益田鈍翁、原三渓など、当時の実業家であり一流の茶人として活躍した人たちとの交流も興味をひくものでした。
ホテルニューオオタニ博多が経営するレストランの人気の松花堂弁当です。注文個数が少ないのでなかなかありつけなかったのが、コロナの影響でやっと。2750円ですが、松花堂弁当にしては品数が多くてやっと完食しました。注文してから30分かかったけど、丁寧な料理でやはりいいお味でした。
窓ガラスのテーブルから見た大濠公園。水辺を見ながらの食事はやはり落ち着きます。
草間彌生さんのカボチャはかなり以前から存在感を示しています。
福岡市のシンボル、美しい水辺です。
藤田嗣治と言えば、独自に編み出した半光沢の滑らかな乳白色の絵肌が特徴です。
《タピスリーの裸婦》の背景の布もジュイ布。細かい部分まできっちりと描かれたポピーと麦、布の折りじわ。日本画の繊細なタッチが見てとれます。
当時、足元の4種類の布や背景のジュイ布を細かく描き込んだ絵画は、美しい裸体画の人気を更に盛り上げたようです。
近いところですが、秋の穏やかな日でお出かけ気分になりました。
私の年代にはピッタリこない展覧会ですが、息子が超合金のライディーンを持っていたのは記憶しています。
福岡市美術館は2年半の改修期間を終え、春の華やかさの中で待望のリニューアルオープンです。目の前の大濠公園の美しい水辺に繋がっています。
ガラス張りを広くしてオープンな感じになった美術館は敷居が低くなり気軽に入れます。まさに市民の憩いの場、より親しみを持てるようになりました。
美術館と池がまさに一体化しています。
休館の間に貸し出されて各地の美術館を回った作品群は美術界でも高く評価されました。
吉田博は6枚の版画の色の違いで時の経過を表しています。何と「摺り」も自分で行い多才を発揮しています。所々に「カメラOK」の文字が貼られて嬉しいです。
フラゴナール「ブランコ」の絵をアフリカンプリントで立体的に製作しているのにはビックリ。こちらが先だったのでは・・・と思ってしまうくらいです。ショニバレさんはきっと楽しい人なんだ・・・。
超人気で40分待ち。その間にコレクション展をひとつ回りました。ミュージアムランチです。
イチゴのムースはさすがホテルの味。美術館のレストランとして人気が出そう。
福岡市美術館で開催中の「マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展」がいよいよ残り9日間になりました。まさか九州まであの《印象、日の出》が来るとは!
17年前初めて訪れたマルモッタン・モネ美術館。 娘との個人旅行で念願の《印象、日の出》を見て、あまりにその印象が強くほかの絵はさほど頭に残っていません。
今度の日本での展覧会は詳しい解説つきだから、現地で鑑賞する以上の楽しみもあります。私の好きな1870年代の絵は7点ほどでしたが、2010年台に白内障で10年間も苦しみながら、その時に描いたジベルニーの庭や池の絵が多数でした。
美術館は閉館日をも返上してのサービスぶりで、入場者は10万人を突破しました。
九州以外からの来館者も多く、中国語も飛び交います。モネの絵は馴染みやすいタイトルが多いからでしょうか、人気があります。
例によって「立ち止まらないでください」の放送が流れています。
印象派の絵はすぐそばで見るよりも、5mほど離れて見た方がくっきりと光輝いてみえます。
カメラのファインダーを覗いたときにピントがピタリと合ったときの感覚と同じです。左の《睡蓮》など特にそうです。
新しい発見だったのは《印象、日の出》の描かれた日時の調査がなされていたことです。米国の天文学者ドナルド・オルセン氏が、19世紀の写真や地図をもとにモネが描いた場所をホテルと特定し、太陽の位置や、潮の満ち干や、たなびく煙によって風の向きを推測して、気象データと照らし合わせて…、と気の遠くなるような調査の結果、「1872年11月13日7時35分ごろ」とほぼ確定されたということでした。
私はこの絵はずっと「日の出」だと思って疑いもしませんでした。「日の出」か「日没」かの論争があっていたとはつゆ知りませんでした。しかし科学的な調査の結果をふまえて、この展示は《印象、日の出》と落ち着いたようです。
たまたま引き出しを整理していたら「ジベルニーの家の組み立て絵葉書」が出てきました。17年前にはジベルニーにまで足を延ばせなかったので、せめてもの記念にと買ったものです。さっそく組み立てると、4年前に訪れたジベルニーの家の記憶が鮮やかによみがえりました。
白いドレスのアリス、《ラ・ジャポネーズ》の着物を着た婦人、階段の上にはモネがキャンバスを広げています。ジャンもミシェルもいます。ルノワールやバジールもいるようです。
私が訪れた時はもっとツタに覆われていましたが、温かい壁の色、緑のよろい戸は同じ。家の中に入ってみると、キッチンのフライパンの並べ方を見ただけでも妻アリスの几帳面さがしのばれました。ジベルニーの家は温かい家庭の象徴です。白内障を患いながらもモネは幸せだったと思います。
今、<福岡市のミュージアム3館連携共同企画展×関連プログラム>として「秘密 ― かくす・のぞく・あばく」という面白い企画展が開催されています。
3館とは、福岡市美術館、福岡アジア美術館、福岡市博物館です。
それぞれの美術館で展示されている絵の中に謎が隠されており、それを解きながら写真右のアンサーシートのマスを埋めていきます。最後に下段のマスに数列の文字を当てはめて文章を完成させ、「消えた少女」の居場所を突き止めるというミステリーな企画です。
若手の学芸員さんがたくさんの収蔵品の中から選りすぐりの作品や古美術品を選び出し、来館者に楽しく鑑賞してもらおうとフレッシュな頭脳で企画されたものです。
クイズにこだわらなくても、3館とも一押しの収蔵品が展示してあり、それだけでも素晴らしい展覧会です。収蔵品だけでこの企画ができるという事がまたすごいと思いました。
先日、福岡市美術館でアンサーシートを手にした瞬間に「これはチャレンジだ!」の気持ちがむくむくと湧いてきました!「のぞく」とか「あばく」とか「家政婦は見た」の心境ですo(^-^)o
それで、今日、残る2館を回ってきました。結構難しくて会場を何度も行きつ戻りつ。こんな作業はもうずいぶんやっていません。ちょっと若返った感じで興奮しました。
帰宅して暗号を整理して少女の居場所を突き止めました!そのアンサーシートを受付に持っていけば、なんと正解者に記念品が出るとか! Getできるか???
そうそう、今福岡市美術館では「マルモッタン・マネ美術館展」が開催されてすでに6万人を突破しています。これと合わせてクイズに挑戦するのも楽しいですよ。
世界にたった3点しか現存しないという曜変天目茶碗。焼かれたのは中国・南宋時代。900年前です。
なんとその3点すべてが国宝として日本にあるのです。そしてその中の1個が今、福岡市美術館で「藤田美術館の至宝」として展示されています。
(福岡市美術館のチラシより)
この茶碗を所蔵しているのは藤田美術館です。東京・静嘉堂が所蔵してるさらに素晴らしい曜変天目茶碗をテレビで見たことがありますが、曜変を目のあたりにするのは初めてで、この日を待ちに待っていました。
以前、静嘉堂が曜変天目茶碗を短期間展示するという情報を得て、わざわざその為に上京した友人がいるほどに、この曜変天目は人の心を虜にするものです。
比較的小ぶりな茶碗ですが、覗き込むと漆黒の茶碗の中の宇宙に吸い込まれ、無数にきらめく星と、オーロラみたいな神秘的な青と、青に縁どられた斑紋の中に浮遊してしまいそうです。じっと見ていると涙が出そうになります。
その存在感ゆえに戦国、江戸の権力者の間を動き廻りながらも大切に保存されてきました。曜変は今の科学技術をもってしても再現できないものだそうです。
こればかりではありません。赤楽、黒楽、文琳茶入れ、水差し、巻物など国宝6点、重文25点、全124点が九州初公開です。
明治の初めに国外への散逸を恐れた藤田傳三郎が私財を投じて集めたという逸品の数々。その意志を引き継いだ二人のご子息がまた選りすぐりの目を持った目利き・・・という事で、藤田家親子2代3人の思想と生き方が偲ばれる素晴らしいコレクションです。
福岡市美術館広報誌「エスプラナード181号」に、学芸課長岩永悦子氏の興味深い解説が載っています。
『…曜変天目茶碗の青色は釉薬の固有の色でなく、オパールや玉虫の羽のように、光の干渉によって現れる構造色とよばれる色です。曜変の青がなんとも神秘的なのは、光源によって発色を変えるからでしょう。今、曜変天目茶碗は、新たな技術に遭遇しています。すなわち、LED(発色ダイオード)ライトとの出会いです。通常の照明の下では黙しがちに見える曜変の青が、LEDライトを当てると、わっと沸き立ち、さながら青い炎のように輝きます。……ぜひ21世紀の曜変天目茶碗を目撃しにきてください。
科学の進歩に瞠目しつつも、薄い灯かりのもとでほのかに輝く曜変の青を愛でていた、いにしえびとの眼力に、改めて尊敬の念をいだきます。1ミリにも満たない釉薬の厚みに封じ込められた宇宙に感動する心は、今も昔も変わりません。』
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今年の綿の実です。ずしりと重たい実としぼみかけた花。この緑の実の色が褐色化していくと、殻がはじけて中から真っ白い綿が出てくる夢を誘う植物です。
間もなく終わりますが、今肉筆の浮世絵展が開催されています。浮世絵というと多色刷り木版画の「錦絵」を目にすることが多いのですが、今回は筆で描いた肉筆の浮世絵、一点ものです。細部までひと筆ひと筆丹念に描き込んでいった絵師の力量に圧倒されます。
絶対に見たかったのが北斎の「酔余美人図」と「夏の朝」。これが前期と後期に分かれて展示されたので、2度も足を運ぶことになりましたが、170点にも及ぶ作品だったので2回でやっと満足のいく観方ができました。
前期に展示された「酔余美人図」―― 絵葉書からの写真(氏家コレクション蔵)
幅30センチ余りの小さな作品です。何ともなまめかしい姿態です。三味線箱の上の赤い包みは恋文か?とも言われています。飲み干して空になった盃。
この状況から、酔いに身を任せて三味線箱にもたれかかり物思いにふけるというところのようです。赤の使い方がこの場面を引き締めている気がします。
最も見たかった後期展示の「夏の朝」――― 絵葉書より(岡田美術館蔵)
長さが90センチ弱の細長の絵です。華やかな花魁の衣裳とは違って落ち着いた色の格子縞の着物、しっかり織り込まれた帯、四角く抜いた衣紋と着物の流れるような線の対比。後姿で見えない顔は鏡に映してその表情を見せるという心憎さ。構図も意匠も素晴らしいです。
キャプションには、吊り衣桁に掛けられた粋な縦縞の男の着物から、夫が起きる前に床を出て朝の化粧に余念がない姿と女心を描いたものだとか。
小道具への心配りも細やかです。
足元の鏡の蓋には金蒔絵がしてあり、その上に乗せた鉢には水が張られて朝顔が浮いています。その花も幾重にか重ねられているのです。歯磨き用の棒も見えます。
向うには足付きの水盤があり、水草の間に金魚が浮いています。まさに夏の朝です。
花魁でもなく武家の妻でもなく庶民の妻。心豊かな空気感と幸せな時間が伝わってきます。
「大河ドラマ軍師黒田官兵衛ドラマ きらめきの大名道具」と副題のあるきらびやかな展覧会が開催されています。9月28日で終了。
黒田家からの大量の寄贈品を収蔵している福岡市美術館ならではの展覧会です。こんな名品が今度いつ見られるかはわからないので、購入した図録『黒田家の美術」を読んでもう一度足を運ぶ予定です。
チラシにはセミナリオで学んだ日本人画家の「泰西風俗図屏風」、「竹取物語」、長政着用の「金襴軍袍」(長政・松坂桃李が来ているところをイメージして下さいo(^-^)o )、明の「百鳥図」などが載っています。
(写真は図録「黒田家の美術」よりお借りしました)
唐物茶入:銘「博多文琳」は興味深いエピソードを持っています。
博多豪商・茶人の紙屋宗湛が秀吉を茶会に招いた折に、秀吉はその茶入れが欲しくて欲しくて所望しますが、宗湛は「日本の半分となら交換しましょう」と返しました。何と粋な返答でしょう!博多商人の機知と心意気が感じられます。
この茶入れは、後に2代藩主黒田忠之により黄金2000両と知行500石で召上げとなり、以来黒田家の家宝となります 。
(写真は図録「黒田家の美術」よりお借りしました)
上は、その後日譚としての「文琳記」。小堀遠州が藩主忠之に当てた書状です。江戸城内で「博多文琳」を上覧した家光が大変気に入った様子だったことを伝えた手紙です。将軍のお目に留まればもう押しも押されぬ名物茶入れの烙印が押されたことです。
以後「博多文琳」は藩主が交代する時だけ取り出されるという黒田家の秘蔵の宝になったそうです。
(写真は図録「黒田家の美術」よりお借りしました)
「塩竃松島図屏風」8曲1双、185㎝×488㎝
名所絵屏風の大作としても、庶民の生活を知る風俗画としてもすぐれた作品です。とにかく群青と金と緑の美しさに感嘆のため息が・・・。
右隻には瑞巌寺、左隻に塩竃神社。描かれた船は198隻、人物は1900人とか。子供の遊びやいろいろなお店など庶民の日常生活が垣間見られ、はては船や橋の作りの細かいところまでが描き出されています。
展示されたのは黒田資料の中から100点のみでしたが、すべて胸をわくわくさせるような名品ばかりでした。
数代にわたる黒田藩主への徳川家からのお輿入れは、石高の高い黒田藩の力をかなり意識したものです。正妻を強制的に離縁させて徳川家の姫君を妻に送り込んで幕府の安泰を守る・・・。女性は「道具か!」と憤慨しますが、見方を変えれば女性は国を抑えるほどの力を持っているともとれます。
嫁入り道具の教養を示す巻物、超一流の職人の手になる道具類などを見ると、「婚姻」が政治的に如何に重たい意味を持つかが感じとれました。
100点すべて保存状態の良さに驚かされました。江戸時代は、もう戦のない「平和」な時代になったということでしょうか。