ずーっと天気がよく暖かい日が続いて、トマトがぐんと安くなっていました。トマトの赤、ピーマンの赤、赤は食欲をそそります。
ふだんは旬にしかできないメニューができました。くりぬいたトマトの中に、ピラフをクリームで和えたものを詰め、チーズを振りかけて焼いたものです。ご飯は茶碗に多目の1杯。クリームは手の込んだホワイトソースでなく、牛乳と上新粉だけを使った簡単なもの。ひじきの五目煮は私が大切にしているレシピです。薄揚げ、乾燥レンコン、人参、蒸し大豆が入って、薄味がよくしみこんだ常備菜です。コツはひじきを水で戻さず、熱湯で5分茹でて、その茹で汁を使うやり方で、たしか料理家の堀江さんのレシピではなかったかしら・・・。
トマトのくりぬいた部分は、翌朝の食卓へ。トマトとブイヨンと溶き卵で作った簡単スープです。トマトの酸味が体をすっきりさせてくれます。スープは毎日は作りませんが、こんな残りの食材を使うときとか、レタスの外側の硬い葉を捨てずに、ベーコンとブイヨンで作るときなど・・・です。
使い勝手がいいのは、三陸産のわかめ。2分くらいで戻るし、なんにでも使えるので重宝しています。
NHKで、12日朝、「 南極観測50年 毛利衛 氷の大陸を行く」という大変興味深い番組が放映されました。NHKの南極キッズのホームページは楽しいですよ。
幼いころ白黒映画で南極越冬隊のニュースを見てから50年・・・。感慨深いものがあります。今年は世界の科学者が南極と北極の調査を行う「国際極年」の始まりとか。
この日は、宇宙飛行士の毛利衛さん、立松和平さん、今井通子さんが昭和基地に降り立ちました。「宇宙だと8分で成層圏に着き、1時間半もすれば軌道に乗ります。」と、米軍の飛行機などを乗り継いで、5日がかりでやっと氷の大地に立った毛利さんは感慨深そうでした。
マイクを向けられた毛利さんはすぐには言葉が出ず、しっかり結んだ口元がゆがみ、日よけの真っ黒いサングラスで目は隠れていましたが、明らかに涙がこぼれていました。
しばらくの沈黙の後、「今回いろいろな国の飛行機のお世話になってここまで来ましたが、日の丸をつけたヘリコプターが昭和基地から迎えに来たときは嬉しかった。宇宙ではアメリカとロシアのロケットのお世話になったが、それが南極では、こうして日の丸を掲げたヘリコプターが出迎えに来てくれた。南極でしっかりしたいい仕事をし、国際的にもすばらしい貢献をしている。日本もついにここまで来たのかと思うと感無量でした。」という感想が大変印象的で、見ているほうも熱いものがこみ上げてきました。
分野は違えども、研究と責任と使命の重圧を受けた科学者たちの、真の喜びを垣間見た思いです。宇宙やマイナス40~80度の超極限の世界で、閉じ込められた状態で探求を続ける孤独な科学者たちに、無言のうちに通じる魂の言葉だったと思います。
観測隊はオゾンホールの発見のきっかけをつくったり、3000メートルも掘削した氷から、周期的な気候変動の発見をしたり、それが人類の移動と広がりを読み解くことにつながるなど、貴重な成果を挙げています。掘削したときに、3000メートルの氷の下にある大地の5ミリのかけらも混じっていて、今後の分析と研究が待ち遠しく思われます。
「南極観測が地球環境の過去、現在、そして未来の姿を見つめる大切な窓口になる」と、住吉アナウンサーはまとめましたが、重たい、しかし希望ある言葉でした。
毛利さんのペンギンを見る時の目。やさしいですね~。科学者の万物に対する愛情を見たようで、科学者の姿勢についても考えさせられました。この写真はNHKからお借りしました。
夫の友人からの情報で、アメリカ・ドキュメンタリー映画『不都合な真実』を観てきました。自称「一瞬間だけ大統領になった男」・ゴア元副大統領が、温暖化で傷ついた地球を救うために、世界中をスライド講演して回り、地球の危機を訴えた真に迫るドキュメンタリー映画です。
息子の生死をさまよう事故に直面して考え方が激変し、学生時代から持っていた環境問題を、さらに熱心な活動に展開していく様子が描かれています。温暖化で、氷河や永久凍土や北極の氷もとけ始め、それが地球にどんな影響と危機をもたらすか・・・を、真に自分の言葉として、科学的に、衝撃的に、感動的に、グラフやCGを使ってわかりやすく説明したすばらしい傑作です。役者の言葉としてでなく、真に自分の言葉として訴える姿には、主演男優賞もとれそうな感じです。
私のつたない感想より、パンフレットの中のアメリカの新聞の評を書いておきます。
「今年1本観るとしたら…『不都合な真実』を絶対に観るべき。あなたの一生を変えるはずだ!」The Insider
「素晴らしい!傑作のドキュメンタリー。とにかく面白い!」Newsweek
「驚くほど興奮した!」New York Daily News
「『不都合な真実』は確実にアカデミー賞にノミネートされるだろう。」New York Post
友人から案内状をいただいていたので、さっそく福岡国際ホールに行ってきました。
書家・中村山雨氏と夫人の陶芸家・中村伸子氏のご夫妻の展覧会です。力強さ、芯の強さ、繊細さ、リズム感、楽しさといろいろな表現がなされている掛け軸。叩きの技法で形成した器や壷やオブジェ。お二人とも数々の賞を取られているだけに、作品にそこはかとない品格を感じました。ご夫人の作品に山雨氏自身が文字を掘り込んだ花瓶には、お二人の人柄がにじみでた温もりが伝わってきました。
会場で小皿のセット買い求め、それに合う和菓子を買って帰り、さっそく味と雰囲気を楽しみました。後ろの小さなついたては山雨氏の作品です。これだけで幸せ気分に浸れることに、改めて日本人である喜びを感じました。土の厚さの割には軽いし、底にざらつきがなく、使用前にサンドペーパーでこする手間が省け、優しい感じの器です。
おりしも、すぐそばの三越で13代中里太郎衛門氏の展示会が開催されています。そこで詳しく「叩き」の技法を説明していると聞き、帰りに立ち寄りました。氏は肥前三衛門の一人でもあり、伝統の中に新しい技法を取り入れて、デザインも斬新。しゃもじを重厚にしたような板で叩きながら形造っていく技法で、轆轤が使われていません。形成した器に引っかきの技法で魚をデザインする前に、丁寧な観察とデッサンがなされ、その絵がまたすばらしいものでした。どんなにデフォルメされたデザインであろうと、基本のデッサンが大切だという信念でした。焼き物は土と炎と人のドラマなんですね・・・。
近年、話題と人気が沸騰している「若冲と江戸絵画」展が、九州国立博物館で開催されています。江戸絵画の最高の理解者といわれているアメリカのジョー・プライス氏のコレクションから109点が展示され、一か月ですでに10万人の入場者。期間は3月11日までです。
『ぎょっとする絵』や『奇想の美』と表現されるように、美しい色彩、緻密な表現、絢爛、装飾性、どぎつさ、幻想性、ユーモア・・・が、ぎゅっと詰まっていて、見た瞬間一歩引きそうになりながらも、心にぐいと食い込んでひきつけられてしまう絵です。
今まで見慣れていた日本画とは確かに違う絵で、18世紀には、やはり片隅に押しやられていたかもしれません。時代が変われば見る人の見方も変わってくるのがよくわかります。
若冲や長沢蘆雪らの江戸のアバンギャルドを40年前に見出した辻惟雄(つじのぶお)氏によれば、『芸術の効能は人をギョッとさせるところにある。・・・・ただギョッとさせるのでなく、美的に、芸術的にギョッとさせるのです。・・・・・自分で体験したことのない、不思議な世界に遊ばせてくれる、一種の魔法のような効き目を持った芸術、これは、とりわけ現代の芸術に求められているものです。』 これはNHKの「知るを楽しむ」で放映されました。
博物館から長~いエスカレーターで大宰府天満宮の境内に降り立てば、紅梅が咲き始めていました。6千本の梅が咲きそろうにはまだ時間がかかりそうです。受験生が団体で合格祈願に来ていました。菅原道真公もたいへんですね。
夕食に立ち寄ったステーキ屋さんで、支払いのポイントカードを確認しながら、「お誕生月だったんですね。デザートのお祝いがあるので食べていってください。」と、親切なサービスがありました。線香花火がパチパチパチ・・・です。店内のお客さんからも「誕生日おめでとう!」の声が。ちょっと気恥ずかしい・・・感じ。