新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

あんずジャム

2006年06月24日 | 食・レシピ

友人から自慢の手作りあんずジャムをいただきました。特徴は、ジャムの中に種から取り出した杏仁が入っていて、ほのかな香りがするところです。フレッシュな甘酸っぱさと旬のこだわりが身上のあんずジャムは、トーストにはもったいない…。

060624_004 クレープの皮が冷凍室に入っているのを思い出し、夕食のデザートにしました。ジャムを包み、上にもトッピング。白いのが杏仁です。飲み物もあんずジャムを入れたロシアンティーに。

ところで、ロシアにはこんなティーはありませんでした。日本のロシア料理店に行けば必ずあるのですが…。日本にしかないとも聞きました。

コメント (6)

『腕を組んですわるサルタンバンク』

2006年06月15日 | 美術館&博物館

060615bs_009_1 念願のピカソ『腕を組んですわるサルタンバンク』と、デュフィ『オーケストラ』をやっと見ることができました。

今日から久留米の石橋美術館で、石橋財団50周年記念「雪舟からポロックまで」が開催されています。

東洋から西洋、平安から現代まで約150点と実に見ごたえのある作品ぞろいで、コレクションの質の高さが偲ばれます。

安井曾太郎『玉蟲先生』、藤田嗣治『横たわる猫と女』…などなど、解説のヘッドホンを聞きながら3時間。久しぶりに充実したひとときでした。

ピカソは1910年代末から新古典主義時代に入り、『腕を組んで…』はその代表作といわれています。繊細なライン、端正な顔立ち、色彩も簡潔で、こんなに美しい男性像はめったにあるものではありません。ちなみにティツィアーノの『灰色の眼をした男』はこれまた素晴らしい絵です。

『腕を組んですわるサルタンバンク』についてひとこと。石橋正二郎氏がコレクションの中でもっとも愛したのが、ピカソ『女の顔』だそうです。それと並べて展示するために、長男・幹一郎氏により、1980年に6億9000万円で落札されたのが『腕を組んで…』。当時、20世紀絵画では最高値だったということも話の種になりそうです。こんな豪華な親孝行が存在するとは・・・。

もう一つのエピソードは、絵の左上の余白の部分に、赤外線写真でサルタンバンクに寄り添う女性が浮かび上がってきたそうです。避暑地で出会い、強く惹かれたサラ・マーフィーだといわれています。作品『サラ・マーフィーの肖像』には、絵の具に砂が混ぜてあり、浜辺の恋の思い出を封じ込めたのでは…と聞いたことがあります。

さらにこの作品は、かつて偉大なピアニスト・ホロヴィッツが所蔵していて、自宅の居間にで~んと飾られていた写真があります。

060615bs_001 こんな素晴らしい展覧会が、800円とは確かに安い!! 石橋正二郎氏が東京のオフィス街の真ん中に、「街中でちょっと飛込む感覚で入る事ができる美術館」を目指したというのも納得できるというものです。

コメント (5)

18代目中村勘三郎 襲名披露

2006年06月11日 | 舞台

060610_1 「博多座」は、10年前に経済界、興行界、行政が一体となって、福岡市に設立された会社です。今ここで、18代目中村勘三郎の襲名披露公演が行われています。

各地での襲名公演が話題を集めただけに、チケットは入手困難なのですが、友人を通じて、公演前に1時間ほどの勉強会がセットになったチケットが手に入りました。なるほど、歌舞伎を正面からだけでなく裏側から見てみると、歌舞伎の奥深さがわかり、楽しさも倍増します。

060610_2045001_1 写真撮影は厳禁で、これは宣伝用のパネルです。                          襲名披露口上では、こんな裃姿の幹部俳優がずらりと並び、個性を生かしたお祝いの挨拶がなされます。伝統の重みと格式の厳粛さ、華やかさ、そしてちょっぴりの笑いを交えたサービス精神に、ゆらぎのない大歌舞伎のゆとりを感じます。

勘三郎の後継者として、勘太郎・七之助兄弟が立派に育っています。特に『雨乞狐』で野狐の五変化舞踊をこなした勘太郎にはため息が漏れていました。狐らしい切れのよい動き、早変わりの踊り分けと表現力、体の柔らかさには、若さばかりでなく相当の努力のあとが感じられます。勘三郎さんも期待していると思います。

グランドオペラがゴージャスな織物の衣装なら、歌舞伎は美しい染の衣装だと思いました。着物は、デザイン・布の材質と織り・染め・家紋・・・と日本の風土の中で生まれた素晴らしい芸術品だと再確認しました。

歌舞伎は難しい・・・が頭に浮かびます。でも、これを手助けしてくれるのが「イヤホンガイド」。舞台進行に合わせて、筋立てや所作の意味が解説されるいわば実況中継で、歌舞伎が気楽に楽しく観れるようになります。無料で利用できるのも観客動員の保持につながっているのかもしれません。

060610_2047001_2歌舞伎は、まず見る事が大切で、感性で美を感じとる演劇だとか・・・。だからでしょうか、海外公演でも行く先々で、総合芸術として絶賛と喝采を浴びているとのことです。

歌舞伎は、歌舞伎俳優と観客がともにに守り育てていくべき日本の芸術なのですね。有名人からのご祝儀がこれまたずら~りでした。

 

コメント (2)

大宰府天満宮

2006年06月05日 | まち歩き

060604dazaifu_011 梅雨前の晴れた日にと思って、母を誘い大宰府天満宮に行きました。菖蒲はまだ咲き始めで、それでも水面と花の取り合わせには心が和みます。40種3万本が咲きそろうにはまだ間があるようです。

隣接の九州国立博物館にも足を運び「琉球展」を見ました。アジアを意識した国立博物館は、当初の心配をよそにかなりの入館者を保っているようです。3時間余り館内を歩き回りましたが、米寿の母のタフさには感心します。中身よりも建物の大きさと設備の立派さに驚いたようです。

0604kyuukoku 見たかったのは「混一彊理歴代国都之図」で、モンゴル帝国の遺産ともいうべき15~16世紀のアジア東方の「世界地図」です。

今、日経の新聞小説で「世界を創った男  チンギス・ハン」(堺屋太一著)が連載され、目新しい世界が開け実に面白いストーリーです。

近年、ソ連邦の体制の崩壊で矮小化されていたチンギス・ハンの新しい解釈が進んでいるそうで、情報の少なかったアジアの中央の歴史が実に生き生きと描かれ、夢を膨らませながら楽しく読んでいます。そんなモンゴルの関係資料を是非見たかったのです。

0605_1  大宰府の味は、なんといっても「梅が枝餅」。茶店の赤い毛氈の上で、菖蒲池を見ながらティータイムにしました。

コメント (9)

坂本繁二郎展

2006年06月02日 | 美術館&博物館

060601ishibasi_010_1 故石橋正二郎氏が久留米市に寄贈した広大な文化センター。その中に石橋美術館があります。

今ここで、開館50周年を記念して「坂本繁二郎展」が開催されています。子供の頃見た優しい馬の絵がずらり!50年前から、近隣住民の夢と希望を抱かせてくれる憩いの場所でした。当時、『文化』と名が付くだけで、子ども心に大切で高尚な香りを感じ取ったものです。

060601ishibasi_1 繁二郎は39歳でフランス留学し、その3年間が「流行に流されない自己への確信」となったそうで、明るい色調の初めて見る絵もたくさんありました。

2年がかりで完成させたという異様なほどの真っ黒い牛のいわばモノトーンの絵、《牛》。よく見ると、背中にほんの少し赤い点が。深い黒色の下には、こうしたたくさんの色が隠れているのかな・・・。この絵で確固とした名声を得たことから、作品製作で旅費を捻出し、留学が実現したそうです。

晩年に描かれた《八女の月》と、絶筆の《幽光》は、同じ郷土に住むものとしても深く心にしみる絵でした。晩年は視力が衰えていたそうですが、最後にこんなに美しい色彩が心の中に映し出されていたのでしょうか、素晴らしく、幸せなことだと思います。

6月16日(金)から7月8日(土)まで、東京展としてブリジストン美術館で開催されるそうです。

コメント (4)