新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

中村哲氏 アフガンの地で非業の死

2019年12月05日 | 福岡アジア文化賞

ブルーベリーの紅葉です。600gの収穫がありました。
★★★★☆★★★★☆★★★★

「中村哲氏が銃弾に倒れた!」と衝撃が走りました。数時間後には死亡が現地大使館から発表されました。あってはならないことが起きてしまった!辛い辛いニュースでした。
中村氏は中・高・大学と福岡市に関係があったことから、ぺシャワール会本部のある福岡市では悲痛な事件の報道や特集が相次ぎました。
2020年には「緑の大地計画」が最終段階に入り次のプロジェクトに移行する予定だったとか。私が語るにはあまりにも偉大すぎる方でした。

下記の西日本新聞の「アフガンの地で 中村哲医師からの報告」を見てください。
最終の報告がほんの少し前の12月2日でした。あ~ぁ、時計の針が2日前に戻せたら・・・・

2013年には福岡アジア文化賞大賞を受賞されました。この時のブログをみて中村哲さんの偉業を知っていただけたらと思います。
https://blog.goo.ne.jp/tkgmzt2902/e/32c41a1fd9cbe6fa853c560c369186c7
授賞式のスーツも靴も決して高価なものでなく、報奨金の500万円はショベルカーが買えると会場を明るく包まれました。折に触れての言葉は重たく心にずしりと響くものばかりです。せめてこの崇高な志が受け継いでいかれることを願ってやみません。
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2019 福岡アジア文化賞授賞式

2019年09月11日 | 福岡アジア文化賞
第30回目を迎えたアジア文化賞の授賞式が国際会議場で行われました。




アジアの多様な文化の保存と創造に顕著な業績を挙げた人を顕彰する授賞です。これによりアジアの人々が幅広く交流することを目的としています。
◎大賞(賞金500万円) ランドルフ・ダビッド 社会学者/フィリピン
◎学術研究賞(賞金300万円) レオナルド・ブリュッセイ、歴史学者/オランダ
◎芸術・文化賞(賞金300万円) 佐藤信、劇作家・演出家/日本


今回の入場は厳しいチェックがありました。
送られてきた入場券には名前と座席が打ち込んであり、写真つき証明書持参、エックス線検査、バッグの中身検査、と空港の検査並みで、折り畳み傘さえ預けるようになっていました。

例年秋篠宮両殿下のご臨席を仰いでいましたが、今年は秋篠宮皇嗣殿下になられて、セキュリティが強化されたと思われます。

2部で、伊藤かりんさんによるサンドアートの、優雅でセンスあふれる祝賀パフォーマンス。佐藤信氏演出・結城孫三郎氏による、あやつり人形芝居「夕顔」「獅子舞」。繊細な動きと生身のような感情表現に人形であることを忘れるほどでした。
知らなかったものを初めて目にして、美しさと新鮮さに感動しました。
日本の新しい文化と伝統を目の当たりにした思いです。この機会がなかったら知らないで終わっていた気がします。

この授賞式に先立ち、『発展するアジアと文化の共存』をテーマに、歴代受賞者5人によるシンポジウムが行われました。
司会者は道傳愛子氏。滑らかな英語で進行とまとめが上手くてさすが。NHK国際放送局シニアディレクターの肩書きは確固たりと感じ入りました。
後日、受賞者三人それぞれの市民フォーラムが行われ、今度は入場券のみで参加できます。

シンポジウムと授賞式の合間に国際会議場の中のカジュアルレストランへ。チケットを自販機で買います。

手焼きではないところが気になりますが、美味しかった!


話題のプリンですが、容器がほしくて注文しました。



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「第29回福岡アジア文化賞」授賞式

2018年09月20日 | 福岡アジア文化賞

授賞式がアクロスで6時30分に始まりました。秋篠宮殿下妃殿下のご臨席は例年どおりです。
賞の目的は、アジアの文化の保存と創造に活躍した人を顕彰し、それによりアジアの文化を認識し、育て、学び会いながら広く交流する基盤を作ることを目的としています。

◎大賞  ジャ・ジャンクー 中国/映画 (賞金500万円)

◎学術研究賞  末広昭 日本/経済学、研究地域(タイ) (賞金300万円)

◎芸術・文化賞  ティージャン・バーイ インド/音楽 (賞金300万円)


受賞者のスピーチとインタビューの中で、政府の機関でなく、アジアに目を向けた自治体がこの賞を設けていることの大切さに触れられました。

ジャ・ジャンクー氏は「映画監督とは人類の情報を伝える使者」として、日本の映画関係者とも交流しながら活躍されているようでした。

最後にティージャン・バーイさんのパンダワーニーのパフォーマンスがあり、朗々とした歌声とリズミカルで力強い民族楽器にインドの底力を見るようでした。

会場がアクロスだったので、家に帰り着いたのは9時。今日の夜はゆとりがありました。

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ジャ・ジャンクー監督(アジア文化賞大賞受賞者)

2018年09月19日 | 福岡アジア文化賞

キャナルシティでアジア賞の市民フォーラムが開催されました。
キャナルシティは外国人観光のメッカ、建物の色もエキゾチックです。開会前に夕食を済ませると、ちょうどウォーターショーが始まりました。

フォーラムでは、ユナイテッド・シネマキャナルシティ13で、中国の映画監督ジャ・ジャンクー監督『山河ノスタルジア』が、まず上映されました。
映画の上映後、パネリストにジャ監督本人、行定監督や映画プロデューサー市山尚三氏を迎えての討論です。
現代中国の急激な変化の中で、渦に巻き込まれる人や取り残された人の苦悩と孤独と葛藤が赤裸々に映し出されます。友人、親子の人間関係の破綻、心の奥にかすかに残る故郷への思いなどが、現代の中国社会をしっかりとらえた景色の中でダイナミックに表現されています。いい映画でした。
さすがアジア文化賞大賞受賞者の作品です。賞金は福岡市が贈る500万円です。

終わったのが21時40分。バスを降りて歩きながら、いつものように「私たち不良シニア」と自虐ネタで帰り着いたのは10時40分でした。

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第25回 福岡アジア文化賞 授賞式

2014年09月19日 | 福岡アジア文化賞

毎年9月になると、アジアの玄関口・福岡では「アジア」の文字が街にあふれ、関連行事が目白押しです。
アジアの多様な民族・文化の特性をふまえて、固有の文化を守りつつ、新しいものを生み出していくという趣旨のもとに、25年前福岡市は「
福岡アジア文化賞」を創設しました。

「アジアの固有かつ多様な文化の保存と創造」に顕著な業績を上げた人たちを、全世界の中から選び表彰するものです。

賞の内容は「大賞」500万円、「学術研究賞」300万円、「芸術文化賞」300万円で、そのPrize moneyの高額さを見ても、福岡市が如何にアジアの交流に力を入れているかがわかります。25年間で99人もの受賞者を出しています。

2014年の受賞者は
・大賞 : エズラ・F・ヴォーゲル(米国/社会学者)
・学術研究賞 : アジュマルディ・アズラ(インドネシア/歴史学)
・芸術・文化賞 : ダニー・ユン(香港/演劇)

授賞式の写真は福岡アジア文化賞HPからお借りしたもので、インターナショナルスクールの子供たちによる花束贈呈です。2014ceremony-top.jpg

第1部の秋篠宮ご夫妻のお言葉、授賞式に続き、第2部では、受賞者ダニー・ユン氏の演出によって、昆劇の俳優さんと東儀英樹氏の「雅楽と昆劇の共演」が催されました。
昆劇の俳優さんのスカートから覗く足の動きは、まさに日本の古典芸能の足さばきと同じなのに感動しました。
東儀氏が山吹色の狩衣と烏帽子(えぼし)で現れた時は、「光源氏!?」と思う程の研ぎ澄まされた美しさでした。
東儀氏単独での祝宴演奏「New ASIA(ニュー・エイジア)」が会場いっぱいに伸びやかに広がると、観客席には静かで熱く大きな感動が生まれました。楽器は「ひちりき」だったと思いますが、雅楽の存在感をこれほど大きく感じたことはありませんでした。

市民フォーラムとして、各受賞者の講演会も別の日に行われます。

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アジア文化賞大賞 中村哲医師(ペシャワール会)

2013年09月16日 | 福岡アジア文化賞

Photo_3第24回 福岡アジア文化賞大賞は、医師でペシャワール会現地代表の中村哲氏です。
当然の受賞、いや遅きに失した・・・と思うほどの困難な支援活動を30年も継続し、実績を上げ、まだ継続中の人です。

授賞式の翌日フォーラムで
『 アフガニスタンに生命の水を ~国際医療協力の30年~ 』と題した基調講演が行われました。

中村氏は、パキスタンとアフガニスタンの砂漠のような土地で、30年にもわたり、現地の人の命と向き合って活動を続けてきた人です。

1884年、パキスタンでのハンセン氏病の医療活動から始まりましたが、その後相次ぐアフガニスタンからの難民に、91年アフガン国内に3診療所を開設しました。そこを中心にして無医村での診療活動を開始します。

1993年マラリア大流行で、治療薬に日本国内の募金から2000万円の寄付を受け2万人の命を救いました。
98年にはパキスタン・アフガニスタン両国の拠点となる近代的な 『PMS(ペシャワール会医療サービス)病院』 を設立します。

2000年のアフガン大旱魃で難民流出が続き、「飲み水・農業用水の確立こそ難民化を防ぐ」として医療活動と水源確保事業を並行させていきます。
飲料用井戸1600本、径5mの灌漑用井戸13本を掘削、地下水路38か所を修復して水の確保に取り組みました。


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( 写真は、ペシャワール会 のパンフレットから用水路建設を4コマにまとめたものです )

数十年に一度という大旱魃で土地は砂漠化し、次々に村が消えていき、膨大な数の難民が発生。

2003年、写真のようなまさに砂漠の地に、クナール河からの水を引く用水路事業が始まります。
まだ重機もなく、現地の人の努力で推し進められました。
2007年 第一期 13kmが完工
2009年 24.3kmが開通
2010年 全長25.5kmが開通  灌漑面積は3000haとなり、20万人が恩恵を受け、消えた村が次々復活していきます。
取水口の新設、改修を行い、今では14000ha(60万人)の農地を守っています。

用水路は、日本の伝統土木工法の蛇籠工。両岸には柳を植えて、蛇籠の中に伸ばした根で土手の補強をします。


この水路を永久的に保存していくための計画や、試験農場を設けて作付・技術の研究も始まり、穀類、芋、野菜、果樹、養蜂、畜産など徐々に成果を上げているということです。

フォーラムでは、最近の新しい映像が映し出され、豊かに生長した両岸の木々の緑の間を、澄んだ水が流れている・・・のが信じられないほどでした。

そんな困難な事業を継続させているものは何かという会場の質問に「誰もが押し寄せる所なら誰かが行く、誰も行かないところでこそ、我々は必要とされる」「机上の議論はいらない、ただ実行あるのみ」というずしりと響く言葉がありました。


クリスチャンである中村氏が、イスラムの現地の人たちの命と心を大切にし、住民が待ち望んだモスクを建てて喜びを共にしたことにも非常に感銘を受けました。力でねじ伏せることにもっとも怒りを感じている方です。
現地の人々の立場に立ち、現地の文化や価値観を尊重し、現地のためにはたらく 』ことを『 唯一の譲れぬ一線 』とする確固としたした姿勢があります。

映像にはメスを重機に代えて運転する中村氏の姿、真っ白い長い服の現地の人たち、子供たちの屈託のない明るい笑顔、緑の畑、荒野の中を突き抜ける一筋の緑の水路など、希望につながる写真が映し出されました。

Img_2405_3アフガンの陽に焼けた顔は穏やかで、荒野で活動する人とは思えないほどの柔和な語り口と相手を受け入れる懐の深さに、現地の人が警戒心をいだかずに信頼を寄せ、尊敬するのがよくわかります。

さり気ないユーモアもきっと周りの雰囲気を和ませてくれるのでしょう。
会場でも何度も笑いが起こりました。話し方もとてもうまいのです。

過去24回のアジア文化賞で、日本人の大賞受賞者は中村氏が二人目だそうです。「日本の良心にかけて」挑戦しているという活動に、同県人の誇りとしても支援を続けたいと思いました。

第11回でこの大賞を受賞したバングラデシュのムハマド・ユヌス氏は、この後ノーベル平和賞を受賞されました。中村氏も・・・、とそんな期待を市民は心待ちにしています。

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第21回 福岡アジア文化賞(FUKUOKA PRIZE 2010)

2010年09月17日 | 福岡アジア文化賞

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第21回の福岡アジア文化賞授賞式が福岡国際会議場で秋篠宮ご夫妻を迎えて開催されました。

アジアの固有の文化の保存と継承と、変化の中から生まれる新しいものにも目を向け、新しい創造をしながら未来へつながる文化交流をはかり、それを広く世界に伝えていくというのが福岡独自の文化賞の趣旨です。今年の受賞者は下記の方々です。

   ・ 大賞(500万円) ファン・ビョンギ(韓国)・・・ 伝統音楽

   ・ 学術研究賞(300万円) ジェームズ・C・スコット(米国)・・・政治学・文化人類学

   ・ 学術研究賞(300万円) 毛里和子(日本)・・・現代中国研究

   ・ 芸術・文化賞(300万円) オン・ケンセン(シンガポール)・・・演劇

世界54地域に7000人の推薦人をおき、推薦された214名・団体の中から4か月をかけて選考委員により選ばれるものです。アジア文化の研究が具体的な形で評価され、世界にも類を見ないアジア賞は高く評価されています。

授賞式後の2部では、壇ふみさんの司会で4人の受賞者との対談が行われました。「10歳ころはどんな子供でしたか?」「この研究にはいったきっかけは?」など、ユーモアを交えて各個人の個性を浮き彫りにしていき、軽妙な司会は受賞者にも参加者にも笑いを誘い和やかに進みました。

最後に大賞受賞のファン・ビョンギ氏作曲の伽倻琴(カヤグム)の演奏でした。これは韓国の伝統楽器で、哀愁のあるやわらかい音色がやさしく心を包みました。

受賞者のフォーラムがイムズホールで4日間に分けて開催されます。

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グラミン銀行―貧困の解消

2009年09月29日 | 福岡アジア文化賞

Yunusu_new1 福岡アジア文化賞20周年記念講演が、ムハマド・ユヌス氏を迎えて去る27日都久志会館で行われました。

ユヌス氏はバングラデシュの経済学者で、2001年に福岡アジア文化賞大賞を受賞、2006年ノーベル平和賞を受賞した世界で活躍している人です。半月ほど前、オバマ大統領より名誉ある「大統領自由勲章」を授けられたばかりです。

ずっと以前に、バングラデシュの貧困層の女性たちが「無担保小口融資」を受けるために行列を作っているテレビ番組を見たことがあります。その時は、それと貧困の解消がどう結びつくかをはっきり認識できず夢物語的に見ていました。

この講演ではその実践と成功、それがグラミン銀行の設立へと移行し、現在ではそれを発展させた「ソーシャル・ビジネス」が実を結んでいることも知りました。

世の中から見捨てられた底辺の人々が、暴利をむさぼる高利貸しに頼らずに無担保小口の融資を受ければ、大きな責任と自分の仕事を考える大きなチャンスを得ます。その意欲は自分の社会的・経済的な自立へとつながっていくというのです。グラミン銀行は大洪水の危機を乗り切り、昨年の金融危機も乗り越えて、きちんと融資の回収がなされているそうです。

そんなにうまくいくものかしらと考えていましたが、ユヌス氏が強調するのは『究極的な貧困にある人々は、融資された資金が今の生活状況を打ち破るための唯一の機会だということがよくわかっている』のだといっています。「決して何百万とかでなく、ほんの35ドルでもいい・・・」という言葉が心に残りました。『頼るべき蓄えのない彼らは、目の前のチャンスをなんとしてでもつかみ取り、人生を変えていきたいと心底思っている人たち』なのです。日本の成熟した資本主義の社会に馴染んでしまった私たちがなくしてしまったエネルギーを持っているのだと思いました。

「貧困は貧しい人が作りだすのでなく、システムが作りだすもの。機会を与える方向にシステムを変えることが大切」として、無担保小口融資(マイクロクレジット)は、現在途上国のみならず先進国にまで世界60カ国で展開、成功しているそうです。

ソーシャル・ビジネスは、「株主利益の最大化」でなく、「社会的利益の最大化」を目標にした企業体です。会社を持続可能にする収益を保ちながら、医療、環境、教育などさまざまな社会問題を解決する貢献ができるというもので、新たな資本主義の概念です。無私の精神に基づくビジネスを育ててほしいと、若い人たちへの強い期待が熱く語られました。

            *:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜*:・゜

会場のすぐそばにヴェトナム料理のお店があり、今日はアジアで統一しようということで入ってみました。初めてのヴェトナム料理でしたが、日本人に合う味付けで、ボリュームたっぷり。コース料理は、好きなものを3品選ぶという気の置けないものでした。ここにきて3年というヴェトナムのお嬢さんと話すうちに、デザートと花茶をサービスしてくれました。

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第19回 福岡アジア文化賞授賞式

2008年09月11日 | 福岡アジア文化賞

Ajia 10日、第19回福岡アジア文化賞の授賞式が、アクロス福岡で行われました。

このアジア文化賞は、アジアの学術・芸術・文化に貢献し、卓越した功績をあげた人を表彰することにより、文化の価値を広く世界に伝えていくことを目的として1990年から福岡市で始められました。

歴史的、地理的な特質から「九州・アジアの交流都市」を目指す福岡市が、アジアとのネットーワークを築くために、特に力を入れている行事です。

秋篠宮ご夫妻も出席され、アグネスチャンとNHKアナウンサーの上手な進行で楽しく幕が開きました。

世界各国4000人の推薦委員からの推薦をもとに、選考委員会で最終的に4人を選んだという経過報告がなされ、賞状とメダルが贈呈されました。大賞のPrize Moneyが500万円、その他の賞がそれぞれ300万円で、権威ある賞としてむしろ日本でよりもアジアの国でのほうが知られているようです。

今回の受賞は、大賞が香港のアン・ホイ氏、学術研究賞がスリランカのサヴィトリ・グナセーカラ氏、マレーシアのシャムスル・A・B氏、芸術・文化賞がバングラディッシュのフォリダ・パルビーン氏の4人で、受賞の後それぞれのスピーチがありました。もちろん入場者には同時通訳のレシーバーが渡されていました。

1989年のアジア太平洋博覧会(よかトピア)以来、福岡市は特にアジアとのコミュニケーションに重点を置いてきたこともあり、会場の雰囲気はとても和やかで、ステージの上と観客席に一体感が感じられました。ステージの受賞者を旧知の友人のように温かく歓迎する市民と、それに応えて心からの笑顔と言葉で喜びを表す受賞者。民族、宗教、政治を乗り越えた素晴らしいひと時でした。

第2部では、アグネスチャンの軽妙な司会で、受賞者の個性が垣間見られる楽しい対談がありました。その後、受賞者のフォリダ・パルビーン氏の特別演奏。声量のある神秘的な歌声と民族楽器の太く物悲しい響きは聴く者の魂を心底から揺さぶるものでした。ベンガル地方のバウル・ソングというのだそうです。

古くからアジアとの交流の歴史を持つ福岡市では、毎年9月から10月にかけてアジアンマンスとして、授賞式をはじめとしていろいろなイベントが催されます。アジアの多彩な文化と触れ合える貴重な月間です。

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ラオスの染織展―福岡市美術館

2005年09月19日 | 福岡アジア文化賞

2005年福岡アジア文化賞受賞記念特別展が今、福岡市美術館で開かれています。

Lao  受賞者は、ラオスの染織研究家、ドアンドゥアン・ブンニャウォン氏です。これを記念して、氏が所蔵するラオスの貴重な染織がラオスの織物「織りに浮かぶ祈り」として展示されています。会期は9月14日~10月16日。

氏はラオス古典文学研究者で、その研究過程の中から芽生えた伝統文化への関心は、やがて織物へと向かい、その歴史研究、伝統技術の保存と継承、織り手である女性の社会的地位の向上、外国への紹介と発展していきました。

その幅広い活動がラオスおよびアジアの伝統文化の保存、継承、発展に大きな貢献をしているという理由で今回の受賞となりました。

 

 

050917_006市美術館では、18日(日)に市民フォーラムも開かれ、ブンニャウォン氏、鈴木玲子氏(東京外語大助教授)、新田栄治氏(鹿児島大教授)のパネルディスカッションに満場の視聴者も熱心に聞き入りました。
最後には説明よりも実物をということで、市職員や新田先生の奥様とご令嬢がモデルとして協力してくださった和やかなファッションショーで幕を閉じました。楽しかったこと、感銘を受けたこと、初めて知ったこと・・・など、お互いに理解し、受け入れることがアジアの人々が共生する原点になると思いました。

新田先生の説明の中に「ラオスは多民族国家で、助け合いが合言葉になっている」とありましたが、世界では今だに民族間の熾烈な争いが耐えないことを思うとき、とても含蓄のある言葉だと思いました。

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