新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

ゴッホ展

2011年01月15日 | 美術館&博物館

Cimg6966 1月1日に意気高く開幕した「没後120年 ゴッホ展」が、九州国立博物館で2月13日まで開催されてます。

オランダのゴッホ美術館とクレラ・ミュラー美術館からの70点。パリで影響を受けた画家たちの絵画、色彩と構図に影響を受けたという浮世絵を合わせれば120点。とても見ごたえのある感動の展覧会でした。

「炎」「壮絶」「アルル」「ひまわり」・・・ときけば、そこにはゴッホしか思い浮かばないほどに人々の心の中に入り込んでいるゴッホ。会場は老若男女で満員でした。

本場オランダのゴッホ美術館でもすごい人気で、各国からの入場者の行列でしたが、日本での展覧会はキャプションが日本語だし、系統だって展示されているので、納得しながら見ることができました。これだけ大量の名画がよくも貸し出されたものだと関係筋の努力に頭が下がりました。

ゴッホは、純粋すぎる愛情や異常なまでの生真面目さが受け入れられず、失意のうちに27歳で画家になることを決意しました。亡くなる37歳までの10年間で、苦悩と情熱と孤独の中で描き上げた2000点もの作品があります。しかし生きているうちに売れたのは1枚だけ・・・(下記に絵を載せています)

 

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今回の音声ガイドは、上記のガイドシートをペンでタッチすると絵の解説が始まり、ヘッドホンの痛みも感じないスグレモノでした。

上の①≪曇り空の下の積み藁≫は1990年7月に描かれたもので、この月の終わりに自ら命を絶ちます。炎の人生は激しく短く燃えつきました。

『僕は作品のために人生を賭け、そのために僕の理性は壊れてしまった』というゴッホへの先入観があるせいか、明るい黄色を使った絵を見ても、どこかもの哀しさがただよいます。ゴッホの絵と人生が同時に心に響き感銘を受け、ゴッホは私が最も惹かれる画家です。

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Photo_3 ゴッホの生前に売れた唯一の絵というのが気になって調べてみると、左の『赤いぶどう畑』でした。

独力で練習に励んだという働く者たちの一瞬の動きのデッサンが、ゴッホ展にたくさん展示されていました。この絵にはそのデッサンの成果と働く者への愛情がにじみ出ていると思います。

売れた時の価格は400フラン。当時パリのカフェのコーヒー1杯が0.25フランだったそうです。

弟テオはゴッホの最愛の家族であり、理解者であり、生涯ゴッホを援助し続けました。1回50フラン~100フラン。ひと月で多いときは200フランも。50フランは今の日本円で5万円。

しかし、テオはある日ゴッホへの仕送りがつらいとこぼしてしまいます。つい口を滑らせた小さな愚痴が、繊細なゴッホの張りつめた心の糸を切ってしまいました。その後たびたび起こる忌まわしい精神の発作に苦しみながらとうとう自殺を図ったのです。

兄として画家としてゴッホを愛し続けたテオも、ゴッホが死んでしまった後、自らの心も死んでしまったかのように精神を患い半年後に亡くなってしまいました。

共同墓地には、ゴッホとテオの墓が永遠に寄り添うように並んでいるそうです。その向こうには麦畑が広がっているとか・・・。

 

 

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七草がゆ

2011年01月08日 | くらし

年末年始に7名にふえた賑やか「ファミリー」も、またもとの二人の静かな生活に戻ってしまいました。そして今日はもう七日、七草がゆの日です。

Cimg6957「せり、なずな、はこべら、ごぎょう、ほとけのざ、すずな、すずしろ、これぞ七草」と子供の頃覚えた記憶があります。はこべもほとけのざも庭の草取りでは手を焼く雑草ですが、今日は主役。七草はスーパーで買ったパック入りを前の晩にゆでて刻んでおいたので、今朝は炊飯器で炊いたお粥と混ぜるだけ。

由来は、お正月のおせち料理で弱った胃を休めるためと、無病息災を願ってのお粥だそうです。現在はいざ知らず、昔のおせち料理ってそんなに胃にもたれるようなメニューでもなかった気がしますが。

一椀のお粥だけでは足りなくて、お餅一個の雑煮を追加しました。七草のどれかは分かりませんが、クセのある味と香りがしておいしいものではありません。でも無病息災の薬膳といえばなんとなく納得・・・かな。

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謹賀新年 熊本·平山温泉·長湯温泉

2011年01月05日 | 国内旅行記

昨年は更新の回数がかなり減りましたが、それでも訪れてくださったことを嬉しく思い感謝しています。備忘録のつもりで書くのですが、いただくコメントにはわくわくしております。今年もブログをとおして、皆様と交流できたらと願っています。

年末の忙しい時期に温泉めぐりのスケジュールが入りました。クリスマス休暇で帰ってきていた温泉好きの息子が、熊本県の平山温泉と大分県の長湯温泉を予約していました。

平山温泉・・・・・山懐の宿「Cimg6923一木一草」は、全Cimg6926_2室が離れ形式の8部屋の小さな宿です。

部屋には、囲炉裏間と石造りの内風呂と露天風呂が付いており、木材とデザインに意匠を凝らした実に贅沢な空間になっています。「八千代座」を手掛けた棟梁の手も入っているそうで、職人の技が見事です。

ここでゆっくりいただく夕食がみごとで素材、味付け、盛り付け、器、どれも二重丸。料理長のこだわりと思いが十分に伝わってきました。宿と湯と食を提供してくれるまさに「日本の旅館」と「おもてなし」を十分に堪能しました。

牡丹雪の中で露天風呂につかるのは最高です。詩心はなくてもおのずから俳句らしきものが浮かんできて一句、「牡丹雪 肩に溶け込む 露天の湯」

このほか洞窟風呂岩風呂があり、日帰り温泉としても利用度が高いようです。つるつるした泉質はアルカリ性単純温泉で別名「美人の湯」。透明度の高く100%かけ流しです。

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翌日は、凍結した山道を3時間走って大分県の長湯温泉に向かいました。運転手には緊張の3時間のようでした。

Cimg6938 長湯温泉は久住山系のふもとの古い温泉地で、芹川沿いに15件ほどの宿があります。温泉「百選」にも選ばれているという炭酸泉の濁り湯です。

芹川の河原に石で囲っただけの露天風呂「ガニ湯」があり、橋の下に棚がありここで着替えるとか・・・。入浴する人も景観を楽しむなら、公然とそれを見て楽しむ人も・・・。なかなかダイナミックな趣向です。以前テレビで見たような記憶があります。情報によると、長湯は近年、人気が急上昇中とか。

Cimg6937 宿泊先の大丸旅館は、日本屈指の高温の炭酸泉を持ち、与謝野鉄幹・晶子や徳富蘇峰も投宿したという100年の歴史を持つ老舗旅館です。芹川に面してロケーションは抜群で、対岸の桜並木が春には見事なことでしょう

温泉成分が堆積したお風呂は、実に温泉らしいけれど、見た目には若干清潔感に欠けるところがあります。

別施設としてちょっと風変りでモダンな建物、同旅館経営の「ラムネ館」があります。高濃度の炭酸を含んでいるのが有名らしいけれど、湯温が32度では冬はオススメでないようです。

食事は丁寧に取ったダシのうまさを感じる料理です。ご当地料理は「エノハ(やまめ)」の丸ごとの姿揚げ。頭から尻尾まで残すことなく食べて下さいということでした。

平山温泉では肥後牛のホウバ焼きが、長湯温泉では豊後牛の陶板焼きが、そして両方とも「馬刺し」が出るのが、山間の旅館の定番のようです。馬刺しのトロや霜降は、口の中で馬肉の油脂がゆっくり溶けるので、刺身でもおいしく食べられます。

思いがけなく温泉で1年間の疲れを癒してすっきりしたあとは、おせち料理の準備にモードを切り替えて頑張りました。

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