回忌を終え、母を交えて5名の1泊2日のバスツァーに出かけました。行く先は霧島温泉、知覧。知覧は「薩摩の小京都」とも呼ばれる 美しい町で、武家屋敷があり、お茶どころとしても知られているところです。でも何より有名なのは、太平洋戦争末期戦況が緊迫してついに最南端の特攻基地となり、若き勇士が国を思い父母を思い、平和を願いながら、片道分だけの燃料と爆弾を積んで敵艦を目指して、死を覚悟で飛び立った悲しい町だからなのです。
「特攻平和会館」には特攻隊員の遺影、遺品、記録、これでよく飛べると思える飛行機などが数多く展示されています。
「笑って散ろう」「今はすがすがしい気持ちでいっぱいです」 「大日本帝国のため、必ず憎き敵艦を撃沈させます」 「先立つ不孝をお許しください」 などの遺書は、母として人間として涙なくして読むことはできません。多くの特攻機は、待ち受ける敵の機銃掃射に会い目的を遂げる前に撃墜されています。写真では出撃前の穏やかな笑顔の若者でも心中は本当はどんなだったでしょう! 本来なら新しい日本をつくるべき才能を持った若人が、尊い命を自ら散らせる使命を負わされる・・・。どんなに無念だったことでしょう!個人の意思が奪い取られる、人が人を殺す・・・そんな暗い戦争の時代だったのですね。

出撃前の彼らの世話をし「お母さん」と呼ばれた鳥浜トメさんのことは、テレビなどでも取り上げられ、ドラマ以上にドラマチックで深く胸を打ちます。特攻隊員のことは、高倉健主演の映画「ホタル」や、悲しく美しい映画「月光の夏」としても製作されています。それらを含めここに残された多くの資料が、平和への思い、願いとして次の世代にも正しく受け継がれていくことを願っています。

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