新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

京都の旅①

2007年10月31日 | 国内旅行記

母の卒寿を記念して、京都周辺を旅しようということで、子供たち夫婦が日本の真ん中に集まりました。九州と東京から計7人、2泊3日の旅です。

満89歳の母は、起床5時半、6時半のテレビ体操、30分のウォーキング、10分間の屈伸運動、新聞をチェックして自分で作っている「政治ノート」への記入、連用日記帳・・・と元気そのもので、全く手をとらない一人暮らしなのです。この「娘」孝行の母親の健康と生き方は、私たち娘の誇りでもあります。真似は出来ないけど・・・。071030kyoto_001_5

「狩野永徳展」・・・ ちょうど史上初の大回顧展が開催されており、『京都限定。30日間の奇跡―その迫力にかなうものなし』というパンフのインパクトのある文字を見れば、待ち時間90分も仕方ないか・・・。

国宝『洛中洛外図屏風』の前では全く人が動かず、さすが人気の作品です。これは九国博でも見ていたので2度目の嬉しいご対面。

国宝『唐獅子図屏風』の見上げるような大作には圧倒されます。新発見の『洛外名所遊楽図屏風』、聚光院所蔵・国宝『花鳥図襖』・・・。国宝5件、重文9件のみならず狩野派の素晴らしい芸術に目を奪われました。同じ頃、海の向こうはルネサンスで、ミケランジェロ、ティツィア071030kyoto_003 ーノが活躍していた時代です。

★三十三間堂・・・正面の柱間が33あり120m。何度訪れても新鮮な気持ちで見られます。

埃をかぶってはいるものの、中尊を真ん中に左右に500体、合計1001のご本尊とは、なかなか壮観です。

目の前に、国宝の二十八部衆像がずらりと並び迫力満点。国宝雷神・風神には、鎌倉仏師の熱い息吹が感じられます。

★南禅寺・・・ここは敷地内全体が博物館のような感じ。国宝の方丈、小方丈の狩野元信、永徳、探幽の襖絵がずらり。小堀遠州の方丈庭園はさすが細かく計算された名園です。

お抹茶をいただきながら、小さな空間が大きな自然にも見える庭を前にひと休みです。

071030kyoto_017_2 ここの境内を横切っているのが明治に作られたという琵琶湖疎水のレンガのアーチ。中世と近代が妙にミスマッチ!ローマの水道橋みたいだと一人悦にいっていました。琵琶湖疎水の文字の中に、明治の産業と技術への意気込みが感じられます。

九州よりも日暮れが早い京都。母もよく歩きました。夕食は、ホテル内の中国料理「六本木樓外樓」で。人数が多いと、一番まとめやすいのは中国料理でしょうか。日曜日だったので、長男が孫代表で駆けつけてくれました。

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「エディット・ピアフ」 & 「ミス・ポター」

2007年10月27日 | 映画

今日と明日は全くのフリータイム。何かしないと「損」とばかりに、てきぱきと家事を済ませて映画館へ。

観たのは、話題のエディット・ピアフ

貧困と劣悪な環境の中で育ったピアフの子供時代。そんな中で娼婦と心を通わすしんみりとした場面や、やっと愛する人を見つけてそのときだけは素直な美しい表情に戻ることもあるピアフ。全体に流れる声量のある歌唱力は心を揺さぶるすばらしいものでした。

薬物中毒、病気で体はぼろぼろ。あまり品位を感じさせない特徴のある歩き方、独特の話しぶり、顔を背けたくなるほどの見事なまでの老け具合、その体当たりの演技はほんとにすごみがあって、本物を知らない私はそれにピアフそのものを感じてしまいました。

それでも全体を通して、泣き喚く、怒鳴り散らす、わめき散らすとなんだかとても疲れる映画でした。レヴューを見ると、4★+5★が81%。評価は高いのです。観終わって涙が止まらなかったという人もいるし、私は到底愛は理解できない女なんでしょうか??

やっぱり「ミス・ポター」にすればよかったかな・・・と、鑑賞後のなんとも説明のつかないこの気持ち。そこで、「よし、午後のボランティアが済んだら口直しに観に行こう。」と、また同じ映画館に夕方舞い戻りました。

071026pita_010_2ミス・ポターは、「ピーターラビット」の生みの親の感動的な物語です。こちらの評価は、4★+5★は87%でした。

20世紀初頭のイギリス。世はヴィクトリア朝。上流階級に育つビアトリクス・ポターは、子供時代に美しい湖水地方で経験した動物との出会いを絵に描き、それに物語をつけて本を出版します。

封建的な母親は、女性が仕事を持つこと、自立することを理解してくれず、上流階級との結婚しか考えてくれません。本の創作過程で出会った印刷所の編集者ノーマンと恋に落ちても、身分の違いを理由に許そうとしません。

3ヶ月間恋人と離れて暮らしてみて、真の愛かどうかを確かめるという親の提案を受け入れ、湖水地方とロンドンに離れて暮らすことに。そんなときにあっという間に恋人は、肺炎がもとで亡くなってしまいます。

絵も描けなく、部屋からも出られなくなったポターは、印税で湖水地方に自分の家を買い求め、固い覚悟で家を出ます。美しい自然は、やがてポターの心を回復させ、開発の憂き目にあっている周りの土地を買い求め、農地と農民を守ります。

(ここからは字幕だけ)数年後、このとき相談相手になってくれた弁護士ヒーリスと2度目の恋に落ち結婚。さらに農地、土地を買い続け自然保護活動に専念し、手に入れた4000エーカーの土地は、遺産としてナショナル・トラストに寄贈され、彼女が残した本とともに永久に保護されることになりました。

ストーリーも美しいなら、湖水地方の自然も美しく、当時の衣装も、建物の内部も丁寧に再現されていて、人間の魂の結末も美しく、観たあとの感動も美しいものでした。(詳しくお知りになりたい方は、上の「ミス・ポター」をクリックしてください。Storyが見られます。)

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塩野七生ワールド

2007年10月25日 | 本・新聞小説

071025siononanami_008_3写真の本全部が塩野七生氏の本です。

塩野七生氏の作品に初めて出会ったのは10年程前。娘とイタリアに行くときに友人が貸してくれたのが『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』でした。そのときは時間に追われる仕事をしていたので、本を読み終えたのは旅行から帰った後のことでした。

「歴史でもなく、伝記でもなく、小説でもなく、しかし同時にそのすべてである」という塩野氏の独特のスタイルの文章にすっかり魅了されました。複雑な人間関係は系図がなければ、政治と宗教(ローマ法王庁)の入り組んだ世界は地図がなければ、私には到底理解できるものではありませんでした。

それから10年。『ローマ人の物語』を文庫版で読み始め、出版が追いつかない部分は仕方なく単行本で、今やっと『終わりの始まり』でローマ帝国にかすかな斜陽が感じられ始めるところです。

この『ローマ人の物語』を通奏低音に、ルネッサンス期の塩野氏の本を手当たり次第に読みました。一度では理解できずに2度読んだ本もあります。歴史の事実の間に、人間のどうしようもない欲望、人間の優しさと強さ、抗えない運命の世界が盛り込まれた楽しい、それでいて充実感のある作品群です。

私は、買った本は一定期間置いたら潔く処分してしまうほうですが、この七生ワールドだけはどうしても処分できないでいます。

今度イタリアに行くときは、前回のラファエロを見るために行った旅行とは違ったイタリアが楽しめるものと思っています。

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甕仕込み焼酎といも煮風とむかご御飯

2007年10月23日 | 食・レシピ

071022sake_004今日は取っておきの『甕雫』を開けました。この焼酎は京屋酒造のもので、自家栽培有機肥料の寿芋、アイガモ農法の米で作った麹で甕仕込みされたものです。一緒に付いていたアムの木をくりぬいて作ったという柄杓が心をくすぐります。2種類の作り方をしてみました。

一つ目は、まほろばの国大和の酒徒善人さんから教えていただいた「金魚」。焼酎のお湯割りに青シソとタカの爪を浮かべるものです。なるほど水草の間を泳ぐ金魚さながらです。視覚点合格!しその風味とこしょうのピリッとした刺激がさわやかな味も合格!

二つ目は、添付の説明書にあったようにオンザロック。そのまろやかさと深さは初めて味わうものでした。焼酎の欠点の部分を取り除いたような味わいがあります。『甕雫』はやはりオンザロックがいいようです。この甕は私が独占していいのです。ワインとビールしか飲まない夫だから、「独占禁止法」の心配もなし!

それに今日はむかごをいただいたので、むかご御飯にしました。和食の店でいただいて以来この季節には必ず作る御飯です。

もう一つは、幻の芋煮。テレビで見た東北の河原での芋煮会がずっと心に残っていました。そのレシピが『いも煮風』として日経に載っていたので早速作りました。

  1. さといも600gは、皮をむき食べやすい大きさに。牛肉200gは一口大に。こんにゃくも一口大に切り熱湯でさっとゆでます。
  2. シメジ1パックは根元を切ってほぐし、ネギ1本は3センチ長さに。
  3. 鍋に砂糖大さじ2しょうゆ大さじ4と牛肉をいれ火にかける。肉の色が変わったら取り出すだし2カップ半、酒大さじ4、塩ひとつまみとさといも、こんにゃくを入れて煮る。
  4. さといもが柔らかくなったら、シメジとネギを入れ、牛肉を戻しいれて、さっと煮る。好みで七味唐辛子をふる。

071022sake_007_2ポイントは、牛肉を濃い味でさっと煮てから取り出し、最後に戻しいれるところです。九州では豚汁として味噌仕立てで作ることはありますが、牛肉としょうゆ仕立てというのが新鮮で、私には満足の味です。夏の冷汁に比べれば作り方もずっと簡単です。

今日の夕食メニューは彩りは冴えませんが、私の好きなものばかり。土曜日にNHKでコメ特集が放映され、友人が集まった折にそれが話題になり「御飯を食べなくては!」ということになりました。さっそく忠実に和食を再現しました(*'‐'*) ウフフフ♪

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『レ・ミゼラブル』――博多座

2007年10月17日 | 科学

071016hakataza_013_4今、ミュージカル『レ・ミゼラブル』が2ヶ月間のロングランを誇っています。入場券を1枚だけゲット。夕方、博多座に出かけました。

子供の頃読んだ本のタイトルでは『ああ無常』。記憶では、ジャン・バルジャンはたった一本のパンを盗んだ罪で19年も投獄されたこと、教会の神父に助けられるが、そこでまた銀の蜀台を盗んでしまうこと、市長になるまでに成功し、孤児コゼットを育てること、ジャベール警官に追われながら下水道を逃げること・・・と、断片的に残っているだけでした。

子供向けの本だし、その背景に7月革命の後に学生や労働者の台頭という歴史的な事実があることはもちろん記されていませんでした。

Photo「レ・ミゼラブル」3時間の後半。仏は7月革命でブルジョワ層が担い手になり、産業革命の開始期にあたります。それに対して夢と希望に向かって学生たちが政治集会を開き暴動を起こすという背景の中で、コゼットとマリウスの恋、エボニーヌの純愛、警察官ジャベールの苦悩、ジャンバル・ジャンの告白、コゼットの結婚と展開していきます。時代背景として、ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』を思い描くと分かりやすいと思います。戦いの中で死んだ市民の格好が、この絵と全く同じでこの絵を意識してるなと思いました。

2ヶ月のロングランゆえ、主なキャストは4人ずつが日によって入れ替わっています。今日のジャン・バルジャン役は山口祐一郎。実力と人気のミュージカルスターとして貫禄充分でした。

071016hakataza_008博多座は、本格的な大歌舞伎を上演できるように建設されたので、幕間にはロビーや座席で飲食が可能なのです。もちろんロビーにはいろいろなお弁当、はてはフランスワインまで売っています。

幕の内弁当は日本の文化に付随した伝統?だと思います。芝居の幕間・幕の内に観客が食べるものなのでそう呼ばれるようになったとか。マナーに関係なく堂々と食べられるわけです。コンサート会場とは大違いで、外人さんが見たらビックリビックリでしょうね。

そのお弁当を調達をするためにデパートに行くと、ちょうど京都のお弁当フェアが開催されており、舞妓さんまでが登場していました。珍しかったのでパチリ!

う~ん、でも舞妓さんのきりりとしたプライドが感じられず、モデルさんかな・・・? 芸に生きる厳しさの表情がでていないですね~。やけにサービス精神が旺盛でした。

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友泉亭の観月会~ジャズとクラシックの競演~

2007年10月13日 | まち歩き

Photo_3 かって福岡黒田藩の別荘だった友泉亭は、池泉廻遊式の日本庭園が美しい公園になっています。1ヘクタールの緑に覆われた歴史公園です。(写真は友泉亭のHPからお借りしました)

071013kangetu_006今年もここの大広間で観月コンサートが開催されました。門を入ると、竹の行灯の小道を通って、まず赤い毛氈の茶席でお抹茶がふるまわれます。

071013kangetu_015今年は「ジャズとクラシックの競演」で、ジャズピアノ(ここでは電子オルガン)、ベース、フルート、ヴォーカルの4人の演奏です。18畳ほどの大広間は、200人を収容できず、回廊や庭にはみ出してしまいました。

プログラムはフライミー・トゥー・ザ・ムーン、サマータイム、歌に生き恋に生き、スペイン、枯葉・・・。アンコールはやはり「千の風に乗って」でした。071013kangetu_004_3

ちょっと中心部を離れた場所でのこんな企画は、生活に馴染んでいて人気があります。それに料金は、市の施設とあって1000円。

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着物姿の若い人が意外に多くて、夜の日本庭園の雰囲気を盛り上げてくれました。今が一番しのぎやすい季節です。

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映画と 黒糖梅酒と お弁当

2007年10月12日 | 映画

今日は主婦には嬉しい12時間のフリータイム。夕食の準備なし!そうだ、映画を見ようということで、いつものKBCシネマへ。2本も「はしご」してしまいました。

大統領暗殺(2006/イギリス/93分)

Photo_2 「大統領暗殺、2007年10月19日アメリ中部時間20時13分――。」現役の大統領にそんな仮定が許されていいの・・・?というようなショッキングなタイトルです。

賛否両論ある中でやっぱり見てきました。制作のどこまでが真実でどこまでが虚構か分からないほどのドキュメンタリー「風」映画です。詳しいストーリーは上記のタイトルをクリックしてもらえば見ることが出来ます。

大統領の巧みな演説がどう作られるのか、厳重な身辺警護、FBIの捜査はどんな風に行われるのか、狙撃犯をどんな風に絞り込んでいくのか、アラブ人への差別を払拭できない捜査、9.11の重い過去が沈殿している現実、イラク帰還兵・・・と見るところはたくさんあります。評論家の評価は60点どまりです。でもブッシュ政権が何をなしてきたかを考えるにはいい映画でした。

私の小さなピアニスト(2006/韓国/108分)

Photo_3小さな町で小さな音楽教室を開くピアノ教師ジス。ある日偶然にも憎ったらしいほどの腕白少年キョンミンに出会い彼の絶対音感に気づきます。あわよくば、孤児同然の彼を教育しコンクールに優勝させ、そこで落ちこぼれピアノ教師の名を返上・・・というストーリーを描くのだが・・・。エゴが本当の愛情に変わっていく過程はかなり感動的です。最後にはあちこちで涙を流している気配が・・・。あとは公式ホームページを見てください。流れる音楽も素敵ですよ。

映画の中には美しいトロイメライが流れ、クライマックスシーンでは、韓国新進気鋭のピアニスト、ジュリアス=ジョンウォン・キムがラフマニノフ『ピアノ協奏曲第2番』を、重厚なホールで演奏するのが見事です。子役の10歳の少年シン・ウジェは、実際に7歳でピアノを始めて9ヶ月目にコンクール一位に輝いた天才少年だそうです。

071012sake_004外にでればもう7時で真っ暗。どこで食事をしようかと思いめぐらすうちに頭を掠めたのが、やっと封印をといた黒糖梅酒。そうだ、デパ地下のお弁当を買って帰ろう!ということで、おばんざいのお弁当と黒糖梅酒の遅いひとり夕ご飯でした。2本の映画もお弁当も★★★★でした~。

黒糖梅酒は、青梅1キロと黒砂糖500グラムとホワイトリカー1.8リットルでつくった梅酒です。黒砂糖の色と味とコク。リカー特有の味も気になりません。少し水で割って氷を浮かべると美しいのですが、秋の夜はストレートで。肴は筑後名産のはやの甘露煮です。

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ハイビジョン特集より~神尾真由子~

2007年10月10日 | 音楽

この夏、神尾真由子さんが「チャイコフスキー国際コンクール」で優勝!諏訪内晶子さん以来17年ぶりの快挙です。世界三大音楽コンクールの一つといわれているものです。

8月に日本に里帰りした神尾真由子さんに密着取材し、ツアー演奏の1ヶ月を追ったドキュメンタリーが放映されました。21歳という若さにもかかわらず、インタビュアーの質問にも、自分の心を思いをいかに正確に表現するか言葉を捜しながらゆっくりと答えるところに誠実さと正直さを感じました。

10歳でソリストとしてデビュー。シャルル・デュトワ指揮のオーケストラで演奏するかわいい映像も出ました。神童といわれた所以がよく理解できます。

ジュリアード音楽院に学び14歳でアメリカデビュー。特集を組んだ新聞は「正確なテクニック、温かくよく響く音、強靭な表現力」と絶賛したようです。

07109kamio050930oyuwari_019今回のN響コンサートは、ジェームス・ジャッド氏指揮、優勝曲のチャイコフスキー「バイオリン協奏曲」でした。ジャッド氏の評した「音に誠実さと統一感があり、音楽のページをめくっているような弾き方」は、聴き手にぐいぐいと迫るものがあり、何度も録画を回して見ました。

N響のひとりが『一音一音はっきりと、32分音符の細かいところまでパワーあふれる音色だから、音をつけていきやすい』と感想をもらしていました。

07109kamio050930oyuwari_020珍しかったのは、神尾さんの楽譜が映し出されたことです。びっしりと印と書き込みがされた楽譜。音色にうるおいと深みがあると評されるためには、自分自身の手で自分自身の想像力で書かないといけないのが分かりました。

神尾さんのコメントで『バイオリンは深い甘い音色というけれど、チェロにはかなわない。チェロの深く温かい低音のメロディーにはかなわない。バイオリンはむき出しの金属音で不快直前の音。美しいだけでなく生生しい感情が出ます。』が印象的でした。

07109kamio050930oyuwari_022面白かったのは、左の写真。上はチャイコフスキーが作曲したもの。下は名前は忘れましたが他のバイオリニストが書き直したもので、音程をとるのが難しくなるが曲は派手になるそうです。どちらを弾くかは自由だとか。こんなこともあるんですね。(私みたいな素人には、NHKのこんな解説がとても面白く思われました。)

神尾さんは恩師のブロン氏と対立しながらも、コンクールでは下を選んで弾き叱られたとか。もともと自分で考える癖がついているのでと笑っていました。

使用しているバイオリンは企業の芸術家支援活動として貸与されたストラディバリで、6年目だそうです。10代の頃からストラディバリを弾いていたんだ・・・やはりすごいと驚きました。

『どんないい楽器でも最初は弾きにくく、自分とツーカーになるまでには1年はかかる。どんな楽器でも自分の音でしかない』と、さりげない言葉の中に見えない努力を垣間見た思いです。

「いい演奏とは?」の質問に、「弾きながら音楽が聞こえて来たとき。聞けなくなったらおしまいです。」の答え。体力にも精神力にも恵まれている神尾さんに期待が大きく膨らみます。

(文中の写真は、NHKの番組をデジカメで撮ったものを使わせていただきました。)

 

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渋皮煮 & マロングラッセ

2007年10月05日 | 食・レシピ

10月に入ったとたんに大きな栗を店頭で見つけました。9月末にスーパーで買った2キロの栗は小粒で品質がよくなかったので、野菜やさんの店頭をいつも物色していました。大きくてつやつやの大分産と熊本産を1キロずつ購入、かなり満足度のいく栗でした。

栗ご飯でもなく栗きんとんでもなく、作るのは渋皮煮。1キロずつが作りやすい量です。

  1. 070930oyuwari_006_2 専用のはさみで1個ずつ丁寧に鬼皮を剥き、鍋に栗を入れてひたひたよりちょっと多めの水を入れます。小さじ1の炭酸を入れて一晩置いてあく抜きをします。
  2. 翌日水を取り替えて小さじ1の炭酸を入れて30分ゆでます。
  3. 今度は水だけで30分ゆでます。さらにもう1回繰り返してゆで、お湯を切ります。
  4. 鍋に栗を入れて、ひたひたの水と砂糖400gを入れ弱火で50分煮ます。しょうゆ大さじ1.5を入れて火を止め、あとは味がしみ込むを待ちます。渋皮煮はここまで。

マロングラッセ

  1. 上の渋皮煮をことこと弱火で20~30分煮て冷まし、5~6時間置いて味をしみ込ませます。
  2. また弱火にかけて煮立ったらブランデー40~50ccとバニラエッセンスを適宜入れて火を止めます。
  3. あとは容器に入れて冷蔵庫で保存します。

0710050930oyuwari_003_2写真はマロングラッセ。渋皮煮もマロングラッセも見た目は同じですが、さすがブランデーの香のするグラッセはおしゃれな味がします。奮発してナポレオンを入れました。市販品のように黄色い美しいマロングラッセではありませんが、型崩れがしなくて評判はいいです。

2週間で4キロの栗。渋皮煮は我が家の歳時記みたいなものでどうにかノルマ達成!皮むきからグラッセまで3日がかりで、やれやれです。皮むきの半分は夫が手伝ってくれました。これも数年前からの我が家の歳時記になっています。

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『天平の甍』

2007年10月04日 | 本・新聞小説

ヒストリーチャンネルの「唐招提寺スペシャル」をみました。金堂の老朽化のために平成の大修理を行っているところをドキュンタリーにしたものです。

地上に降ろされた鴟尾(しび)は高さ1.2メートル。1200年前の誇り高き「天平の甍」です。その引退にともなって新しく作られる平成の鴟尾。鴟尾や鬼瓦を作る瓦職人を「鬼師」というそうな。その鬼師7人のグループが、完成の確立10%という至難を乗り越えて「平成の甍」を作ることに成功しました。その苦闘の足跡を追った感動の記録です。3個の鴟尾が無傷で窯から出されたときは、見ているほうも感激の涙。改めて職人技のすばらしさに脱帽と敬意を払いました。

折りしも、今日の日経夕刊に、「平成の甍」がようやく屋根に乗せられた記事と写真が掲載されました。金堂の完成はまだまだ先の2009年です。

3年前に唐招提寺を訪れたとき、地上に降ろされた巨大な鴟尾を目の当たりにして、驚愕を隠せませんでした。現代の人知を持ってしても1200年前の技は、今も解明されていないようです。金堂改修に伴って福岡で「鑑真和上展」がありましたが、見逃したのが今も悔やまれます。

Inoue_3 学生時代に一度は見たことのある鑑真和上像。当時の日本はまだ発展の途上にあり、そんな国へ生死をかけて高僧鑑真はなぜやってきたのか・・・。この際に、何十年ぶりかに井上靖『天平の甍』を読み直しました。

遣唐使船で大陸に渡った留学僧。5人の個性の違う僧の理想と挫折を縦糸に、鑑真を日本に招くという歴史的使命を果たす姿が鮮やかに書き出されています。広い中国で、先に唐に渡った真備や唐の政界で活躍する阿倍仲麻呂、玄宗…と正史の中の人物との出会うところが歴史小説の面白さです。

これとほとんど同時代の遣唐使を扱ったのが辻原登『飛べ麒麟』です。阿倍仲麻呂、真備、玄宗、安禄山、李林甫など歴史に実在した人物が登場し、大陸を舞台にした面白い本です。

飛鳥、天平の時代は日本の国が出来上がっていく上昇の時代で、理想に燃え、学問に飢え、進取の気に富んだ力強い時代でした。だからきらびやかさではなく天平の甍のようないぶし銀の強さがあるように思います。

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