新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

グラミン銀行―貧困の解消

2009年09月29日 | 福岡アジア文化賞

Yunusu_new1 福岡アジア文化賞20周年記念講演が、ムハマド・ユヌス氏を迎えて去る27日都久志会館で行われました。

ユヌス氏はバングラデシュの経済学者で、2001年に福岡アジア文化賞大賞を受賞、2006年ノーベル平和賞を受賞した世界で活躍している人です。半月ほど前、オバマ大統領より名誉ある「大統領自由勲章」を授けられたばかりです。

ずっと以前に、バングラデシュの貧困層の女性たちが「無担保小口融資」を受けるために行列を作っているテレビ番組を見たことがあります。その時は、それと貧困の解消がどう結びつくかをはっきり認識できず夢物語的に見ていました。

この講演ではその実践と成功、それがグラミン銀行の設立へと移行し、現在ではそれを発展させた「ソーシャル・ビジネス」が実を結んでいることも知りました。

世の中から見捨てられた底辺の人々が、暴利をむさぼる高利貸しに頼らずに無担保小口の融資を受ければ、大きな責任と自分の仕事を考える大きなチャンスを得ます。その意欲は自分の社会的・経済的な自立へとつながっていくというのです。グラミン銀行は大洪水の危機を乗り切り、昨年の金融危機も乗り越えて、きちんと融資の回収がなされているそうです。

そんなにうまくいくものかしらと考えていましたが、ユヌス氏が強調するのは『究極的な貧困にある人々は、融資された資金が今の生活状況を打ち破るための唯一の機会だということがよくわかっている』のだといっています。「決して何百万とかでなく、ほんの35ドルでもいい・・・」という言葉が心に残りました。『頼るべき蓄えのない彼らは、目の前のチャンスをなんとしてでもつかみ取り、人生を変えていきたいと心底思っている人たち』なのです。日本の成熟した資本主義の社会に馴染んでしまった私たちがなくしてしまったエネルギーを持っているのだと思いました。

「貧困は貧しい人が作りだすのでなく、システムが作りだすもの。機会を与える方向にシステムを変えることが大切」として、無担保小口融資(マイクロクレジット)は、現在途上国のみならず先進国にまで世界60カ国で展開、成功しているそうです。

ソーシャル・ビジネスは、「株主利益の最大化」でなく、「社会的利益の最大化」を目標にした企業体です。会社を持続可能にする収益を保ちながら、医療、環境、教育などさまざまな社会問題を解決する貢献ができるというもので、新たな資本主義の概念です。無私の精神に基づくビジネスを育ててほしいと、若い人たちへの強い期待が熱く語られました。

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会場のすぐそばにヴェトナム料理のお店があり、今日はアジアで統一しようということで入ってみました。初めてのヴェトナム料理でしたが、日本人に合う味付けで、ボリュームたっぷり。コース料理は、好きなものを3品選ぶという気の置けないものでした。ここにきて3年というヴェトナムのお嬢さんと話すうちに、デザートと花茶をサービスしてくれました。

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